1歳前後の歯磨きのやり方!嫌がるときはどうする?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

赤ちゃんに乳歯が生えてくると、いよいよ歯磨きを始める時期です。ただ、いざ始めるとなると、いきなり歯ブラシを使っていいのか、どれくらいの力加減で磨くべきかなど、疑問に感じることもあるのではないでしょうか。

今回は、乳歯が生え始めてから1歳半頃までの歯磨きの基本や、歯磨きを嫌がるときの対策についてご説明します。

1歳前後は虫歯になりやすい?

赤ちゃん 口

赤ちゃんの歯は、以下のようなことが原因で、大人の歯に比べて虫歯になりやすいと考えられています(※1,2)。

歯の質

乳歯は歯の表面が粗くて汚れがつきやすいので、そこから虫歯につながることがあります。

また、歯の白くツヤツヤしている部分(エナメル質)と、その下の少し黄色がかった部分(象牙質)の状態によって、虫歯になりやすい歯の質をもった赤ちゃんもいます。

糖質(砂糖など)

砂糖や果物などに含まれる糖質は、虫歯菌(ミュータンス菌など)が酸を作るための材料になります。

甘いお菓子やジュースを口にすることが多かったり、だらだら食いをしたりしていると、口の中が虫歯の発生しやすい環境となってしまうのです。

赤ちゃんの場合、哺乳瓶でジュースやイオン飲料などを飲ませると、虫歯のリスクが高まります(※3)。

また、母乳やミルクにも糖分が含まれるので、卒乳が遅かったり夜間の授乳を続けていたりすると、虫歯が発生しやすくなります。

虫歯菌

虫歯菌は、食べものや飲みものに含まれている糖分を栄養にして増えていき、白い汚れ(プラーク)を形成します。

プラークが歯の表面に付着すると酸が作られ、この酸が歯に含まれるリンやカルシウムを溶かして歯をもろくします。

生後半年〜1歳の歯磨きの方法は?

歯磨き 赤ちゃん 虫歯 仕上げ磨き

乳歯が生え始めたら、次のような方法で少しずつ歯磨きの習慣づけをしていきましょう。

歯に触れられることに慣れさせる

いきなり歯ブラシやガーゼが口の中に入ったり歯に触れたりすると、赤ちゃんはびっくりしてしまうので、まずは歯を触られることに慣れさせていきましょう。

ママやパパの膝の上に仰向けに寝かせた赤ちゃんの頭を乗せて、口の中を観察したり清潔な指で歯を触ったりしてみることからはじめてくださいね。

ガーゼや綿棒で歯を拭く

口の中をいじられたり歯にママやパパの指が触れたりすることに慣れてきたら、ガーゼや綿棒で歯をやさしく拭いてみましょう。

離乳食を食べた後や母乳やミルクを飲んだ後に拭く習慣をつけられるといいですね。

歯ブラシで歯をタッチする

上下の前歯が4本生えそろった頃を目安に乳児用(0歳児向け)の歯ブラシを使い始めましょう。最初は磨くのではなく、歯ブラシの先がちょんちょんと歯に触れる程度からスタートします。

歯ブラシで歯を磨く

歯ブラシの刺激に慣れてきたら、歯を1本ずつ優しく磨いてみましょう。1本5秒くらいが目安です。

赤ちゃんが歯ブラシで磨かれることを嫌がるときは、ガーゼや綿棒のステップに戻って再び少しずつ慣らしていきましょう。

1歳〜1歳半の歯磨きの方法は?

赤ちゃん 歯磨き 日本人(アイキャッチ)

1歳を過ぎると奥歯が生え始め、離乳食も進んで、乳歯の間に食べ物が挟まりやすくなります。

それまでは歯磨きに慣れるのが目的でしたが、この時期からは食事の後30分以内や寝る前など決まった時間に歯磨きを行い、しっかり習慣づけていきましょう。

歯と歯の間は虫歯になりやすいので、デンタルフロスを使うのもおすすめです。奥歯は溝があって汚れが溜まりやすいので、念入りに磨いてあげましょう。

歯磨きを嫌がるときはどうしたらいい?上手にやる方法は?

産後ママの体 オリジナル 抱っこ 1歳 男の子

赤ちゃんが歯磨きを嫌がるのは、よくあることです。1歳前後の時期は歯磨きに慣れることが大切なので、以下のポイントを参考に取り組んでみてくださいね。

歯磨きは楽しいものだと思わせる

歯磨きは楽しいものだと感じてもらえるように、笑顔で話をしたり歌を歌ったりしながら、歯を磨いてあげましょう。

ママやパパが楽しそうに歯磨きをしている姿を見せるのもいいですね。

歯磨き後はたくさん褒める

歯磨きが終わったら、その都度たくさん褒めてあげましょう。

特に最初のうちは、口を開けられたら「すごいね」、1本だけでも磨けたら「がんばったね」といったように一つひとつのステップを褒めてあげてください。

無理やり磨かない

赤ちゃんが嫌がっているときには無理に歯磨きをする必要はありません。

ママやパパが「絶対に毎食後30分以内に磨かなきゃ」など義務のように感じてしまうと、赤ちゃんにも伝わって余計に嫌に感じてしまうこともあります。

赤ちゃんにあわせて、焦らずゆっくりと歯磨きを進めていきましょう。

優しく磨いてあげる

磨くときに少しでも力が入ると、歯茎が痛くなって歯磨き嫌いの原因になることもあります。

歯ブラシのハンドル部分をふわっと持つようにして、軽い力で磨くことを意識してください。出血をしないレベルの強さがよいでしょう。

唇の裏側と歯ぐきの間にあるスジ(上唇小帯)に歯ブラシがあたると痛いので、それがきっかけで歯磨き嫌いになってしまうこともあります。

上唇に指を添えてやさしく持ち上げ、歯以外の部分に歯ブラシがあたらないようにしながら磨きましょう。

歯磨き習慣で1歳前後の赤ちゃんの歯を守ろう!

乳歯が生えたら今回ご紹介したステップや方法で歯磨きを習慣づけて、赤ちゃんの歯を守ってあげましょう。乳歯の生える時期や生え方、虫歯など赤ちゃんの歯に関する疑問や不安があるときは、乳幼児健診の際に相談したり小児歯科を受診したりしてみてくださいね。

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