これまで、「共働き家庭=保育園」というのが主流でしたが、昨今は教育面にも力を入れたいという理由から、子供を幼稚園に入園させたいと考える共働き家庭も増えています。こうした家庭を対象に、降園時間以降も延長できる「預かり保育」を実施する幼稚園が増えてきていますが、どういった内容なのでしょうか。今回は、幼稚園の預かり保育の内容をはじめ、料金や時間、預けるときの条件を含めてご説明します。
幼稚園の基本的な時間や過ごし方は?
幼稚園に預ける標準の時間は、4時間とされています。幼稚園は、小学校や中学校と同様、文部科学省が管轄する教育施設のひとつで、地域の公立・私立のほか、有名小学校の付属などのお受験幼稚園があり、各園が工夫しながら遊びを主体とした教育課程をこなしています。
1日の過ごし方は園によって様々ですが、朝は8時30分~9時頃に登園し、絵や歌、工作、体操などの活動を行います。給食やお弁当で昼食をとり、午後も午前同様に活動。13時30分~14時30分を目処に降園時間を迎えます。
幼稚園の預かり保育とは?
預かり保育とは、幼稚園の通常の時間以降も子供を預けられる取り組みのことをいい、日常的に実施している月極めやスポット(一時的な利用)のほか、長期休暇(夏季・冬季・春季)に1日中預かってくれる預かり保育があります。
この預かり保育は、国の子育て支援活動の一環で、両親が仕事をしている状態でも幼稚園に通わせたいという家庭への支援策であると同時に、地域の教育力の補完、再生、向上に繋げるという目的が含まれています。
文部科学省が行った調査では、平成26年の時点で、全国の幼稚園の82.5%(公立:60.9%、私立:95.0%)が預かり保育を実施しており、実施率は年々上昇傾向にあります(※1,2)。
しかし、預かり保育に関わる職員の勤務日数や経費の負担が課題とされていて、定員数が少ないのが現状です。1園あたりの受け入れ人数の平均は、公立で11人、私立で21人程度になっています(※1)。
地域や幼稚園によって、預かり保育を実施していないところもあります。どの園でも希望すれば必ず利用できるというものではないため、事前に確認しておきましょう。
幼稚園の預かり保育の内容は?
預かり保育の内容は、普段の幼稚園での過ごし方とは少し異なります。
日常的に実施している預かり保育では、異年齢を交えて自由に遊ぶ時間を設けているところもあれば、習いごとのような内容を取り入れているところもあります。
習いごとのような内容は、主に私立の幼稚園で取り入れていることが多く、英会話やピアノ、サッカー、絵画教室など、その内容は様々。このような幼稚園は、仕事で子供を長時間預けなければならない状況でも、同時に習いごとができることから人気を集めています。
夏季・冬季・春季の長期休暇中も基本的には日常の預かり保育と同様ですが、預かる時間が長い分、夏季はプール教室を行うなど、長期休暇用ならではの過ごし方を決めている園もあります。
幼稚園の預かり保育を利用する料金や時間は?
預かり保育の実施日や時間、料金は、公立・私立のほか、園や地域ごとにも差があります。公立の幼稚園では、家庭の所得に合わせて料金が異なることもあるので、事前に調べておきましょう。
ここでは、通常の預かり保育と長期休暇中の預かり保育の一般的な時間や料金などをご紹介します。
通常の預かり保育
実施日
・週5日、または土曜を含む週6日で実施
・利用が少ない園や地域では週1~4日の実施というところも
一般的な預かり時間
・短いところでは15時まで、長くても19時頃までが一般的
・公立の幼稚園では15~16時までの実施が最も多く、私立では17~18時まで実施している幼稚園が多い
一般的な料金
・月極め(週5日):2,000~15,000円
・スポット(1回利用):300~1,000円
長期休暇中の預かり保育
実施日
・長期期間中で幼稚園が定めた登園日
・夏季のお盆の時期、冬季の年末年始はお休みのケースが多い
一般的な預かり時間
・公立・私立ともに1日8時間以上実施
・幼稚園によって、短時間保育も可能
一般的な料金
・月極め(週5日):5,000~25,000円
・スポット(1回利用):800~1,200円
・おやつ代:100~300円
※給食が出る園は300~500円が別途必要なケースもあります。
幼稚園の預かり保育の注意点は?理由は問われる?
幼稚園の預かり保育を利用するときは、預かってもらえる条件を確認しておくことが大切です。
子供を預ける理由を問わないという園もありますが、「両親の就労」「上の子も学校行事への参加」「保護者の疾病」「介護」など、条件を設けている園も。定員になった場合は上記理由から優先されるケースも少なくありません。
また、長期休暇中は、給食や送迎バスがない園がほとんどです。お盆の時期や年末年始がお休みというところもあり、どうしても、ママやパパが調整せざるを得ない面もあるので、事前に夫婦で対応方法を話し合っておくと良いですね。
料金に関しても、幼稚園は年間の教育費を12ヶ月で割っているため、長期休暇中とはいえ保育料が発生しています。普段の保育料とは別に、休み中の預かり保育料がかかるため、一時的に出費が多くなることも考慮しておきましょう。
幼稚園の預かり保育の有無や規定を調べておこう
幼稚園の預かり保育は、昨今の保育園不足からも、利用を希望する家庭が増えてきています。
しかし、年々預かり保育の実施率が上昇しているとはいえ、まだ少ないのが現状です。独自のルールで実施している幼稚園も多いので、利用を考えている場合は、希望する幼稚園やすでに通っている幼稚園のルールを調べておくようにしましょう。