ミルク育児や混合育児で、赤ちゃんのミルクを準備しようとしても、初めてのときは作り方や手順がわからないというママもいますよね。粉ミルクには、生まれてからすぐに飲ませることができるミルクと、離乳食時の栄養の補助として飲ませるフォローアップミルクの2種類がありますが、どちらも作り方は同じです。今回は、粉ミルクの作り方について、使う水や、赤ちゃんに最適な温度、量などをご紹介します。
そもそも、粉ミルクの種類や成分は?
乳児用の粉ミルクは、厚生労働省が定めた「母乳及び乳児用調製粉乳の成分組成と表示の許可基準」によって基準値が設定されていて、品質が保たれています(※1)。
新生児から飲ませることができる粉ミルクには、母乳に近い成分が含まれています。主に、ビタミン類、わずかな量ながらカリウムやカルシウム・マグネシウムといったミネラルをはじめ、DHA、ラクトフェリン、β‐カロテンなどが入っています。赤ちゃんの便秘予防になるオリゴ糖が含まれているものや、アレルギーを持つ赤ちゃん用に調整されているものもありますよ。
メーカーごとに風味や形状、価格が異なりますが、基本の成分は同じです。赤ちゃんの体質や好みに合わせてあげると良いですね。はじめは赤ちゃんの体質や好みもわからないので、退院する前に看護師さんや助産師さんに相談してみてください。
離乳食時に使用することがあるフォローアップミルクは、離乳食では摂りきるのが難しい栄養を補助する成分が主に含まれています。乳児健診で薦められた場合は、どの成分を中心に選んだ方が良いか聞いてみましょう。
粉ミルクは、従来通りの缶タイプの他に、スティックタイプや固形タイプがあります。家で作る場合は缶タイプを、持ち運ぶときはスティックタイプなど、シチュエーションによって使い分けましょう。
粉ミルクの作り方!赤ちゃんに最適な温度や量とは?
粉ミルクにはたくさんの種類がありますが、どれも基本的な作り方・調乳方法は同じです。まずは、粉ミルク・哺乳瓶・調乳用のお湯を準備して、以下の手順を参考にミルク作りをしてみましょう。
粉ミルクによっては異なる場合もあるので、説明書きや注意点をよく確認してくださいね。
1. 自分の手や周辺を清潔にする
生まれて間もない赤ちゃんは雑菌への抵抗力が弱いので、ミルクを作る前は手を洗い、ミルクを作る場所も清潔に保ってください。
2. 消毒済みの哺乳瓶を準備する
哺乳瓶は1回使用するたびに消毒しておきます。消毒が完了した哺乳瓶を用意しましょう。
3. 70~80度のお湯を用意する
70度以下のお湯では粉ミルクが溶けにくく、雑菌が残る可能性があります。70度以上のお湯を使いましょう。ただし、熱湯のままでは粉ミルクの栄養分が破壊されるので、沸騰後に少し冷ましておいてください。
4. 粉ミルクを哺乳瓶に入れて、お湯を半分ほど注いで溶かす
粉ミルクの分量を調べ、完成量の半分ほどのお湯を注いで溶かしましょう。すべて70度以上のお湯で作ると冷ますのに時間がかかるので調乳用の水を注げる余地を残すのがポイントです。
粉ミルクを1日8回与える場合、1回分の目安量の基本は、生後0~7日で10ml+生後日数×10ml、生後2週間になると80~100ml、生後3・4週間になると100~120mlと、少しずつ増やしていきます。
5. 完成量まで湯冷ましか調乳用の水を注ぐ
調乳用の水を注いで完成量にします。極力泡立てずに、哺乳瓶を水平にゆっくり回すようにして混ぜましょう。
6. 哺乳瓶の上から冷たい流水を当てて、人肌まで冷やす
手首と肘の中間あたりの腕の内側に、哺乳瓶の乳首の先からミルクを1滴垂らし、温度を確認します。少し温かいと感じるくらい(38~40度)がベストです。熱い場合、適温になるまで流水にあてて冷やしましょう。
粉ミルク用の水(調乳水)は何を使えばいいの?
調乳するときの水によって、粉ミルクの栄養素に影響を与えてしまうことがあります。基本的に各メーカーは水道水で作ることを前提に粉ミルクを作っていて、たとえば、明治では水道水で作るように推奨しています(※1)。
これは、ミネラルウォーターでミルクを溶くと、必要以上にミネラルを摂取して赤ちゃんに負担がかかってしまうためです。メーカーも、ミネラルウォーターを使用する場合はできるだけミネラルが少ないものを選び、一度沸騰させてから使用するように勧めています。
日本は水質基準が厳しく清潔に保たれているので、水道水を煮沸するだけで粉ミルクに最適の水になります。浄水器を通した水でも問題ありませんが、ミネラル分が添加されていないかどうかをチェックしてくださいね。
粉ミルク用の水でミネラルウォーターを使うときの選び方は?
