生理不順や不妊治療で「ルトラール」を処方され、服用したあと「生理がこない」「生理が遅れている」と不安に感じた経験がある人もいるかもしれません。ルトラールを飲むことで生理周期がどうなるのか、きちんと知っておきたいですよね。今回は、ルトラールの服用で生理が遅れる理由や、服用して何日後に生理がくるのかについてご説明します。
ルトラールと生理はどう関係しているの?
ルトラールは合成黄体ホルモン剤の一つですが、生理(月経)のリズムとどのような関係があるのでしょうか?
女性ホルモンには「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」があります。この2つのホルモンがバランス良く分泌されることで、子宮内膜が厚くなったり剥がれ落ちたり、というサイクルを繰り返し、生理周期が作り出されます。
黄体ホルモンには「排卵後に基礎体温を上げ、子宮内膜の充実した状態を維持する」という作用があります。何らかの原因で黄体ホルモンが不足していると、子宮内膜が十分厚くなる前に剥がれ落ちてしまい、生理周期が乱れてしまいます。
また、子宮内膜は受精卵が着床するベッドのようなものなので、黄体ホルモンが不足して厚さが維持できないと、着床が難しく、不妊の原因にもなります。
ルトラールを飲むことで黄体ホルモンの作用が補われると、子宮内膜の厚さが維持されます。ルトラールを飲みきったあとは、黄体ホルモンが少なくなるので、子宮内膜が剥がれ落ち、経血として体外に流れ出ます。
このように、ルトラールを継続的に服用することで人工的に生理のリズムを整えることができ、妊娠しやすい体の状態が作られることが期待されます。
ルトラールを飲んで何日後に生理がくるの?
ルトラールを飲んでいる期間中は、黄体ホルモンが補充されることで、子宮内膜の厚い状態が保たれます。そのため、基本的に服用中には生理が来ず、飲みきってから数日後に生理がきます。
明確に「何日後」と決まっているわけではなく、人によってはルトラールを飲み終えた翌日に生理がきたり、10日過ぎてもこなかったりと個人差があります。
飲み始めのときは、まだホルモンバランスが不安定ですが、医師の指示にしたがって服用サイクルを繰り返すことで、生理周期が自然に整っていくことが期待できます。
ルトラールで生理が遅れる・こないのは?
ルトラールの服用中は、黄体ホルモンが一時的に補充されて基礎体温が上昇するため、高温期が継続されます。ルトラールを飲みきったあとは、黄体ホルモンが減って基礎体温が下がっていき、子宮内膜が剥がれ落ちて数日後に生理がきます。
ただし、ルトラールの効果がどれくらい続くかは人によるため、ルトラールを飲み終えたあともしばらく体温が高い状態が続き、「なかなか生理がこない」ということもあります。また、基礎体温は下がったけれど生理は始まっていない、ということもまれにあります。
生理がこないと「妊娠したかも?」と期待するかもしれませんが、ルトラールによって生理周期が調整され、生理が遅れているだけの可能性もあります。
病院でルトラールを処方してもらうとき、「生理が何日こなかった場合に、妊娠検査薬を使って調べてみるべきか」の目安を聞いておくと、落ち着いて過ごせるかもしれません。
ルトラールの服用中に生理がくる人もいる?
ルトラールをまだ飲み終えていないのに生理がくる、という可能性もゼロではありません。
たとえば、もともと卵巣などの機能が著しく低下していると、ルトラールによって黄体ホルモンの不足を補いきれず、服用期間中に子宮内膜が剥がれ落ちてしまうこともありえます。
もし、ルトラールを飲んでいる期間中に生理がきた場合、自己判断で飲み続けるのではなく、かかりつけの婦人科の医師に相談しましょう。ルトラールの服用量を増やすなど、治療法を検討することが必要となります。
なお、ルトラールの製造販売元によると、副作用として不正出血が現れることもあります(※1)。医師からあらかじめ言われていた生理予定日より前に、少量の出血が見られた場合、生理ではなくルトラールの副作用である可能性も考えられます。
その場合、ルトラールの服用量を減らしたり、いったん治療を休んだ方がいいこともあるので、医師に症状を報告しましょう。
ルトラールで生理がこないときも落ち着いて
通常は、ルトラールを飲みきって数日後に生理がきますが、飲み始めたばかりで体が慣れていなかったり、卵巣機能が著しく低下していたりすると、思っていたタイミングで生理がこないことも。
ルトラールを処方された時点で、「およそ何日後に生理がくるのか」「何日以上生理がこなければ病院に連絡した方がいいか」といった目安を医師に確認しておき、できるだけ落ち着いて過ごせるといいですね。
生理がこないことを心配しすぎると、ますます生理が遅れてしまうこともあるので、不安なことがあればかかりつけの医師に相談してみてくださいね。