子供にケガはつきものです。どんなに注意深く見守っていても、転んで頭にたんこぶができてしまうこともあると思いますが、たんこぶはそのまま放っておかず、その後のケアをしっかりと行い、変わった様子がないか観察してあげることが大切です。今回は、子供が頭を打ってたんこぶができたときの確認事項と病院へ行く目安、対処法、予防法などについてご紹介します。
子供は頭を打って、たんこぶができやすい?
子供は他の体のパーツと比べて頭が大きいため、大人と比べると転びやすく、頭をぶつけてたんこぶができることもよくあります。
特に、つかまり立ちやよちよち歩きを始めたばかりの子供は、バランス感覚や下半身の筋肉が発達していないため、すぐによろけてしまいます。好奇心旺盛で、あちこちに動き回ろうとしますが、ちょっとしたバランスの崩れで転倒し、頭を打ってたんこぶができやすいのです。
子供にたんこぶができたときの確認内容は?2歳未満は注意が必要?
子供が体をぶつけると、打った場所や強度によってさまざまな影響が出てしまうことがあります。ぶつけた箇所が頭の場合は、打ってたんこぶができた直後は平気そうにしていても、数時間後に嘔吐などの症状が出てしまうこともあります。
子供が頭を打ってたんこぶができても、すぐに症状が出にくいため、最低6〜12時間は自宅で安静にし、様子を見てあげてください(※1)。
特に、まだ気持ちや痛みを正確に伝えることができない2歳未満の子供が頭を打ってたんこぶができてしまったときは、様子の変化を見過ごさないようにしっかりと観察する必要があります。
ここからは、子供が頭を打ってたんこぶができた場合に確認するポイントをご紹介します。
しばらく様子をみる
- ● 頭を打ってすぐに泣いた
- ● たんこぶ以外の症状はない
- ● いつもと表情や手足の動きに変わりがない
たんこぶができても、いつもと変わりなく元気そうであれば、しばらく様子を見て念のため小児科を受診しましょう。
しかし次のような症状が見られたときは、すぐに救急医療病院を受診してください(※2)。
救急医療病院を受診する
- ● 大人の親指以上のたんこぶができている
- ● 吐き気や嘔吐の症状が繰り返し現れる
- ● たんこぶから出血している
- ● 頭を打ってから泣くまで数十秒かかった
救急車を呼ぶ
- ● ぶつけたところがへこんでいる
- ● ぐったりとして意識が朦朧としている
子供が頭を打って、意識がない、もしくはけいれんを起こしているときは、救急車を呼んでください(※3)。口や鼻に顔を近づけたり、胸の動きを観察したりして、子供が呼吸していないと分かったら、救急車が来るまでの間、心肺蘇生を行います。
ぶつけたところから出血していたら、圧迫止血を行い、病院を受診してください。急な事故で救急車を呼ぶべきかの判断に迷ったときは、小児救急電話相談(#8000)へ電話して、指示を仰ぎましょう。
子供が頭を打ってたんこぶができたら、いつまで様子を見る?
子供が頭を打ってたんこぶができた場合、脳に損傷が起きている可能性もゼロではありません。頭を打った後に、たんこぶ以外に目立った症状が見られなくても、2日程度は様子を見るようにしましょう(※3)。
また、病院を受診した後でも、たんこぶ以外に次のような症状が現れた場合は病院を再度受診しましょう(※1)。
- ● 頭痛が除々にひどくなり、起きていられない状態
- ● フラフラしてまっすぐに歩けない
- ● 風邪の症状がないのに、38度以上の熱が出ている
- ● 顔や手足に力が入らない
- ● 水分がとれない
- ● 寝てばかりいて眠気が強く、起こしても起きないほど熟睡している
- ● 顔色が悪い
- ● 2〜3回以上嘔吐する
- ● 目が見えづらく、ものが二重に見える
子供にたんこぶができたときの対処法は?冷やせばいいの?
子供が頭を打った場合、現れる症状によって対処法は異なります。症状別の対処法の手順は、以下の通りです。
たんこぶができた場合
たんこぶができた箇所を、タオルでくるんだ保冷剤などで20分ほど冷やしてあげましょう(※3)。その後の経過も、気をつけて観察してあげてください。
体温が上がると血流が促進され、たんこぶが悪化してしまう恐れがあるので、その日の入浴は短時間ですませましょう。
大きな声で泣いている場合
頭をぶつけて大声で泣いていたら、あやして落ち着かせてあげましょう。出血や嘔吐などの症状もなく機嫌が戻って、顔色もよければ、しばらく様子を見ます。
出血している場合
頭から出血している箇所を、清潔なタオルやガーゼなどで上から圧迫止血して、脳神経外科のある病院を受診します。出血している箇所が砂や土で汚れていたら、圧迫止血する前に水で洗って消毒してあげてください。
体が小さく全体の血液量が少ない子供だと、大人から見て少量の出血でも大きな負担になることがあるので、できるだけ迅速に対処しましょう。
子供が頭を打ってたんこぶができないようにするためには?
ちょっとした心がけで、子供が頭を打つことを予防したり、頭をぶつけてもたんこぶができるのを減らしたりすることができます。子供の頭を守るためにも、ぜひ以下の方法に取り組んでみてください。
- ● モノが落ちてくる場合を考えて、高い場所にモノを置かないようにする
- ● 頭をぶつけたときのダメージが大きい家具の角などに、クッションテープを貼る
- ● 幼児が勝手に階段を上り下りしないように柵を設置しておく
- ● ベビーベッドが転落しないように柵を上げておく
- ● ジョイントマットやラグの上で遊ばせる
子供が頭を打ったら、まずは気持ちを落ち着かせて
子供が頭を打ってたんこぶができたときは、できるだけ冷静に状況を判断できるよう、まずは気持ちを落ち着かせましょう。
たんこぶができるということは、それだけ強く頭を打っているので、目には見えませんが脳に影響がある可能性もあります。
「何かおかしい」と感じることがあれば、すぐに病院を受診してください。何も問題ないかもしれませんが、「問題がない」ということを確認することができれば、安心ですよね。
自家用車で病院へ向かう場合は、急ぎすぎて交通事故を起こさないように注意してください。意識がなかったり、けいれんを起こしたりしているときは、すぐに救急車を呼びましょう。
子供のケガを完全に予防するのは難しいことです。日頃から母子手帳や保険証を持ち歩き、また情報収集もしておいて、もしもの場合に備えられるといいですね。