女性の不妊の原因を調べる検査の一つとして「卵管通水検査」があります。子宮から細い管を入れて生理食塩水を入れ、卵管の詰まり具合を調べる検査です。「不妊の原因は調べたいけど、子宮に管を入れるのは痛そう」と、戸惑ってしまう人も多いでしょう。そこで今回は、卵管通水検査とはどんな検査なのか、痛みはあるのか、費用はどのくらいかかるのかなどについて説明します。
卵管通水検査とは?
卵管とは、妊娠の際に女性の卵子と男性の精子が出会う場所であり、受精卵が子宮に向かって移動する細い管のことです(※1)。この卵管が塞がっていたり、卵管のまわりが癒着していたりすると、卵子が卵巣から卵管に取り込まれにくくなってしまうため、不妊症になってしまいます(※2)。
卵管通水検査とは、こうした卵管の異常を調べるための検査で、卵管の通り具合を調べる卵管疎通性検査の一つとしてよく行われます。
卵管通水検査では、子宮口から細い管を入れ、卵管へ生理食塩水を送り込みます。生理食塩水の注入に抵抗があったり、痛みが強かったりするときは、卵管の通りが悪くなっていたり、詰まっている可能性があります(※3)。
卵管疎通性検査には卵管通水検査以外に次のような検査方法があり、特に近年は超音波下通水検査や腹腔鏡下色素通水法が行われることが多くなっています。
超音波下通水検査
超音波検査を行いながら生理食塩水を子宮の中に注入し、卵管にも通るか観察することで卵管の通り具合を確認する方法です(※3)。超音波造影剤と呼ばれる薬剤を生理食塩水に混ぜて卵管に通し、超音波を使って卵管の通り具合を確認する超音波下子宮卵管造影検査というものもあります。
腹腔鏡下色素通水法
色をつけた生理食塩水を卵管に通し、腹腔鏡と呼ばれる道具を使って卵管の通り具合を直接確認する卵管通水検査です。卵管通水検査と同時に、卵管に異常が見られたときは卵管の手術もできるというメリットがあり、不妊の原因が卵管の異常にあるのか最終的な診断をくだすための検査として使われます(※3)。
子宮卵管造影(HSG)
子宮卵管造影は、造影剤を子宮腔内に注入して、それが子宮や卵管、骨盤構内へ広がっていく様子をレントゲン撮影し、卵管の通り具合を判断する検査です。
卵管の詰まっている部分や形を診断でき、粘膜下子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮内癒着、子宮奇形などの診断にも使えるというメリットがあります(※3)。
卵管通水検査には痛みがあるの?
卵管通水検査に興味はあったとしても、痛いのではないかとためらってしまう人もいるでしょう。
たしかに卵管通水検査では痛みが出ることがあります。両側の卵管が塞がってしまっているときは生理食塩水が入っていかず、疼くような痛みが出ることがあり、痛みが強い場合は、卵管通水検査を中止することがあります(※3)。
卵管通水検査の時期はいつごろがいいの?
卵管通水検査をする時期は、生理が終わってから数日以内が望ましいとされています(※3)。生理による出血があったとしても妊娠している場合があるため、卵管通水検査をするまでは避妊することを求められることもあります。
特に子宮卵管造影をする場合は、妊娠しているとお腹の赤ちゃんが放射線に被曝してしまったり、流産につながったりすることもあるため、排卵前に行う必要があります(※3)。
卵管通水検査後は妊娠しやすくなるの?
本来、卵管通水検査は卵管の詰まり具合を調べるために行う検査ですが、最近は卵管の異常や卵管を手術した後の癒着を防止するための治療として行われることも多くあります(※3)。また、結果的に妊娠しやすくなることがあります。
例えば、原因不明の不妊症の女性のうち子宮卵管造影を受けた人の約40%がその後に妊娠しています。そのうちの約55%が半年以内の妊娠、約80%が1年以内の妊娠です(※4)。
卵管通水検査の費用はどれくらい?
卵管通水検査は健康保険が適用される不妊治療の一つです(※5)。そのため、実際に検査を受けるときに支払う費用は本来の1/3の額となるので、それほど高額にはなりません。
また、自治体によっては不妊治療を受けた夫婦の経済的負担を軽くするために、卵管通水検査にかかった費用の一部を助成してくれるところもあります(※6)。助成してくれる金額や回数、期間などは自治体ごとに異なるので、気になる方はお住いの自治体に問い合わせてみてください。
卵管通水検査を受けるなら産婦人科へ
女性の不妊症の原因はいくつかありますが、なかでも卵管の異常による不妊は頻度が高く、不妊症の3大原因の一つとされています。なかなか妊娠できないのであれば、卵管通水検査を受けてみるといいかもしれません。
卵管通水検査に不安がある場合は、検査を受ける前に医師としっかり話し合いましょう。検査は不安や心配事が解決した状態で受けたいですね。