RSウイルスで肺炎になるの?対処法や予防法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

その名前を聞いただけでは、どんな病気なのかわかりにくい病気はたくさんありますが、RSウイルスもその一つではないでしょうか。RSウイルスは、特に赤ちゃんが感染するとさまざまな病気を引き起こし、時には肺炎になってしまうこともあります。今回は、RSウイルスが引き起こす肺炎について、その症状や、入院が必要かについてご紹介します。

「RSウイルス」ってどんな病気?

一般的に「RSウイルス」といわれている病気は、正式には「RSウイルス感染症」といいます。RSウイルス感染症は、RSウイルスという病原体が引き起こすさまざまな症状を指します。

RSウイルスは世界中に分布していて、1歳までに半数以上、2歳までにほぼすべての子供が、少なくとも1度はRSウイルス感染症になるといわれています(※1)。

子供だけでなく大人もRSウイルスに感染しますが、大人の症状は軽いことが多く、一般的な風邪とみなされることがほとんどです。

RSウイルス感染症は主に冬に流行しますが、2011年以降は7月頃からも報告が増えており、流行する時期が広がっています(※1)。

ただし前述のとおり、RSウイルス感染症は風邪のような症状で治まることもあるため、病院に行かずに治ってしまう場合もあります。

しかし生後数週間~1歳未満の赤ちゃんがRSウイルス感染症を発症すると、重症化し、入院が必要になることもあります(※1)。

RSウイルスは肺炎になる?

赤ちゃん 風邪 咳

RSウイルスに感染すると、4~6日の潜伏期間を経て、発熱や鼻水、咳など、いわゆる風邪の症状が数日続きます(※1)。

多くの場合は数日で症状が軽くなるものの、特に乳児の3割ほどは咳が悪化し、喘鳴(呼吸するときにゼーゼー、ヒューヒューと音がすること)や、多呼吸などの呼吸困難になってしまうこともあります(※1)。

場合によっては、肺炎になってしまうこともあります。

RSウイルスで肺炎になったときの症状は?

インフォグラフィック 肺胞 細気管支

肺炎は、肺の中にある肺胞という器官が炎症を起こすことです。肺胞には、血液の中の二酸化炭素を肺に取り込んだ酸素と入れ替えるという機能があるため、肺胞が炎症を起こすと呼吸が苦しそうになります。

肺炎になると他にも、熱が4~5日続いてなかなか下がらず、咳や痰がひどくなる、といった症状がみられます。

また、タバコの煙を吸うことで、肺炎の症状が悪化することがあります。

RSウイルスで肺炎になったら、入院が必要?

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肺炎と診断され、呼吸困難がある、水分がとれない、夜中に眠れないなどの症状があるときには、入院して点滴投与や気管支拡張薬の吸入、酸素吸入を行うこともあります。また、次のような病気を併発したときも注意が必要です。

細気管支炎:細気管支(気管支が枝分かれした部分)が炎症を起こし、呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューと音がしたり、呼吸困難で唇や手足の先が青紫色になることもある
急性脳症:けいれんや意識障害が起こる
無呼吸発作:睡眠時無呼吸症候群のように、突然呼吸をしなくなる発作が、何度も起こる。低月齢児や未熟児に多い

RSウイルスで肺炎にならないための予防策は?

残念ながら、RSウイルスの予防接種はなく、日々の対策で感染を予防するしかありません。

RSウイルスは、飛沫感染(咳などで放出された液体で感染すること)や接触感染(感染者の手や、感染者が触ったものに触れることで感染すること)が主な感染経路です。

また子供の方が感染しやすいため、保育園や幼稚園で一気に感染が広がってしまうことが多くあります。

RSウイルスの感染を完全に防ぐことは困難ですが、手洗いやうがいを欠かさないことや、感染者はマスクをしてウイルスの放出を防ぐことが大切です。

RSウイルス感染症は、母体から受け継いだ抗体があるといわれる生後半年未満の赤ちゃんでも発症し、重症化する可能性があります。

特に、保育園や幼稚園に通うお兄ちゃんやお姉ちゃんが、咳をしたり鼻水を出したりしていたら、赤ちゃんとできるだけ接触させないように気をつけましょう。

おもちゃやベッドシーツなど、触れる可能性がある部分は頻繁にアルコール消毒や洗濯を行うことで、感染のリスクを減らすことができます。

RSウイルスは肺炎の発症に気をつけましょう

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RSウイルス感染症は、赤ちゃんがかかると肺炎などを併発し、重症化してしまう可能性が高い病気です。かかってしまってからは遅いので、できるだけ日々の生活の中で予防しておきましょう。

RSウイルスは流行り病ですが、その時期は近年長期化しているので注意が必要です。特に1歳未満の赤ちゃんがいるママやパパは、RSウイルス感染症が流行している時期は、人がたくさんいる場所には連れていかないなどの対策を取りましょう。

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