泣き止まない赤ちゃんをあやしていて少し強めに揺らしてしまったときに、「揺さぶられっ子症候群になってしまうのでは?」と不安を感じたママやパパは少なくないようです。どの程度の揺れでなってしまうかがわからないと、いたずらに不安だけが一人歩きしてしまいますよね。
今回は揺さぶられっ子症候群について、どんな場合に起こるのか、どんな症状が出るのか、対処の仕方などをご紹介します。
揺さぶられっ子症候群とは?新生児にも起きる?
揺さぶられっ子症候群とは、ママやパパが赤ちゃんの体に強い振動や長時間の振動を与えたことで、赤ちゃんの脳内で出血などの障害が引き起こされることをいいます。「揺さぶられ症候群」と呼ばれることもあります。
揺さぶられっ子症候群は主に新生児~生後6ヶ月の赤ちゃんに起こります(※1)。
低月齢の赤ちゃんは脳と頭蓋骨との間に隙間があいています。また体に対して頭が重く頭を支える首の筋肉や血管も衝撃に弱いため、頭を強く揺らされると血管が切れてしまうことがあります。
その結果、脳血管からの出血により命にかかわる事態を招いてしまうのです。
生後半年を過ぎれば首も据わり、体の揺れに対しても反射的に体をこわばらせて防御できるようになるので、揺さぶられっ子症候群になる可能性はほとんどなくなりますよ。
揺さぶられっ子症候群の症状は?
赤ちゃんに強い振動や長時間の振動を与えてしまった場合に以下のような症状がいくつか現れていれば、揺さぶられっ子症候群が起きている可能性があります。
- 元気がなくなる、機嫌が悪くなるなどいつもと様子が異なる
- すぐに眠ってしまう(傾眠傾向)
- 風邪などをひいていないのに繰り返し嘔吐する
- けいれんを起こす
- 呼んでも応えない(意識障害)
- 呼吸抑制
- 強く刺激しても目覚めない昏睡状態
処置が早ければ早いほど揺さぶられっ子症候群から回復する可能性があり、処置が遅れるほど重篤な障害のリスクが高まります。
すみやかに救急病院へ連絡しましょう(※3)。
揺さぶられっ子症候群が起こる揺れとは?
揺さぶられっ子症候群になりえる揺れは、赤ちゃんの頭が前後にガクンガクンと激しく揺れるようなときと考えてください。具体的には、「2秒間に5~6回ほど強く・速く頭を揺らすことを15秒以上」が目安です。
特に揺さぶられっ子症候群が起こる場面で多いのは、赤ちゃんが泣きやまずママやパパがイライラしてしまったときです(※3)。
なかなか寝てくれなかったりあやしても泣き続けたりする状況が続き、ストレスが積み重なって突発的に赤ちゃんの肩を前後に激しく揺らしてしまうことが、揺さぶられっ子症候群の原因として挙げられます。
大人でも驚くくらいの強い力で揺らさなければ、発症することはまれです。基本的には、常識的な範囲で接していれば問題ありません。
高い高いやバウンサー・車で少し強めに揺れてしまったと思っても、揺さぶられっ子症候群になることはありません(※2,3)。
赤ちゃんが泣き止まずにイライラしてしまったときは?
赤ちゃんが泣き止まずにイライラしてきたら、まずは一度その場を離れてください。
赤ちゃんをパートナーに任せるかベビーベッドなどの安全な場所に移動させ、深呼吸して落ち着いてから、赤ちゃんの様子を見てあげましょう。
また、赤ちゃんが生後1ヶ月を過ぎていたら、数分で良いので外の空気を吸わせてみると、泣き止むことがあります。赤ちゃんもママ・パパも、気分転換が重要ですよ。
赤ちゃんが泣き止まないときの対処法は?
赤ちゃんが泣きやまないときは、甘えたい、おなかがすいた、暑い・寒い、寂しいなどの理由が考えられます。
対処法として、以下の方法を試してみましょう(※3)。
不快な状態を取り除いてあげる
母乳やミルクをあげたり、オムツを替えたり、抱っこをしたり、汗を拭いてあげたり、赤ちゃんが不快に思う可能性のあることを、一つずつ試してみましょう。赤ちゃんのオムツの中や服の下の汗をかきやすいところを含めて、変わりがないか確認してみてください。
安心できる環境を作ってあげる
赤ちゃんはお腹にいたときの頃を思い出すと、リラックスして自然と泣き止むといわれています。例えば、おくるみで包んであげたり、妊娠中のお腹の中の音に近い「サー」という音を聞かせたり。ガサガサ音や掃除機の音、水が流れる音も赤ちゃんの泣き止みに効果的といわれていますよ。
小さな心がけで揺さぶられっ子症候群の危険は防げる
赤ちゃんと普通に接していて揺さぶられっ子症候群が起きてしまうのはきわめてまれです。ほとんどの家庭では心配しすぎることはありません。
ただ、ママやパパも人間なので、赤ちゃんが泣き止んでくれないときにイライラしてしまって、強く当たってしまうことが絶対ないとは言い切れません。
余裕がなくイライラしている自分に気がついたときは、我慢せずにパートナーや医師などに相談しましょう。1人でがんばりすぎないことも、揺さぶられっ子症候群を引き起こさないためには大切ですよ。