水は性質上、カルシウムやミネラルを多く含んだ硬水と、それらが少ない軟水に分類されます。粉ミルクはたくさんの栄養素を含んでいて、硬水を使うとカルシウムやミネラルが過剰になってしまうことから、調乳用の水には軟水が適しているのです。日本の水道水も軟水です。
市販の水を使用する場合も、軟水を選ぶようにしましょう。日本の水を使用したミネラルウォーターであればほとんどが軟水です。「六甲のおいしい水」「南アルプスの天然水」「森の水だより」などは軟水なので、一度煮沸してから調乳用の水にしてください。
海外の水を使ったミネラルウォーターのほとんどは硬水です。具体的には「コントレックス」「エビアン」などですが、粉ミルクの調乳用に使うのは控えましょう。
ただし、日本産のミネラルウォーターでも硬度が高いもの、逆に海外産ミネラルウォーターでも硬度が低いものもあります。使用前に確認してくださいね。
粉ミルクの作り方のコツは?湯冷ましが便利!
赤ちゃんが泣くたびに、毎日昼夜関係なくミルクを作るのは大変ですよね。ちょっとしたコツやミルク用のグッズを使えば、短時間で作ることができます。
以下を参考に、ミルク作りにかかる時間とストレスを減らしましょう。
粉ミルクを作るコツ
調乳ポットを利用する
粉ミルクを溶かすのに必要な70度のお湯をキープできる電気ポットや調乳用ポットを活用し、お湯を沸かす手間や時間を短縮する。
ミルクケースで小分けしておく
粉ミルクを計量するときは、1回分ずつ小分けにできるミルクケース(ミルクストック)を使って事前に用意しておきましょう。ポットとミルクケースがあればミルクを作り慣れていない家族でもすぐに作ることができます。
最近は小分けにされたブロック状の粉ミルクもあるので、夜間用・お出かけ用にすると便利です。
湯冷ましを作り置きしておく
ミルクを流水にさらして冷やすのも手間がかかりますよね。あらかじめ湯冷ましをまとめて作っておくと、時間が短縮できます。
溶かす用のお湯を必要量の手前で止めて、粉ミルクがとけたら湯冷ましを足して量を調節しつつ、同時にミルクを冷ます手助けをします。冷蔵庫で冷やした湯冷ましは、作ったその日のうちに使い切るようにしましょう。
粉ミルクの作り方や、赤ちゃんに飲ませるときの注意点は?
赤ちゃんに粉ミルクを作ったときは、2時間以内には飲ませてあげましょう。ミルクを作り置きしたり、一度飲み残したミルクをまた飲ませるのは控えましょう。雑菌が繁殖している可能性があるためです。
赤ちゃんが寝てしまったり、飲んでくれなかったりしても、2時間経ったら捨てるのが基本です。少し面倒ですが、赤ちゃんでも食中毒の危険性があるので、飲むタイミングで作ってあげてくださいね。
また、哺乳瓶は使うごとにしっかり消毒してあげることも大切です。煮沸や電子レンジによる加熱消毒をする方法のほか、ミルトンなど薬液に浸けておくだけで消毒できる方法もあります。一度洗剤できれいに洗ってから消毒してあげてくださいね。
夜間の授乳で大変なときは哺乳瓶を数本準備しておき、浸かったら水に浸けておいて、朝にまとめて消毒するというママもいます。赤ちゃんの健康のためにも、工夫しながら習慣づけていきましょう。
粉ミルクの作り方を工夫して負担を減らそう
粉ミルクは、毎回粉ミルクの量を測ったり、お湯を作ったり、調乳後に冷ましてあげるなど工程が多く、毎日何度も作るのが大変ですよね。哺乳瓶の本数を増やすことやミルク用のグッズを上手に活用して、ママの負担が少ない方法で作るようにしましょうね。
母乳はママしか与えられませんが、粉ミルクならパパや他の家族でも飲ませてあげることができます。赤ちゃんの世話で疲れてしまったときは、粉ミルクの作り方を覚えてもらって家族のみんなに協力してもらいましょう。「自分ががんばらなきゃ」と気を張りすぎず、周囲の協力を得ることも大切です。