赤ちゃんが寝ているときに、「キリキリ」「ギリギリ」といった音を耳にして驚いた経験はありませんか?それは赤ちゃんの「歯ぎしり」かもしれません。「歯が生え始めたばかりの赤ちゃんが歯ぎしりなんてして、大丈夫なの?」と心配になるかもしれませんが、乳児期にはよくあることなんですよ。今回は赤ちゃんが歯ぎしりする原因や、対策が必要かどうかについてご説明します。
赤ちゃんが歯ぎしりするって本当?
歯ぎしりとは、睡眠中に歯と歯をこすり合わせてギリギリと音を立てることです。乳歯が生え始めたばかりの乳児が歯ぎしりするなんて想像できませんよね。
しかし、上と下の前歯が揃い始める生後8〜9ヶ月を過ぎると、前歯だけを使って歯ぎしりをする赤ちゃんが出てきます。個人差がありますが、赤ちゃんが1歳頃になると上下の歯が4本程度生え揃ってくるので、歯ぎしりをする子が少しずつ増えていきます。
眠っている間にギリギリと歯ぎしりをしたり、カチカチと噛み合わせたり、歯をぐっとくいしばったりすることを「睡眠時ブラキシズム」と呼びますが、10~20%の子供に見られるという報告もあります(※1)。
赤ちゃんの歯ぎしりの原因は?
乳幼児期の歯ぎしりは、ほとんどが一時的なものとして考えられています。
まだ不明な点が多いものの、新しく歯が生えてくる過程で、筋肉を動かしながら嚙み合わせを調整する、離乳食を進めていく過程で噛むことを覚えるといった理由から、赤ちゃんが歯ぎしりをしていることがあります(※2,3)。
そもそも生えたばかりの乳歯は、最初から綺麗に並ぶわけではなく、デコボコしていることもよくあります。舌の筋肉と唇、頬の筋肉の力のバランスが取れた場所に、徐々に歯が並ぶよう調整されていくのです。
つまり、赤ちゃんが歯ぎしりをするのは、歯の感覚を覚え、歯や顎が成長している証拠といえます。生理的な現象なので、乳歯が生えそろう2歳くらいまでは、経過を見守ってあげましょう。
赤ちゃんはストレスで歯ぎしりをする?
メカニズムはまだ不明な点が多いものの、大人が歯ぎしりをする原因の一つに「ストレス」があると考えられています。そのため、「赤ちゃんの歯ぎしりも、ストレスが関係しているのでは?」と不安に思うママやパパがいるかもしれませんね。
しかし、乳児期にストレスの影響で歯ぎしりをする、という医学的根拠は今のところ得られていません。赤ちゃんが歯ぎしりをしているからといってあまり心配しすぎず、むしろ、自分のボディーイメージをつくっている練習と思って見守ってくださいね。
ちなみに、一般的には子供の年齢が上がるとともに、歯ぎしりの頻度は減っていきます。しかし、乳歯の生え変わりや永久歯の生え始めの時期に、口の周りやあごの筋肉が順応しきれないストレスによって歯ぎしりをすることもあります(※2,3)。
赤ちゃんの歯ぎしりに対策は必要?
先ほどもご説明したとおり、赤ちゃんの歯ぎしりは生理的な現象と考えられています。そのため特別な対策を取らず、そのまま様子を見ていても問題ありません(※2)。
ただし、あまりに長い間、強く歯ぎしりをしていると歯が削れてしまったり、歯並びが悪くなったり、顎が痛くなったりといった影響が出てくる可能性も考えられます。
3~4歳の乳歯が生えそろった頃まで歯ぎしりが続き、歯並びや噛み合わせが気になるようであれば、小児歯科専門医に相談してください。
赤ちゃんの歯ぎしりをやめさせるには?
赤ちゃんの歯ぎしりは、基本的には放っておいても問題ありません。とはいえ、寝ているときにギリギリと音がすると、ママ・パパとしては少し気になりますよね。
そんなときは、日中に噛んで遊べる歯固めやガラガラおもちゃを赤ちゃんに渡してみてください。
これらは歯の生え始めでむずがゆいときや、何でも口に入れてしまう時期に、赤ちゃんの歯の成長をサポートしてくれるアイテムです。寝ている間の歯ぎしりが治ることもありますよ。
ただし、歯ぎしりをやめさせようとして、眠っている赤ちゃんを無理に起こしたりするのはやめましょう。
赤ちゃんの歯ぎしりは心配しすぎないで
赤ちゃんの歯ぎしりは成長過程において起こるものです。赤ちゃんが歯ぎしりをしていたら、「噛む練習をしているんだな」と考えましょう。特に離乳食が進む段階ではよく見られますよ。
乳児期を過ぎても、歯の生え変わりのタイミングなどで歯ぎしりは現れますが、3~4歳になってよほど噛み合わせの問題が出てこない限りは、心配しすぎず温かく成長を見守ってあげてくださいね。