「妊娠を望んでいるのに、なかなかうまくいかない…」と悩んでいて、不妊検査を受けてみようと考えている人もいるかもしれません。日帰りで受けられる不妊検査として、子宮内を内視鏡で観察する「子宮鏡検査」があります。今回は子宮鏡検査の方法や時期、費用のほか、痛みがあるのかなどをご紹介します。
子宮鏡検査とは?
子宮鏡検査は、子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮奇形、子宮腔内の癒着の有無などを診断するために行われます。
子宮の中に直径3.5㎜ほどの細いカメラ(内視鏡)を入れ、子宮の内部を観察します。胃カメラをイメージすると分かりやすいかもしれません。
突出した腫瘤の表面を観察することで、子宮筋腫なのか子宮内膜ポリープなのかを判断することが可能です。また、卵管口や子宮内膜の状態も診ることができます(※1,2)。
検査を受ける本人もモニターで画像を見ながら医師の説明を聞くことができ、検査は5~15分程度で終わります。検査後は、すぐに食事をとることができ、そのまま仕事に行くこともできます。
子宮鏡検査を受けることになるケースとは?
子宮を診る検査にはいくつか種類があり、「超音波(エコー)検査」や「子宮卵管造影検査」などを行った結果、子宮内部の筋腫やポリープが疑われる場合などに、子宮鏡検査を受けることになります。また、不妊の原因がはっきりしないときにも行われることがあります。
子宮鏡検査は、病巣の状態を直接見ることができるため、子宮奇形や異所性妊娠などの補助診断方法としても有効とされます(※1)。検査の結果、異常が見つかった場合には、後日手術を行うこともあります。
子宮鏡検査の時期はいつがベスト?
子宮鏡検査は、いつでもできるわけではありません。排卵前後や排卵期は子宮内膜が厚く、出血しやすいため、検査時期には適しません。
一般的には、子宮鏡検査を受けるなら「生理終了直後」あるいは「卵胞期」がベストとされています。不要となった子宮内膜が剝がれ落ち、子宮内を観察しやすい状態だからです。
生理初日を1日目とすると、生理が終わる5日目~10日目あたりが検査を受ける目安です。生理が始まったら、かかりつけの医師に連絡して、予約をすると確実でしょう。
子宮鏡検査は痛みがあるの?
通常、子宮鏡検査は痛みが少ないため、麻酔も必要なく短時間で受けることができます。検査後にそのまま仕事へ行くこともできるので、気軽に受けられる検査といえます。
ただし、子宮の入口が固かったり、狭くなっていたりする場合には、内視鏡を挿入するときに痛みを感じる人もいるかもしれません。できるだけ体の力を抜いて、リラックスして検査を受けるようにしましょう。
子宮鏡検査の費用はいくら?
子宮鏡検査の費用は、習慣流産や着床不全などの異常があって受ける場合には保険適用となりますが、特に異常がない場合は自費となります。
検査費用は病院によって異なりますが、採血などの術前検査も含めて、保険適用であれば5,000円前後、自費であれば1~2万円かかると考えておくとよいでしょう。選択的卵管通水検査は自費となり、施設によってまちまちですが、子宮鏡検査と合わせると3~6万円ほどかかるのが一般的です。
子宮鏡検査の合併症はある?
子宮鏡検査は基本的に痛みがなく、麻酔なしでも受けられる検査ではありますが、稀に次のような合併症を引き起こすことがあります(※2)。詳しくは、検査を受ける前に医師に確認しておきましょう。
子宮穿孔(せんこう)
子宮の中に内視鏡を挿入する際、または検査や処置を行う間に、まれに子宮の壁に穴が開いてしまうことがあります。出血が少量で、臓器の損傷がない場合は自然治癒を待ちますが、そうでない場合には腹腔鏡手術や開腹手術に切り替え、穴をふさぐ処置をすることもあります。
出血
子宮内膜や筋層が損傷すると、出血が見られることがあります。この場合、電気凝固を行い止血するか、少量であれば自然に止血します。
感染症
子宮鏡の操作に伴い、まれに骨盤内感染を起こすことがあります。
子宮鏡検査で妊娠しやすくなることもある?
子宮鏡検査を行うと、超音波検査では確認できなかった子宮内膜ポリープなど、妊娠を妨げる疾患の発見につながることもあります。
もし何らかの疾患が見つかった場合、治療を行うことで不妊の原因を取り除くことができ、将来的に妊娠しやすくなる可能性もあります。
子宮鏡検査は子宮の異常を調べる一つの方法
今回ご説明したとおり、子宮鏡検査は子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮奇形や子宮腔内癒着など、子宮の中にできる異常のほとんどすべてを診ることができる検査です。
検査時間が短い割に、検査費用はかかりますが、ほかの子宮検査で異常を特定できなかった場合や、不妊の原因がわからなかったりする場合に有効な検査方法として覚えておきましょう。