妊娠を希望している女性なら、基礎体温をつけている人も多いでしょう。毎日欠かさずにチェックしていると、高温期と低温期のサイクルを把握できるようになるので、一般的な基礎体温のグラフと自分のグラフにズレがあると気になりますよね。そこで今回は、低温期が長い場合の原因と妊娠への影響、改善方法についてご説明します。
低温期とは?
きちんと排卵があり、月経のサイクルが整っている女性の基礎体温は、「低温期」と「高温期」の二相に分かれるのが一般的です。
上のグラフのように、生理が始まると、約14日間は基礎体温が低めの「低温期」となります。そして、排卵を境に基礎体温が上昇し、次の生理が始まる直前までの約14日間は「高温期」となります。
つまり、「低温期」とは、生理開始日から排卵日までの期間をさします。
低温期の体はどんな状態?
低温期の間、女性の体は卵子を排出する準備をしています。
生理の初日から排卵までの「卵胞期」には、卵巣のなかで卵胞が発育します。そして卵胞が分泌する「エストロゲン(卵胞ホルモン)」によって、子宮内膜が厚くなります。生理によって剥がれ落ちた子宮内膜を厚くし、妊娠するための準備を始めるのです。
排卵前におりもの(頸管粘液)の量が増えたり、体温が低かったりするのは、このエストロゲンの作用とされています(※1)。エストロゲンの分泌が多いこの時期は、肌や体の調子がいい人も多いようです。
低温期が長いとどうなるの?
一般的な生理周期の28日を基準とすると、低温期は14日程度が理想とされています。低温期の長さには個人差もあり、多少長い程度なら問題はないでしょう。
しかし、低温期が20日以上続くときは、卵胞刺激ホルモンが十分に分泌されていないために起こる、卵胞の発育の遅れを疑います(※3)。
低温期があまりにも長いと生理周期が長くなり、排卵する機会も少なくなってしまいます。そうすると、妊娠できるチャンスも減ってしまうことになります。
低温期が長引き、高温期が10日以内の場合は注意が必要
低温期が長引き、高温期が10日以内の場合は、「黄体機能不全」を疑います。さらに、7日以内の場合は、排卵を伴わずに卵胞の黄体化が起こっていることが多いとされています(※2)。
黄体期になると排卵した卵胞が黄体となり、主に「プロゲステロン(黄体ホルモン)」を分泌します。そして、プロゲステロンが子宮内膜を着床に適した状態にします。
しかし、黄体機能不全になると、プロゲステロンとエストロゲンの作用が不足し、子宮内膜が十分に発育しません。そのため、着床障害を引き起こしたり、妊娠が維持できずに不妊になることがあります(※1)。
低温期が長引き、高温期が10日以内の場合は、すみやかに受診したほうがよいでしょう。
低温期が長い原因は?
卵胞刺激ホルモンが正常に分泌されていれば、卵胞は正常なスピードで発育するとされています。
しかし、ストレスや肥満、体重減少などがあると卵胞刺激ホルモンが十分に分泌できなくなってしまいます(※2)。卵胞の発育には、脳の視床下部と下垂体、卵巣のスムーズな連携が欠かせません。
低温期が長いと、妊娠への影響は?
低温期が長くても排卵があり、高温期が10日以上あれば妊娠には影響がないといわれています。
しかし、低温期が長いと排卵日を特定しにくくなったり、生理が長引くことで排卵の回数が減ってしまうことになります。
前述のとおり、高温期が短いと子宮内膜が着床に適した状態にならず、受精されないことがあります(※1)。妊娠を希望している人で、低温期が長く続く場合は婦人科を受診するといいでしょう。排卵を誘発したり、黄体ホルモンを補充するなどの治療をすることがあります(※1)。
低温期の長さを改善するには?
前述したように、低温期が長くなる原因のひとつとして、ストレスなどによる卵胞刺激ホルモンの分泌不足があります。そのため、ストレスを上手に発散することが大切です。
また、ホルモンの分泌をコントロールしている脳の視床下部は、自律神経のコントロールも司っています。そのため、自律神経が乱れると、ホルモンバランスにも影響を及ぼすとされています。
自律神経は、生活の乱れによって乱れることが多いようです。また、疲労がたまるとストレスを発散しにくくなります。
規則的な生活を心がけ、適度な休息をとってストレスを上手に発散させましょう。
また、肥満や体重減少なども卵胞刺激ホルモンの分泌不足に影響があるので、急激な体重増加や過度なダイエットには注意が必要です。
体をいたわって、生理周期を整えよう
低温期が長いと生理周期が長くなるので、排卵の回数が減ってしまいます。きちんと排卵していたとしても、妊娠できる年齢には限りがあるので、チャンスが多いに越したことはないですよね。
疲労をとり、ストレスを貯めないようにすれば生理周期が整いやすくなるだけでなく、おのずと体の調子も上向きます。
しかし、いつまで経っても低温期の長さが改善されない、高温期が正常な長さより短い場合は、すみやかに婦人科を受診してくださいね。