平成29年度の文部科学省の調査によると、裸眼視力が1.0未満の小学生が、調査を開始した1979年から増え続け、全体の32.46%と過去最高を更新しました(※1)。
近視の子供が増えているなか、特に自分も近視で不便さを知っているママ・パパは、子供には近視にならないようにしてあげたいですよね。そこで今回は、近視の原因や予防法などについてご紹介します。
近視の原因は?遺伝するって本当?
近視とは、近くは見えるけれど、遠くが見えにくい目の状態のことです。
人の目には、カメラのレンズにあたる水晶体と、フィルムにあたる網膜があります。正常な目は、目に入る光が水晶体を通って、網膜の上にピントがぴったり合うことで、遠くのモノでもはっきり見えます。
しかし、水晶体や角膜(黒目の部分)の屈折力が強すぎたり、眼軸(角膜から網膜までの距離)が長すぎたりして、網膜の前でピントが合うようになってしまうと、近視になります。
子供の近視の原因は?
近視の原因について、はっきりとしたことは未だ分かっていませんが、一般的には遺伝的要因と環境的要因によって起こるとされています。
日本眼科医会によると、メガネで矯正できないくらい強い近視は、遺伝的な影響によって起こっている可能性があります(※2)。
また、近くを見ることが多い子供は、そうでない子供より近視になりやすいという調査結果もあり、環境も何らかの形で近視を引き起こしていると考えられています。
子供の近視はいつから気にするべき?どんな症状?
生まれたばかりの赤ちゃんの視力は0.01〜0.02とほとんどはっきり見えておらず、2歳くらいで0.3以上、3歳半で0.5以上、4〜5歳でやっと1.0くらいの見え方になると言われています。
そのため、一般的には視力が安定した7〜9歳くらいから近視の進行を気にしはじめるといいでしょう。
ただしそれより前の年齢でも、目の病気や強い遠視、乱視、斜視などのトラブルをそのままにしておくと、視力の正常な発達が妨げられ、結果的に視力が低下してしまうこともあります。
子供の近視にはどうやって気づく?
モノがどのように見えるかは人と比較できないため、子供自身は「モノが見えてるよ」と思っていても、視力が悪くなっていることに気づいていないことがあります。
以下のような様子が見られるときは、近視になっている疑いがあります。
- テレビや本を近くで見る
- 目を細めて見る
- 見るときに顎を引いたり、上げたりする
- 横目で見る
- 会話をするときに顔を近づける
- 文字を書くのが苦手
もしこのような様子に気づいたら、早めに眼科を受診しましょう。
子供の近視がわかったら矯正した方がいい?
子供の近視がわかったら、ストレスなどによる一時的な視力低下や病気によるものでない限り、メガネのレンズで矯正するのが一般的です。
眼科で視力検査を受け、子供の視力にあうメガネを作成するようにしましょう。
視力は変化するものなので、1年に1回は眼科で検眼してもらいたいですね。
メガネのかけ外しで子供の近視が進む?
メガネについての噂に、「メガネをかけたり外したりしていると、近視がさらに進行する」というものがあります。
これを耳にして心配になっているママもいるかもしれませんが、日本眼科医会は、メガネのかけ外しによって近視が悪化することはないという見解を発表しています(※2)。
遠くを見るときはメガネをかける、近くをみるときははずすなど、必要に応じてメガネを使わせてあげて問題ありませんよ。
子供の近視の予防法は?
日本眼科医会は、近視の発症と進行を予防する方法として、以下のような方法を紹介しています(※2)。
読書や勉強の際は正しい姿勢を心がける
背筋をまっすぐ伸ばし、目を本から30センチほど離した状態で見ます。また、寝転んだ状態で本を読まないようにしてください。
目を適度に休める
1時間の勉強をするごとに10分間の休憩をとり、目を休ませましょう。テレビゲームやスマートフォンは特に目の負担になりやすいので、30分以上続けてプレイしないようにします。
部屋の明るさに注意する
勉強や読書をする際は、部屋の明るさを300ルクス程度にしましょう。これは蛍光灯のスタンドで考えると、15~20ワットに相当します。
外遊び(屋外活動)を増やす
昔から、外遊び(屋外活動)の時間が長ければ長いほど、近視の発症リスクが低いということが言われていました。
そこに近年「太陽光に含まれるバイオレットライトが近視を抑制する可能性がある(※3)」という発表があり、外遊びと近視の関係を裏付けるものとして、今後のさらなる研究に期待が寄せられています。
子供の近視の治療については医師に相談を
子供に近視の症状が疑われる場合、病気やストレスなど別の原因も考えられるので、適切に治療を行うためにまず医師に相談しましょう。
近視の治療はどの方法でもメリットとデメリットがありますが、それぞれの特徴について知り、医師と相談しながら、子供の視力をサポートする方法を見つけていきましょう。