生理後も胸の張りが続く原因は?痛いときの対処法は?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

ほとんどの女性は「胸の張り」や「胸の痛み」を経験したことがあると思います。しかし、生理後に胸の張りや痛みが出るのは珍しく、大丈夫なのかと心配になりますね。女性の体のしくみを考えると、胸が張って痛くなるのは生理現象の一つですが、場合によっては注意が必要です。今回は、生理後に胸の張りや痛みが現れる原因や対処法、病気の可能性はあるのかなどをご説明します。

胸の張りは生理後よりも生理前のほうが多い

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一般的に、生理現象として女性の胸が張リやすいのは生理前です。

生理前の女性の体内では「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンが分泌され、妊娠・出産に向けた準備が進んでいます。その際、出産後におっぱいをあげるために、胸のなかにある「乳腺」の発達が促されることで、胸の張りや痛みを感じることがあるのです。

プロゲステロンは生理が始まるとともに分泌量が減るので、生理現象としての胸の張りや痛みは、通常、生理中にはおさまります。そのため生理後に胸の張りや痛みが現れるときは、生理現象以外の原因が考えられます。

生理後の胸の張りや痛みの原因は?

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それでは、生理後にもかかわらず、生理前のような胸の張りや痛みを感じる場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?主な原因は、下記のとおりです。

ホルモンバランスの乱れ

ストレスや体調不良の影響でホルモンバランスが崩れていると、生理後もプロゲステロンが過剰に分泌されることがあります。すると、生理が終わっても乳腺が発達してしまい、胸の張りを感じることがあります。

更年期障害の症状

更年期障害の症状のひとつとして、胸の張りや痛みが現れることがあります。これは更年期に入ったことによるホルモンバランスの変化によるものです。

通常、閉経前後の5年間を「更年期」と呼び、この期間に現れる様々な症状を「更年期障害」と呼びます(※1)。胸の張りや痛み以外にも、ほてりや動悸、だるさなど、更年期障害でみられる症状が現れていないかを確認しましょう。

妊娠の初期症状

生理後に胸の張りや痛みがみられるときは、妊娠している可能性もゼロではありません。生理だと思っていたものが実は不正出血で、妊娠が成立していることも考えられます。

もし妊娠の疑いがあるようなら、生理予定日から1週間以上経ってから、妊娠検査薬を使用してみましょう。陽性反応が出たら、病院を受診してくださいね。

乳房の疾患

胸の張りや痛みの裏に、乳房の疾患が隠れている可能性もあります。乳房の疾患は様々な種類があり、自己判断は難しいものです。生理後の胸の張りや痛みが長く続くときや、痛みが強いときは、病院を受診して検査を受けましょう。

胸の張りや痛みが症状として現れる疾患については、このあと詳しくご説明します。

生理後の胸の張りや痛みで疑われる病気は?

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前述のとおり、生理後に胸の張りや痛みが続くときは、何らかの疾患が原因である可能性があります。胸に張りや痛みを感じる疾患としては、下記のようなものが代表的です。

乳腺症

乳腺症とは、乳腺のなかにある細胞が増えすぎたり、退行したりすることで、胸に硬いしこりができた状態です。病気というわけではなく、女性なら誰にでも起こりうるものです(※2)。

乳腺症の場合、生理前に強い胸の痛みや張りがみられ、生理後には消えるのが一般的ですが、まれに、生理後まで痛みや張りが残ることもあるようです。

閉経すれば自然と収まるものですが、乳がんのリスクが高まる可能性があるため、経過観察をしていく必要があります。

線維腺腫

線維腺腫になると、片側、もしくは両側の胸に、コロコロと動く腫瘍ができます。20~30歳代の女性がかかりやすく、まれですが、痛みを伴うこともあります(※2)。

線維腺腫は病気ではないので、基本的に治療は必要ありません。しかし、腫瘍があまりにも大きかったり、成長速度が早かったりするときは、手術を行うこともあります。

乳がん

乳がんは、女性のがんのなかで最も発生頻度が高く、患者数が年々増加しています(※2)。40~60代の女性に起こりやすいですが、20~30歳代の女性にも起こる可能性があります。

乳がんになると、胸に硬いしこりができたり、乳頭が陥没したりと、胸の見た目に変化があらわれることが多くあります。まれに、痛みを感じることもあります。

乳がんは、全身にがん細胞が散らばりやすいという特徴があるため、早期発見・早期治療が大切な疾患です。

生理後に胸の張りがあって痛いときの対処法は?

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生理後に胸の張りや痛みが起こる原因を自分で判断するのは難しいものです。そのため、胸の張りや痛みが続いたり、強く現れたりするような場合は、まず病院で、乳房の疾患がないかどうかを診てもらってください。

病院を受診し、病気の可能性がないことがわかったら、胸の張りや痛みをできるだけ抑えるために、自分でできる対処法を行ってみるのも良いでしょう。下記のような方法がおすすめです。

バランスの取れた食事を心がける

栄養バランスの取れた食事で、ホルモンバランスを整えましょう。色々な食材をバランスよく食べて、栄養素が偏らないように意識することが大切です。

野菜が不足している人はサラダをプラスする、肉をよく食べる人は意識的に魚を食べる日を作るなど、できることから始めてみてくださいね。

ストレスと上手に付き合う

過剰なストレスは、ホルモンバランスを乱す原因になります。日常生活のなかでストレスをゼロにすることは難しいので、ストレスが溜まりすぎる前に、こまめに発散できるといいですね。

趣味や遊びで気分転換をしたり、毎晩あたたかいハーブティーを飲んだりと、自分がリラックスできる時間を持つことが大切ですよ。

ゆったりした下着を身につける

胸の張りや痛みを感じているときに窮屈な下着を着用すると、症状を助長してしまうことがあります。張りや痛みを感じている間は、ノンワイヤーやカップ付きキャミソールなどで、胸をゆったり包んであげるようにしましょう。

冷えを解消する

体が冷えると、臓器の働きが悪くなります。子宮の働きが悪くなると、ホルモンバランスの乱れにもつながりかねません。

湯船に浸かる、冷房に直接あたらないようにする、腹巻を巻くなど、日常生活のなかで冷え対策ができるといいですね。

生理後の胸の張りや痛みは早めに婦人科へ

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一般的に、生理後は胸の張りや痛みが現れにくい時期なので、違和感があれば早めに婦人科を受診しておくと安心です。

病気などが原因であれば早めに治療を行うことが大切ですし、ホルモンバランスの乱れでも、その度合いによってはきちんと治療をする必要があります。

胸の張りや痛みは人に相談しにくいと思いますが、多くの女性が感じている悩みです。一人で悩まず、早めに専門家へ相談したほうが、痛みも心も軽くなりますよ。

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