現在妊活中の人や、将来的に赤ちゃんが欲しいと考えている人にとって、着床の確率は気になる話題ではないでしょうか。また、「年齢を重ねると妊娠しにくくなる」といわれることもあり、着床率を上げる方法も気になるはず。そこで今回は、着床の確率はどれくらいなのか、年齢が増えると着床率は下がるのか、また、着床率を上げるにはどのような方法があるのかなどを紹介します。
着床って?
着床とは、卵子と精子が受精してできた受精卵が、子宮内膜に根を下ろした状態です。着床は受精卵が誕生してから6〜7日後頃から始まり、12日後頃に終わります(※1)。
いわゆる「妊娠」とは受精したことではなく、この着床が起きたことを指します。
自然妊娠の着床の確率はどれくらい?
健康なカップルが避妊をしない場合、自然妊娠の着床の確率は、1周期(1ヶ月)あたり約20%とされています(※2)。
累積の着床率だと、6ヶ月で73.8%、1年間で93.1%になります。
不妊治療の着床率は?
不妊治療を進めている人にとって、それぞれ不妊治療の着床率は気になるところですよね。ここでは、不妊治療ごとの着床の確率をご紹介します。
タイミング法の着床率は?
排卵日を予想して、性行為のタイミングを妊娠しやすい日に合わせるのがタイミング法です。受精とその後の着床の確率を高めるために、排卵誘発剤で卵巣を刺激する治療が行われることもあります。
タイミング法の着床率は、1ヶ月あたりで約3%とされています(※3)。
人工授精の着床率は?
タイミング法で妊娠しない場合や、男性に勃起障害などがある場合に行われるのが、人工授精です。精液を洗浄・濃縮して、直接子宮内に注入します。
一般的な性行為の場合、射精された精子は子宮頸管から子宮腔内、卵管を経て卵子まで到達します。その過程で数千万個の精子の多くは力尽き、卵子にたどり着く頃には数十個まで減ってしまいます。
しかし、人工授精ではその道のりを短縮できるため、受精しやすくなり、その後の着床の確率も上がることになります。人工授精の1ヶ月あたりの着床率は、約5%とされています(※3)。
体外受精・顕微授精の着床率は?
体外受精と顕微授精は採取した卵子と精子を体外で受精させ、一定期間育てた後に女性の子宮に移植する方法です。
体外受精では培養液のなかで卵子に精子を振りかけて受精を目指しますが、なんらかの受精障害があり、それが難しい場合には、顕微受精が行われます。これらを総称してARTとも呼ぶこともあります。
ARTでの着床率は16.3%です(※4)。
着床率は年齢で変わる?
着床率は、年齢の影響を直接的には受けないと考えられています(※2)。
ただし実際には、着床率は年齢が進むにつれて低くなる傾向があります。日本産科婦人科学会によると、不妊頻度は25~29歳で8.9%であるのに対し、40~44歳では28.9%まで増えることがわかっています(※5)。
原因は様々ですが、年齢を重ねるに連れて卵子や精子が老化することや、子宮筋腫や子宮腺筋症などの子宮の病気の発症率が年齢が進むにつれて上昇することなどが考えられます。
着床率を上げるには?食べ物で変わる?
着床率を上げるには、食べ物や生活習慣を変えるなど、様々な方法がすすめられています。
血行を良くする食べ物を摂る
受精卵が着床する確率を上げるためには、子宮内膜が着床しやすい質や厚さになっていることが重要です。血液中の栄養素が子宮に行き渡ることでその準備が整いやすくなるとされているため、血行が良くなる食べ物を摂るといいかもしれません。
血行を良くする食べ物には、生のタマネギや長ネギ、納豆や黒酢、イワシやアジ、きのこ類や海藻類などがあげられています(※6)。
適度な運動を心がける
食べ物以外の方法でも、血流を良くすることは、着床率のアップにつながると考えられています。その方法は、適度に運動することです。特に普段デスクワークの人は、座っている時間が長くなることで子宮がある下半身の血流が悪くなりがち。
下半身の血流を良くするためには、10〜30分程度のウォーキングやストレッチ、フラダンスやベリーダンスなどもいいかもしれませんね。
体を冷やさない
体を冷やすことは血流の悪化につながります。そのため、冷房が効いているところや肌寒いところではカーディガンなどを一枚羽織ったり、ブランケットをかけたりして、体を冷やさないようにしましょう。
着床率を上げるために日々の生活を見直そう
前述の通り「着床=妊娠」のため、妊活中の人は着床率がどれくらいなのかは気になるところですよね。着床の確率は運任せではなく、日々の生活習慣や食べ物などを見直すことも大事かもしれません。
普段あまり運動をする機会がなかったり、食事が偏りがちという人は、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。