ポリオ(急性灰白髄炎)は、生後2ヶ月を過ぎると受けられる「五種混合ワクチン」もしくは「四種混合ワクチン」で予防できる感染症の一つです。日本では現在は流行していないため、「どんな病気なのか詳しくは知らない」という人も多いかもしれません。
そこで今回は、ポリオとはどういった病気なのか、症状や感染経路、治療法・予防法についてご説明します。
ポリオとは?
ポリオとは、ポリオウイルスが腸内で増殖することで起こる感染症で、日本では「急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)」と呼ばれます。
腸管でポリオウイルスが繁殖し、血中に入り込むことで脊髄まで到達すると麻痺症状を引き起こすことがあり、特に小児に発生していたため「小児麻痺」とも呼ばれていました(※1)。
日本ではこれまでポリオワクチンの定期接種を行うことで、1981年以降は野生のポリオウイルスによる新たな感染者は出ていません。
ただ、海外にはポリオの流行が残っている地域もあり、海外への渡航や海外からのウイルスの持ち込みを考えると、今後も感染を防ぐために予防接種を受けることが大切になります。
ポリオの症状は?治療法はあるの?
ポリオに感染しても90〜95%は何の症状も現れず、知らない間に免疫ができます(※1)。
約5%には軽い発熱や喉の痛み、吐き気や下痢などの軽い風邪のような症状、約1〜2%には強い頭痛、発熱、嘔吐の症状が起こりますが、後遺症を残さずに回復します。
ただし、感染した0.1〜2%の人は、腸管に入ったウイルスが脊髄の一部に入り込み、手や足などに麻痺があらわれ、その麻痺が一生残ってしまうことがあり、危険な感染症といえます。
ポリオを完全に治療できる特効薬はありません。麻痺が現れてしまったらリハビリテーションを通じて、動く機能を最大限に生かせるようにしていきます。
ポリオの感染経路は?
ポリオウイルスは、人から人へ経口感染でうつります。感染者の便に混じって排出されるので、その便からウイルスが食べ物やおもちゃなどにくっつき、それを口に入れてしまうことで感染します。咳やくしゃみなどの飛沫から感染することもあります。
ポリオウイルスが体内に侵入すると、症状が現れる場合には、4~35日ほどの潜伏期間を経て発症します(※1)。
ポリオは予防できる?
根本的な治療法がない以上、感染する前に予防することが大切です。生後2ヶ月から受けることができる「五種混合ワクチン」もしくは「四種混合ワクチン」を受ければ、ポリオウイルスに対する抗体をつくり、その後の感染を予防することができます。
感染予防のための抗体を持つには、4回の定期予防接種をきちんと受ける必要があるので、しっかりとスケジュールを組んで受け忘れることがないようにしましょう(※2)。
また、日本小児科学会は小学校入学前の1年間(5歳以降7歳未満)でポリオワクチンの追加接種を推奨しています(※3)。任意接種となるため費用が発生しますが、ポリオの抗体価が低下する前に接種しておくと安心です。
自治体によっては補助がでることもあるので、接種する前に確認してみてくださいね。
ポリオの感染を防ぐために予防接種を受けよう
予防接種が普及したおかげで、日本国内ではポリオは根絶されています。しかし、海外ではポリオが流行している地域もあるので、今後もウイルスが持ち込まれる可能性はあります。
予防接種を受けていない人が増えてしまうと、それだけ国内で流行する可能性が高まっていきます。四種混合ワクチンは回数も多いのでスケジュールを組むのが大変ですが、子どものために、忘れずに接種するようにしてくださいね。