ダウン症の検査方法は?妊娠中に受けられる?費用はいくらくらい?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

妊娠・出産の年齢が上がるにつれて、赤ちゃんがダウン症などの染色体の病気をもって生まれる確率を気にする人も多いようです。出生前検査を希望すれば、ダウン症の可能性があるかどうかを調べられますが、具体的にどのような検査なのでしょうか?

今回は妊娠中に赤ちゃんのダウン症の可能性を調べる検査について、どんな種類があるのか、受けられる時期、検査方法、費用などをご紹介します。

ダウン症とは?

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ダウン症とは、正式には「ダウン症候群」といい、21番目の染色体が通常より1本多く存在することによって起こる生まれつきの疾患です。

「21トリソミー型」「転座型」「モザイク型」の3種類があり、約95%が21トリソミー型のため、ダウン症のことを21トリソミーと呼ぶこともあります(※1)。

ダウン症の赤ちゃんが生まれる割合は、約600〜800人に1人です(※2)。しかし、出産時の母親の年齢が高くなるほど発症率は上がり、20歳で1,667人に1人、30歳で952人に1人であるのに対して、35歳では385人に1人、41歳では86人に1人となります(※3)。

ダウン症の検査方法にはどんな種類がある?

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ダウン症の可能性は、「出生前検査」を行うことによって調べることができます。出生前検査には、大きく分けて「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類があります(※4)。

「非確定的検査」は、染色体の病気の可能性を調べるための検査で、確定診断にはなりません。結果によっては、確定的検査を受けるかどうか検討する必要があります。

「確定的検査」は、赤ちゃんの染色体の病気が、ほぼ100%の確率でわかる検査です。さまざまな種類の染色体異常があるか・ないかがわかりますが、症状や病気の重さまでは調べられません。妊婦さんのお腹に針を刺すため、わずかながら流産のリスクがあります。

次からは、非確定的検査と確定的検査にはどんなものがあるのか、各検査の受けられる時期、検査方法、費用などをみていきましょう。

ダウン症の非確定的検査にはどんなものがある?

出生前検査の比較的的検査には、大きく分けて以下の3種類あります。

NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)

採血 血液検査 

・検査できる時期:妊娠9〜10週以降
・検査方法:採血のみ
・費用:10万~20万円(自費診療で保険適用外。施設によっては確定診断の費用が含まれていることもある)
・結果が出るまでの日数:1〜2週間程度
・ダウン症の他に調べられる病気:18トリソミー、13トリソミー

妊婦さんから採取した血液中のDNA断片を分析して、赤ちゃんに染色体異常がないかどうかを検査します(※5)。早い時期から検査ができることが特徴です。

結果は「陽性」「陰性」「判定保留」のいずれかで示されます。ダウン症の陽性的中率(陽性判定が出て実際にダウン症である確率)は比較的高いとされています(※6)。

超音波マーカーの検査・コンバインド検査

超音波検査 エコー検査 お腹 妊娠後期

・検査できる時期:妊娠11〜13週
・検査方法:超音波検査、採血
・費用:5千~5万円程度(自費診療で保険適用外)
・結果が出るまでの日数:即日〜2週間程度
・ダウン症の他に調べられる病気:18トリソミー、13トリソミー

赤ちゃんがダウン症である場合に変化がでやすい「マーカー」と呼ばれる場所を超音波で調べる検査です(※7)。

特に、首の後ろのむくみを測定することによって、ダウン症が疑われるかどうかをチェックします。血液検査と組み合わせた「コンバインド検査」を行うことで、より精度が高くなります。

結果は、「1/256」「1/8」といったように分数で表示され、例えば1/256の場合、「1/256という結果の人が256人いたら、そのうち1人はダウン症で、255人はそうでない」という意味になります。「1」や「0」といった結果が出ることはなく、最大の数値は1/2です。

母体血清マーカーテスト

採血 注射器 注射

・検査できる時期:妊娠15〜18週
・検査方法:採血のみ
・費用:2~3万円程度(自費診療で保険適用外)
・結果が出るまでの日数:10日〜2週間程度
・ダウン症の他に調べられる病気:18トリソミー

妊婦さんの血液を少量採取し、血液中に特定の物質がどんなバランスで含まれているかを調べることで、赤ちゃんに染色体異常がないかどうかを検査します。調べる物質の数によって「トリプル検査」や「クアトロ検査」などと呼ぶこともあります(※8)。

結果は、コンバインド検査と同じように「1/256」「1/8」といった確率で表示されます。

ダウン症の確定的検査にはどんなものがある?

出生前検査の確定的検査は、以下の2種類があります。

羊水検査

妊婦 お腹 張り 冷え

・検査できる時期:妊娠15〜16週以降
・検査方法:羊水を採取
・費用:10~20万円(自費診療で保険適用外)
・結果が出るまでの日数:2〜3週間
・ダウン症の他に調べられる病気:染色体の病気全般

超音波検査で赤ちゃんの位置や胎盤を確かめながら、妊婦さんのお腹に注射針を刺して子宮から羊水を抜きます(※9)。羊水中の赤ちゃんの細胞を培養して染色体異常があるかを調べます。

羊水検査のダウン症に対する検査感度はほぼ100で、確定診断に使うことができます(※6)。注射針をお腹に刺すためリスクが伴い、0.3〜0.5%の確率で流産に至ることがあります(※6)。

絨毛検査

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・検査できる時期:妊娠11〜14週
・検査方法:絨毛を採取
・費用:10~20万円程度(自費診療で保険適用外)
・結果が出るまでの日数:2〜3週間
・ダウン症の他に調べられる病気:染色体の病気全般

超音波検査で赤ちゃんの位置や胎盤を確かめながら、妊婦さんのお腹に注射針を刺して、絨毛(胎盤から子宮壁に伸びる突起)を採取します。採取した胎児の細胞を培養して、染色体異常の有無を調べます。

羊水検査と同じように、検査感度はほぼ100%で、ダウン症の確定診断に使うことができます(※6)。針を刺すことによる流産のリスクも同様で、1%の確率で流産に至ることがあります(※6)。

ダウン症の検査についてよく理解したうえで検討しよう

出生前検査でダウン症の可能性を調べるか検討するときには、「もし確定診断で陽性だったらどうするのか」「赤ちゃんの先天性の病気はたくさんある中で、なぜダウン症の検査を受けるのか」といったことを、パートナーや家族としっかり話し合うようにしましょう。

医師ともよく相談し、遺伝カウンセリングを受けたうえで、納得のいく選択ができるといいですね。

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