子供の脇のにおいをふと嗅いだときに、「あれ?なんだか臭い…」と気づくことがあります。「もしかしたらワキガ?」と心配になることもあるかもしれません。それでは、子供がワキガなのかは、どう見分ければ良いのでしょうか?今回は子供のワキガについて、原因や見分け方、治療法などをご紹介します。
ワキガ(腋臭症)とは?
ワキガとは、脇の下から特有の臭いが出る体質のことで、においがひどい場合は腋臭症(えきしゅうしょう)と診断されます。ワキガを放置したからといって、身体的な健康面に悪影響が出ることはありません。
ただし、脇のにおいを気にするあまり、自分に自信が持てないなど精神面での影響を及ぼすことがあるので、親としては注意深く子供の様子を見て、必要があれば適切に対処してあげてください。
子供のワキガの原因は?赤ちゃんもなるの?
人には「エクリン腺」「アポクリン腺」と呼ばれる2種類の汗腺があり、アポクリン腺から分泌される汗がワキガの原因です。
全身のあらゆるところにあるエクリン腺は、水分が99%以上のサラサラの汗を分泌します。一方で、脇の下や陰部のまわり、耳の中など限られたところにあるアポクリン腺は、タンパク質や脂質などを含んだネバネバした汗を分泌します。
人の皮膚に住んでいるコリネバクテリウム属の菌は、脇のアポクリン腺から分泌される汗を分解し、独特のにおいを発生させます。これがワキガのにおいが生じるメカニズムです。
アポクリン腺が大きかったり、数が多かったりすると、ワキガになりやすくなります。ただ、ワキガのにおいが目立つのは、性ホルモンの影響でアポクリン腺の分泌が盛んになる思春期の頃で、赤ちゃんの頃にワキガの症状が現れることはほとんどありません(※1)。
子供のワキガの見分け方は?
以下のような特徴がある場合、子供がワキガである可能性があります。
親がワキガである
ワキガは優性遺伝するため、両親もしくは親のどちらかがワキガだと、多くの場合、子供もワキガになります(※1)。
耳垢が湿っている
脇の下のアポクリン腺が多いと、耳の中のアポクリン腺も多い傾向にあります。耳の中のアポクリン腺が多くあると、耳垢はねっとりと湿った状態になります。
服の脇の部分に黄色いシミがある
アポクリン腺から分泌される汗の成分や、細菌感染によって浸み出した液により、服の脇の部分が黄ばむことがあります。
制汗剤を使用していると、それが原因で服が黄ばむことがあるので、ワキガかどうかチェックするときは、制汗剤の使用を控えてください。
子供のワキガの治療法は?手術は必要?
前述の通り、ワキガは必ず治療しなければいけないというわけではありません。
においが弱く、子供本人がにおいを気にしていない場合や、周りが気にすることがない場合は、そのまま放置しても構いません。親が過剰に心配すると、子供が「自分は臭いのかな…」とふさぎ込む恐れがあるので、無理に治療する必要はありません。
しかし、ワキガが原因で精神的にふさぎこんだり、周りからいじめられたりなど、日常生活に影響が出るような場合は、ワキガの治療を検討することをおすすめします。
ワキガの治療法としては、「ミラドライ」などのレーザー治療やボツリヌストキシン注射、アポクリン腺を取り除く手術などがあります。
ただし、手術では汗腺を取りきれずに再発する可能性があります。また、傷跡が残ったり、体に負担がかかったりするため、手術を検討する際は医師としっかり話し合いましょう。
子供のワキガのホームケア方法は?
ワキガは、家でもきちんとケアすることが大切です。以下のことを心がけて、子供のワキガの症状を和らげてあげましょう。
脇をきれいに保つ
脇に溜まった汗はワキガのにおいの原因になるため、脇を清潔に保つことはワキガの悪臭予防につながります。
遊び回った後やお昼をした後など、子供が汗をたくさんかいたときは、シャワーで汗を洗い流してあげましょう。そして、入浴の際は、殺菌作用を持つ石鹸を使って、脇のところを丁寧に洗います。
シャワーで洗い流す代わりに、タオルで汗を拭き取ったり、服を着替えさせたりすることも悪臭発生を予防します。
制汗剤を使用する
市販の制汗スプレーを使うと、ワキガのにおいを軽減させることができます。運動するときや外出するときなど汗をかきそうなときに、前もってスプレーしておきましょう。
制汗剤を初めて使うときはパッチテストを行い、子供の肌に合うか確認します。また、使いすぎは肌荒れの原因になるため、製品に書かれている使用方法・使用量を確認したうえで使いましょう。
子供がまだワキガに気づいていないときは、「臭いから」というような否定的な理由を伝えるのではなく、「スッキリするから使ってみよう」といった声掛けをしてあげてください。
汗取りパッドを使用する
ワキガのにおい予防として、汗取りパッドの使用があります。使用する際は、パッドをこまめに取り換えることが大切です。
室温を調整する
汗をかきやすい夏は、エアコンを使って、部屋の温度を外の気温より5度低くします。
冬は暖房で汗をかくこともあるので、部屋の温度が20度以上ある場合は、暖房をつけなくても良いでしょう(※2)。
子供のワキガには慎重に対処を
ワキガのにおいがひどくなると、子供が精神的に悩むことがあります。
また、子供本人がワキガに気づいていない、気になっていない時期ににおいを指摘して、無理に治療を行おうとすると、子供がショックを受けてしまうこともあります。
子供の様子をしっかり観察し、子供がワキガのにおいを気にしはじめたら、気持ちのフォローをしてあげながら、どうケアしていくかを親子で一緒に考えていきましょう。