子供の視力回復はできるの?トレーニングは効果がある?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

学校や保健センターでの健康診断で子供の視力低下が発覚し、「どうやって視力を回復させれば良いのか」と困惑するママやパパはたくさんいます。それでは、子供の視力を回復させるには、どんな方法があるのでしょうか?今回は子供の視力回復について、方法や効果などをご紹介します。

子供の視力回復の方法は?

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子供の視力を回復させるには、視力を低下させている原因に対処する必要があります。原因ごとの対処法は、以下の通りです。

屈折異常

子供の視力低下の原因として、近視や遠視、乱視などの屈折異常があります。

モノがはっきり見えるには、目に入る光が角膜(黒目の部分)や水晶体で適度に屈折して、カメラのフィルムにあたる網膜の上でピントが合う必要があります。

しかし、角膜や水晶体の屈折力の調節や、角膜から網膜までの長さが不適切だと、網膜の上でピントが合わず、モノがはっきり見えなくなります。これが屈折異常です。

屈折異常の治療では、一般的にメガネやコンタクトレンズによる矯正を行って、視力回復を試みます。

病気

白内障や網膜剥離、網膜炎、角膜炎などの目の病気によって、視力が低下することもあります。こうした場合、原因となっている疾患の治療をすることが、視力回復につながります。

目の病気があるかどうかは、光刺激を受けたときに網膜や視神経に発生する電位を検出する電気生理検査などによって調べられます。

ストレス

子供がストレスを溜めると、心因性視力障害という視力低下が起こることがあります。心因性視力障害が起こりやすい年齢は8~12歳の子供で、男の子より女の子の方がなりやすい傾向にあります(※1)。

視力が低下していても、屈折異常がなく、網膜や視神経の電気生理検査における異常もない場合は、心因性視力障害が疑われます。

また、視力測定のたびに視力が異なったり、凸レンズと凹レンズを組み合わせた度数が0のメガネをかけて視力が改善する場合も、心因性視力障害の疑いがあります。

心因性視力障害の原因となっているストレスを解消すると、視力は自然と回復します。心因性視力障害で失明することはなく、ほとんどは症状発見から1年以内に視力が回復するため、過度に心配する必要はありません(※1)。

子供の視力回復にメガネを使ってもいい?

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「子供のうちからメガネをかけさせると、視力がさらに落ちる」と聞いたことがあるかもしれませんが、これを裏づける科学的・医学的根拠はありません。

視力が低下していると、集中力が落ちることもあるので、メガネで適度に視力を回復させてあげることは大切です。

ただし、メガネによって視力が回復しても、視力低下をもたらしている目の病気に気づかず処置が遅れることもあるので、メガネを作る際は、必ず眼科で目の病気がないかを調べておきましょう(※2)。

子供の視力回復にトレーニングは効果あり?

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視力回復を謳ったトレーニングはたくさんありますが、目のトレーニングによって視力が回復することを証明する科学的・医学的根拠はありません。

ただし、トレーニングによって視力が回復したという人もいるので、試してみたい場合は、眼科医と相談しながら、子供に合ったトレーニングを見つけてみると良いかもしれません。

視力回復トレーニングには、遠くと近くを交互に見るものや、特殊な画像を立体視するものなど、様々な種類があります。

子供の視力回復は適切な対処で

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トレーニングによって視力が回復できれば、メガネやコンタクトレンズなどの視力矯正器具を使わずに済むので、「できることなら、トレーニングで視力を回復させたい」と思うかもしれません。

しかし、トレーニングに頼るあまり、子供の視力が低下している原因にきちんと対処できていないと、病気が進行したり、ストレスが溜まったりして、視力がさらに低下してしまう恐れもあります。

子供の視力回復を目指すときは、まずは視力低下の原因を突き止めるために、眼科を受診しましょう。原因が分かれば、視力回復のためにするべきことが見えてきますよ。

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