さまざまな理由からひとり親家庭となったときの心配事の一つとして「今後の生活費」がありますよね。そんななか、ひとり親家庭の家計を助けてくれるのが「児童扶養手当」です。
今回は、「児童扶養手当」の支給日や、いつまでもらえるのか、受給の際の所得制限や金額の計算方法などについてご紹介します。
児童扶養手当とは?いつまでもらえる?
児童扶養手当とは、離婚や死別などによって、母または父どちらか1人や、母もしくは父に代わる養育者(祖父母等)からしか養育を受けられない子どもがいる場合に、支給される手当です。
子どもが18歳に達した後、最初に迎える3月31日まで受給できます(※1)。障害をもつ子どもの場合は、20歳未満が対象になります。
児童扶養手当は以前「母子手当」とも呼ばれていましたが、現在では父子家庭や祖父母が養育している家庭にも支給対象が広がったため、母子手当という呼び名は使われなくなっています。
児童扶養手当を受ける条件は?
児童扶養手当を受けるには、次のような子どもがいる世帯であることが条件になります(※1)。
1.父母が婚姻を解消した子ども
2.父または母が死亡した子ども
3.父または母に一定程度の障害の状態がある子ども
4.父または母の生死が明らかでない子ども
5.父または母が一年以上、育児を放棄している子ども
6.父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた子ども
7.父または母が1年以上拘禁されている子ども
8.母が婚姻によらないで出産した子ども
9.孤児など、父母ともに不明な子ども
ただし、離婚して父または母が生計を同じくしているときや、国内に住所がないときは支給されないなどの条件があります。詳しい支給要件については住居のある自治体に問い合わせてみましょう。
児童扶養手当に所得制限はある?
児童扶養手当には次のような所得制限があり、前年(1〜9月までに請求した場合は前々年)の所得に応じて、全額支給される場合と減額支給される場合、支給が受けられない場合があります(※1)。
子どもの人数 | 母、父または養育者 | |
---|---|---|
全額支給の所得制限限度額 | 一部支給の所得制限限度額 | |
0人 | 69万円未満 | 208万円未満 |
1人 | 107万円未満 | 246万円未満 |
2人 | 145万円未満 | 284万円未満 |
3人 | 183万円未満 | 322万円未満 |
実家暮らしの場合
ひとり親家庭のなかには実家に戻って家族と一緒に暮らしている人も多いです。
この場合、一緒に暮らしている両親・祖父母などから最も高い人の所得が限度額を超えると手当を受け取れなくなります。
ただし、たとえば電気・水道・ガスの料金を別々に支払っている場合などでは、実家とは別の世帯と判断されて手当が支給されることもあります。
実家と別の世帯だと判断するのはお住まいの自治体なので、確認してみてくださいね。
児童扶養手当の支給額は?
2024年11月以降の児童扶養手当の支給額は、全額支給と一部支給によって次のように異なります(※1)。
金額は毎年、物価の変動率を踏まえて設定されるので、申請を検討する場合はお住まいの自治体に最新情報を確認しましょう。
全額支給 | 一部支給 | |
---|---|---|
児童1人 | 45,500円 | 10,740円から45,490円まで |
児童2人目以降の1人あたりの加算額 | 10,750円 | 5,380円から10,740円まで |
児童扶養手当申請時の所得額はどう計算する?
児童扶養手当を申請する際の所得額は、養育費を受け取っている場合の加算方法や、さまざまな控除額を考慮して計算します。
会社員の場合
会社員の場合、給与収入から給与所得控除額を差し引きます。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」に書かれた金額を参照しましょう。
養育費を受け取っている場合
受給資格者が母(父)である場合に、子どもの父(母)から養育費を受け取っているときは、その金額の8割が所得に加算されます(※2)。
養育費を一括で受け取ると、翌年は一括分の8割を加算して所得を計算することになります。
それにより所得制限限度額を超えると、支給額が一部支給になったり、もしくは支給されなくなったりします。
社会保険料等の控除
社会保険料、生命保険料、地震保険料の相当額として、一律8万円が所得から控除されます(※1)。
その他、諸控除
ほかにも、寡婦(寡夫)控除、障害者控除、勤労学生控除、配偶者特別控除、医療費控除などを考慮して所得額を計算します。
児童扶養手当の計算方法は?
以上を踏まえて児童扶養手当を計算してみましょう。令和6年11月時点の計算式は次の通りです(※2,3)。
所得額の計算式
(所得額)=(給与所得控除後の金額)+(養育費の8割)−(保険料等控除8万円)−(その他の控除)
児童扶養手当の計算式
児童扶養手当の金額を計算する際、まずは全額支給の範囲内に所得がおさまるかどうかを確認しましょう。
もし、全額支給の範囲を超えてしまう場合には、次のような手当額の計算式で一部支給の場合の金額が計算できます(※3)。
このとき、支給額の10円未満は四捨五入します。
▼児童1人のときの児童扶養手当額
45,500円−(所得額−全部支給の所得制限限度額)×0.0243007
▼児童2人目以降の加算額
10,750円−(所得額−全部支給の所得制限限度額)×0.0037483
児童扶養手当の支給日はいつ?
児童扶養手当は、認定された翌月分から指定された口座に年6回(1、3、5、7、9、11月)に分けて振り込まれます(※1)。
支給日は自治体によって異なり、10日または11日辺りが多いようです。
ただし、規定の支給日が土・日・祝日に当たる場合は、その直前の金融機関の営業日になることが多いです。
また、支給日には下記のように2ヶ月分が後払いで振り込まれるため、生活費の組み立てを考えるときには注意しましょう。
児童扶養手当の支給日例
初回: 1月11日(11〜12月分)
2回目:3月11日(1〜2月分)
3回目:5月11日(3〜4月分)
4回目:7月11日(5〜6月分)
5回目:9月11日(7〜8月分)
6回目:11月11日(9〜10月分)
児童扶養手当の申請方法は?
児童扶養手当の申請は、住居のある自治体で行います。手続きの際の必要書類は自治体によって異なる場合もありますが、一般的には次のような物が必要になります。
児童扶養手当の申請に必要なもの(例)
1. 戸籍謄本(請求者、対象児童のもの)
2. 口座番号がわかるもの(キャッシュカード、預金通帳など)
3. 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
4. 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
その他、住民票や健康保険証、年金手帳、所得証明書が必要な自治体もあるので、事前に確認しておきましょう。
児童扶養手当の最新情報をチェックしよう
かつて「母子手当」と呼ばれていた児童扶養手当の受給範囲が、父子家庭や祖父母が養育している家庭まで広がったように、この制度はその時々のライフスタイルなどに合わせて変化しています。
ひとり親家庭にとって大切な経済的手当である児童扶養手当。今後も世の中の流れに沿って、支給金額や所得制限などが変化していく可能性があるので、各自治体で最新の情報をご確認くださいね。