幼かった子供が少しずつ自立しはじめると、その環境や心の変化に戸惑うママやパパは多いようです。その変化を感じる時期に、「ギャングエイジ」という特徴が見られることがあります。子育て中のママやパパなら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?今回は、ギャングエイジについて、どんな特徴があるのか、親はどう対応したらいいのかをご紹介します。
ギャングエイジとは?何歳頃?
ギャングエイジとは、小学校の3~4年生頃から見られる児童の発達段階の一つです。子供同士の仲間意識が強くなりはじめ、同年齢・同性の友達と閉鎖的な小集団を作ることから「ギャングエイジ」と呼ばれています。
ギャングエイジは、これまで親や先生といった大人が絶対的な存在だった子供が、その依存から抜け出し、仲間の影響で成長していく時期といわれています。
集団行動の中にいたずらや悪さが含まれることもあり、ママやパパによっては「反抗期に入ったのでは」と心配する人もいます。しかし、子供の自立へのスタートラインなので、親としてうまく受け止めてあげましょう。
ギャングエイジの特徴は?
ギャングエイジには、例えば次のような特徴があります。
ギャングエイジの子供は、まだまだ限度がわからないため、大人がギョッとするような行動を起こしてしまうこともあります。事前に特徴をつかんで、危ないところはコントロールしてあげましょう。
● 親や大人が見ていないところで、子供たちだけで活動する
● 仲間同士だけの合図・約束ごと・秘密の場所等を共有する
● 仲間のなかで、リーダー等の役割や責任が発生する
● 学校の決まりや親との約束を破る
● 親や先生の言うことを聞かない・言い訳や口答えをする
● 大人びた仕草や、悪い言葉使いをする
ギャングエイジにはどう対応すればいい?
子供にギャングエイジの特徴が見られたら、ママやパパはどのように対応したらいいのでしょうか。
一番は、子供が自立する過程を見守る気持ちで、決して慌てないことです。
子供が素直に甘える姿を見てきた親にとっては、初めはその変化に動揺したり、悩んだり、戸惑ったりすることも増えるでしょう。しかし、子供の自立と同時に、ママやパパの子離れも始まった、と捉えると少しは落ち着けるのではないでしょうか。
ただ、ひとりで色々と出来るようになったとしても、実際にはまだまだ子供です。成長による変化を重んじながらも、陰で見守り、許せる行動と許せない行動を見極めて、時にはきちんと叱ってあげることも必要ですよ。
ギャングエイジとして仲間意識が強まると、他人を排除したい気持ちも生まれ、いじめに発展してしまうこともあります。次のような状況が見られたら、ママやパパの出番です。
いじめ・いたずら・悪さをしている
程度の線引きが難しいですが、いたずらの延長であれば様子を見ましょう。友達を仲間外れにするなど、いじめの兆候が見られたら、いじめられた側の心の痛みについての話をしてあげることも大切です。
このような場合、上から押しつけるような叱り方をするのは逆効果になります。凛とした態度で、子供自身が考えて答えを出せるように「なぜこうしたの?」「自分がされたらどう思う?」と、子供と話をする機会を作りましょう。
いじめられている
仲間にうまく入れずに孤立しているときは、現在どんな状態なのかや、どうしたら子供がベストと感じるのかを、親が追求するのではなく、ゆっくりと子供から話せる場を用意してあげましょう。
すぐに話してくれなかったとしても「あなたの味方だから」と、耳を傾ける姿勢を示すだけで、少しずつ話してくれるようになることもありますよ。
子供が勇気を出して話してくれたら、自分たちを信じて話してくれたことに対して感謝の気持ちを伝えましょう。
すぐに解決策が見つからなかったとしても、親子で解決策を話し合う体験が子供の孤独感や不安感を和らげてくれるはずです。
ギャングエイジの時期、子供は必ず荒れる?
ギャングエイジとはいっても、その年齢の子供たちが全員いたずら行動や悪さをするとは限りません。
この時期は、仲間意識を持って、子供たちだけで行動することに楽しさを感じる年頃なだけで、目立った問題行動がないことももちろんあります。どちらにしろ親としては、つかずはなれず、見守っていくことが大切です。
ギャングエイジは成長過程で大事な時期
ギャングエイジは、親にとっては試練の一つと感じることが多いのですが、実は子供にとってとても大切な時期です。
子供同士のルールの中で、それぞれの個性を活かしながら意見を主張したり、議論したりするなかで、どうやって個々の主張の折り合いをつけるのかなど、大人に頼らず自分たちだけで解決する方法を身に付けることができるからです。
しかし、最近はギャングエイジが減っているといわれています。昔よりも習い事をする子供が増え、学校以外で集団で遊ぶ機会が減ったり、徹底したしつけで幼いころから落ち着いていたり、大切な時期に社会性を学ぶ場所や機会が少なくなってきているようです。
そのため、中・高校生頃になってギャングエイジに似た行動をとるようになり、体は成長しても心が成長しきれず、限度を超えた行動が犯罪に繋がってしまうこともあるといわれています。
文部科学省が発表している「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」でも、ギャングエイジについて触れられています(※1)。そのなかで、ギャングエイジの時期を含む9歳以降の子供には、次のような力を身に付けさせてあげることが大切だと紹介されています。
● 抽象的な思考への適応や他者の視点に対する理解
● 自己肯定感の育成
● 自他の尊重の意識や他者への思いやりなど
● 集団のなかでの役割の自覚や主体的な責任意識の育成
● 体験活動の実施など実社会への興味・関心のきっかけづくり
積極的に友達との時間を取れるように、習い事などは詰め込みすぎず、適度に自由にさせてあげることも大切ですよ。
ギャングエイジは変化に気づくことが大切
ギャングエイジの時期は、まず親がしっかり子供の変化に気づいてあげることが大切です。
監視するのではなく、ある程度の距離を保ちながら様子を聞いたり、どうしても心配なことがあれば、クラスメイトの親と世間話をしてみたり、さりげなく子供や子供の周辺にアンテナを張っておきます。
変化をキャッチしたら、見守る、声をかけるなど、ママやパパとしての行動に移していきましょう。