学校の視力検査などで子供の視力が低下していることが分かり、どう対処すればいいのか困るママやパパはたくさんいます。そもそも子供の視力の低下は、何が原因で起こるのでしょうか?そして、どのような治療法があるのでしょうか?今回は子供の視力低下について、原因や診断方法、治療法などをご紹介します。
子供の視力低下の原因とは?
視力とは、目で物体を識別する能力のことで、視力が低下すると、物体がはっきり見えないといった症状が現れます。
子供の視力が低下する原因は様々ですが、主に以下の3つがあります。
屈折異常
目に入ってくる光は、黒目の部分である「角膜」とカメラのレンズの働きを持つ「水晶体」で屈折します。そして、カメラのフィルムにあたる「網膜」の上で、きちんとピントが合うと、物体がはっきり見えます。
しかし、角膜や水晶体の屈折力の調節や、角膜から網膜までの長さに問題があると、網膜の上でピントが合わず、物体がぼやけて見えるようになります。これは「屈折異常」と呼ばれ、近視や遠視、乱視がそれにあたります。
屈折異常が起こる原因は明らかになっていませんが、遺伝的要因や、テレビや本を近くで長時間見るなどの環境的要因によって起こると考えられています。
病気
子供の視力低下は、病気によって引き起こされることもあります。たとえば、先天的な白内障や緑内障などになると、視力低下が起こる恐れがあります。
視界が白くかすんだり、目を閉じても光を感じたりと、視力低下以外の症状も現れている場合は、病気による視力低下の可能性があるので、できるだけ早く眼科を受診しましょう。
ストレス
ストレスが原因で「心因性視力障害」という視力低下が起こることがあります。心因性視力障害は8~12歳の子供に最も多く見られ、眼球自体に異常は発見されません(※1)。
ストレスの原因がはっきりせず、治療が困難なこともあります。
子供の視力低下の診断方法は?
視力の低下自体は、視力検査によって診断できますが、その原因については、様々な方法を通して調べます。
たとえば、網膜や視神経などに発生する電位を検出する検査を行って、眼球や視神経などの病気の可能性を調べることがあります。
屈折異常がなく、眼球や視神経にも異常が見られない場合は、心因性視力障害が疑われます。また、プラスとマイナスのレンズを組み合わせて、度数を0にしたメガネで良好な視力が出た場合も、心因性視力障害の可能性があります(※1)。
子供の視力低下の治療法は?
視力低下の治療法は、原因によって異なります。
屈折異常
屈折異常は、メガネやコンタクトレンズで矯正して治療するのが一般的です。
角膜の中心部分をレーザーで削るレーシックなどの手術による矯正もありますが、角膜の濁りや眼底出血などの後遺症が残る恐れもあるので、どの方法で矯正するかは医師としっかり話し合って決めましょう。
病気
病気によって視力低下が起きている場合は、その病気の治療にあたります。
たとえば、子供の白内障は、混濁した水晶体と硝子体前を切除したり、眼内レンズを挿入したりして治療します(※2)。
ストレス
心因性視力障害の治療では、原因となっているストレスを取り除くことが大切で、親子一緒に受ける必要があります。原因が分からず、治療がうまく進まない場合は、学校の担任の先生と連絡を取り合いながら、長期的に経過を見ていきましょう(※1)。
子供が強い不安を感じているときは、内服薬などの薬剤を使用することがあります。
子供が視力低下してもメガネはしないほうがいい?
「小さいうちからメガネを使うと、子供の視力低下を進行させてしまう」という声もありますが、それを裏付ける科学的・医学的根拠はありません。
メガネは正しく使えば、人の視力を適度に矯正してくれる心強いツールです。ただし、日本眼科医会も推奨しているように、メガネを作る際は必ず眼科を受診して、目の病気がないかを調べておきましょう(※3)。
子供の視力低下が起きたらまずは原因究明を
子供の視力が低下していることが分かったら、「メガネ・コンタクトレンズで視力を矯正しよう」と思うかもしれませんが、まずは眼科を受診して、原因を特定することが大切です。
原因が分かれば、適切な治療を行ってもらうことができます。自己判断で視力の矯正をせず、医師と相談しながら、子供の視力を適切にサポートする方法を見つけていきましょう。