乳腺線維腺腫とは?原因や症状は?痛みはあるの?乳がんとの違いは?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターを経て、板橋中央総合病院に勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救急診療、分... 監修記事一覧へ

乳房にしこりがあると、乳がんかもしれない…と不安に思うこともあるかと思います。しかしそれは、乳がんと同じく乳房にしこりができる「乳腺線維腺腫」かもしれません。そこで今回は、乳腺繊維腺腫の原因と症状、乳がんとの違いや妊娠に影響があるのか、また治療法についてご紹介します。

乳腺線維腺腫とは?

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乳腺線維腺腫とは、主に20〜35歳の女性に多く見られる乳房の良性のしこり(腫瘍)のことをいいます。乳腺線維腺腫の場合、母乳を作る「乳腺」に、小豆からクルミくらいの大きさで、表面が滑らかな、弾力性のあるしこりができます。

基本的に、しこりが2〜3cm以上に成長することは多くありませんが、しこりが5cm以上になることもあります(※1)。

乳腺線維腺腫の場合、乳房にできるしこりは良性のため、悪化してがんになることはほとんどありません。また、乳腺線維腺腫の半分以上は加齢とともに自然と小さくなっていくと言われています。

しかし、しこりが小さくならなかったり、逆に大きくなり続けるようであれば、「葉状腫瘍」や乳がんの可能性があります(※1)。葉状腫瘍は、乳腺線維腺腫と同じくほとんどが良性の腫瘍ですが、しこりが30cm以上にもなる場合があるだけでなく、悪性のものもあるので注意が必要です(※2)。

乳腺線維腺腫の原因は?

乳腺線維腺腫は、乳腺の組織が過剰に増殖したことによって発生しますが、その根本的な原因は明らかになっていません。

ただ近年の研究によると、乳房線維腺腫を発症するのは主に20〜30代であること、閉経後に発生する確率が低いことから、女性ホルモンの「エストロゲン」が関係しているのではないかと考えられています(※1)。

乳腺線維腺腫は痛みがあるの?疑いがあるときの症状は?

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乳腺線維腺腫は、乳房のしこり以外の症状は特にありません。また、基本的に乳房の痛みはありません。しこりを押して痛みがあったり、胸がチクチクする場合は、「乳腺症」または葉状腫瘍の可能性があります(※3)。

乳腺症は、加齢と共に起こりやすくなる生理的な現象で、病気ではありません。乳腺症になると乳房に痛みとしこりが現れますが、閉経後には乳房の痛みもしこりも自然となくなることがほとんどなので、特に治療は必要ありません(※2)。

しかし、乳腺線維腺腫や葉状腫瘍、乳腺症、乳がんといった乳房にしこりができる疾患は自己判断が難しいので、乳房に少しでも違和感がある場合は、早めに外科または乳腺外科を受診するのが安心ですよ。

乳腺線維腺腫と乳がんとの違いは?

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乳房にしこりができると、乳腺線維腺腫なのか乳がんなのか分からず悩む人が多いと思います。ここからは、乳腺線維腺腫と乳がんとの違いをご説明します。

まず、乳がんの発症年齢は、主に40〜60歳代ですが、乳腺線維腺腫の場合は20〜30歳代の女性が発症する確率が高くなっています(※3)。

また乳がんは、しこり以外にも乳房の皮膚変化や、乳首から血のような分泌液が出るなどの症状がありますが、乳腺線維腺腫の場合は、しこり以外の症状はありません。

そして、乳腺線維腺腫と乳がんとの一番の違いは、しこりの特徴です。以下が、それぞれのしこりの特徴です。

乳腺線維腺腫のしこり

● 小豆〜クルミくらいの大きさ(2〜3cm)
● 表面が滑らかで弾力性がある
● 形は球形や卵円形の場合が多い
● ほとんどの場合、押しても痛みはない
● しこりを押すと動く
● しこりがあることがはっきりと分かる

乳がんのしこり

● 石のように固くごつごつしている
● しこりを押しても動かない
● しこりがあることが分かりにくい

上記のようなしこりの違いがありますが、乳腺線維腺腫に似た特徴をもつ乳がんのしこりも稀にあるので、注意が必要です。

乳腺線維腺腫は妊娠に影響がある?

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乳腺線維腺腫は病気ではないため、妊娠に大きな影響はありません(※1)。

先述のように、乳腺繊維腺腫を発症するのは、エストロゲンが関係していると考えられているため、妊娠中はしこりが大きくなる傾向がありますが、体への影響を心配する必要はありません。

授乳が終わるとしこりが自然と消えていくことが多いので、乳腺線維腺腫ができても一般的にはそのまま経過観察となります。

ただし、ごく稀に、妊娠中にしこりが急速に巨大化することがあります。この場合、診断を確実に行うためだけでなく、乳房の形が大きく崩れる可能性もあるため摘出手術が必要になりますが、手術をして治療することが、母体にもお腹の中の赤ちゃんにも良いと判断された場合のみ行います。

乳腺線維腺腫の治療法は?

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前述のように、乳腺線維腺腫は病気ではなく、悪性になることもほとんどないため、基本的に治療は必要ありません。

通常は、年に1〜2回の定期検査で経過観察をすることになります。ただし、しこりの成長が急速なものや大きいものは、悪性になる可能性のある葉状腫瘍との見分けが難しく、また乳房の形に影響することもあるので、局所麻酔で皮膚を切開してしこりを取り出すことがあります。

乳腺線維腺腫の疑いがあれば早めに病院へ

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先述のように、乳腺線維腺腫は良性のしこりなので、病院へ行っても経過観察と言われることが多いものです。ただし、乳房のしこりが乳腺線維腺腫なのか、乳腺症や葉状腫瘍、または乳がんなのかという判断を自分ですることは困難です。

乳腺線維腺腫だと思っていたら実は乳がんが隠れていた、ということもあるので、乳房に違和感があれば、早めに医療機関を受診するようにしてくださいね。

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