「くる病」という病気をご存知でしょうか?骨に異常がでる病気のことで、ただのO脚やX脚と思っていたら、病院で「くる病」と診断されてしまうこともあります。今回は、くる病について、原因や症状、治療法や予防法などをご紹介します。
くる病とは?
くる病とは、子供の骨が成長する時期に起こる病気で、骨がきちんと固まらず、柔らかくなった状態のことをいいます。主に栄養の欠乏が原因で起こり、発達途上国で多く発症していますが、依然として先進国でも多く見られています。
くる病の原因は?
くる病の原因は主に、ビタミンDの不足です。
骨が作られる際、リンやカルシウムが骨を強くする役割を担っています。リンやカルシウムは食事から摂ることができ、ビタミンDにより体に吸収されています。
そのため、ビタミンDが足りていないと、骨を強くするリンやカルシウムがきちんと活動できず、柔らかい状態のままになってしまいます。これが、くる病の状態です。
ビタミンDが足りなくなる原因は様々ですが、先天的なものと後天的なものに分けられます。
先天的な原因
先天的な原因を伴うくる病は、「ビタミンD依存症くる病」とよばれます。国内では100例未満しか報告されていないほどまれな病気ですが、親から子へと遺伝し、ビタミンDがきちんと作用しないという症状があります(※1)。
後天的な原因
後天的な原因のなかで最も一般的なのが、体内のビタミンDが不足する「ビタミンD欠乏症」です。その主な原因は、太陽の光を十分に浴びていないことにあります。
ビタミンDは食事から摂取することができますが、皮膚が紫外線を浴びることでも作られます。
いつも屋内にいる、外出時に常に日焼け止めを塗っているという人は、紫外線が足りず、ビタミンD欠乏症を引き起こす可能性があります。
日光不足以外にも、食事から摂るビタミンDの不足、肝臓病によるビタミンDの吸収不足、慢性腎臓病によるビタミンDの活性化不足、カルシウム摂取不足なども、くる病の原因になります。
くる病は赤ちゃんもかかるの?
くる病は、骨が成長する時期に発症する病気なので、赤ちゃんでもかかる可能性があります。
特に、完全母乳で育てている赤ちゃんには注意が必要です。母乳にはビタミンDがほとんど含まれていないため、母乳からしか栄養を摂取していない赤ちゃんは、体内のビタミンDが不足してしまう可能性があるのです。
完全母乳ではなくても、極端に紫外線を避けた生活を送っている赤ちゃんは、くる病発症のリスクが高まります。
くる病の症状は?
くる病には様々な症状がありますが、一般的に下記のような症状が多く見られます。
● O脚
● X脚
● 鳩胸
● 低身長
● 背骨が曲がる
また、O脚やX脚によって転びやすくなったり、骨が柔らかいことで骨折しやすくなったりと、くる病の症状によって生活に支障が出ることもあります。
くる病は薬で治る?治療法は?
くる病は、骨のX線撮影や血液検査によって診断することができ、ビタミンDやカルシウム、リンの投与によって治療することができます。
ただし、嘔吐や悪心、けいれんなどを伴う「ビタミンD過剰症」などの副作用に注意が必要なので、治療中は定期的に検査を行う必要があります。
また、薬で治らない骨の変形に対しては、手術を行うこともあります。
くる病は予防できる?日焼け止めは塗らないほうがいい?
後天的なくる病の主な原因は、ビタミンDの不足です。予防のためには、ビタミンDが不足しないよう、下記のポイントに注意をしましょう。
栄養バランスを考える
まず大切なのが、子供の栄養バランスです。ご飯のかわりにお菓子を食べさせたり、極端に食事を抜きすぎたりしないようにしましょう。
ビタミンDは、いわしや鮭、さんまなど、魚に多く含まれます。普段から食事に取り入れてみるのもいいですね。
紫外線を避けすぎない
ビタミンDは、紫外線を浴びることで生成されます。紫外線による皮膚がんや白内障は気になりますが、極端に避けすぎないようにしましょう。
部屋のなかにいても、窓際で日光浴をするなど、適度に太陽の光を浴びさせたいですね。
ママの栄養バランスに気をつける
赤ちゃんを完全母乳で育てている場合は、ママの体内の栄養バランスも大切です。バランスの良い食事を心掛けて、ビタミンDの多い食品を積極に摂るのがおすすめですよ。
また、赤ちゃんが生後5~6ヶ月頃になったら離乳食を開始し、食事からも栄養が摂れるようにしてあげたいですね。
くる病は症状が出る前に予防しよう
くる病は、栄養バランスを整えることで予防できます。食事に気をつける、日光に当たるなど、毎日できることを少しずつ続けてみてください。
また、赤ちゃんにくる病のような症状が見られた場合、迷わず病院を受診しましょう。行きつけの小児科や整形外科に相談してくださいね。