睡眠てんかんとは?原因や症状、治療法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

夜中にふと起きて、子供が体を硬直させ、ガクガク震えているのを見たら、ママやパパはビックリするかと思います。そうした症状が繰り返される場合、てんかんによって起こっている可能性があり、医師に診てもらう必要があります。今回は睡眠時に起こるてんかんについて、原因や症状、治療法などをご紹介します。

睡眠てんかんとは?

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脳の神経細胞(ニューロン)の過剰な活動によって意識障害やけいれんを繰り返す体質を「てんかん」といいます。手足を硬直させてガクガクと痙攣したり、突然脱力して倒れたりなど、発作の種類は様々です。

てんかんは発作の現れ方によって様々な種類に分類されますが、睡眠障害国際分類(第2版)によると、てんかん発作が睡眠中にのみ起こるもの、あるいは、発作の70%以上が睡眠中に起こるものを「睡眠てんかん」または「睡眠関連てんかん」と呼ばれます(※1)。

てんかんの多くは小児期に発症しますが、睡眠てんかんは、特定の年齢で起こる睡眠てんかんの多くは、眠りについてからまもなく、あるいは目が覚めるときなど、睡眠前後に起こりやすく、発作の持続時間は1~2分と短い傾向にあります。

発作の多くは「けいれん発作」というもので、けいれんがはっきりしているときは診断に迷いませんが、複雑な動作(自動症)が見られるときや、発作が長く続くときは、検査によって「夢遊病」などの睡眠障害と鑑別する必要があります。

てんかんの多くは小児期に発症しますが、睡眠てんかんは、特定の年齢で起こるものではなく、どの年齢でも発症する可能性があります(※1)。

睡眠てんかんの原因は?

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てんかんが起こる原因は様々ですが、脳出血や脳外傷、脳炎、髄膜炎、新生児仮死などの後遺症の1つとして発症するケースもあります。

しかし、なかには様々な検査を行っても異常が見つからない睡眠てんかんもあり、原因を特定できないこともあります(※2)。

睡眠てんかんの症状は?

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睡眠てんかんの症状としては、全身が硬直した後にガクガクと痙攣する以外に、舌なめずり、顔面運動、周囲をまさぐる動作などがあります。

また、突然歩き回ったり、大声を上げたり、おもらしをしたりするなどの発作が現れることもあり、「夢遊病」「夜驚症」「夜尿症」といった睡眠障害と見分けるのが難しいこともあります。

睡眠てんかんが起きているのか、睡眠障害が起きているのかが分からなくても、夜中に起きて大声を出す、走り回るなどの行動が見られた場合は、病院を受診しましょう。

睡眠てんかんの診断方法は?

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睡眠てんかんの診断では、まず問診を行います。問診の結果、睡眠てんかんが疑われる場合は、電極を頭皮の上に貼りつけ、脳波の異常の有無を調べる脳波検査や、睡眠時の動画記録などを行います。

また、てんかんの原因を探るために、頭部のCT検査やMRI検査、血液検査、尿検査を行うことがあります(※2)。

発作の様子を映した動画があると、診断がスムーズに進むので、睡眠てんかんの症状が現れたときは、携帯電話やビデオカメラで動画に収めておきましょう。

睡眠てんかんの治療法は?

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睡眠てんかんの治療では、脳の神経細胞の興奮を抑える抗てんかん薬を使うのが一般的です。薬を飲み忘れると、効果がきちんと現れないので、医師の指示に従って飲み続けることが大切です。

多くの場合、てんかんの治療には2~5年の期間が必要となりますが、適切な治療を行えば、70~80%の人がてんかん発作をコントロールすることができます(※2,3)。

薬を服用しても発作が止まらない場合は、外科的な治療が行われることがあります。

睡眠てんかんの治療は生活習慣の見直しから

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日本小児神経学会によると、睡眠不足や疲労、心理的なストレスはてんかんの誘因になることがあるため、睡眠てんかんの治療を行う際は、規則正しい生活を送り、睡眠をしっかりとることも心がけましょう(※4)。

健康的な生活習慣を身につけることは、免疫力低下の防止にもつながり、他の病気の予防にもなります。病院から指示された治療をしっかり行いながら、家庭でできることも行い、睡眠てんかんと根気強く向き合っていきましょう。

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