病気の予防や早期発見のためには、定期的に検診を受けることが大切です。女性にとって、「婦人科検診」の重要性は高いのですが、日本では、「検診の内容がよくわからない」「内診が痛そう」「費用が高そう」など、婦人科検診に不安や疑問を持っている人も多く、受診率が低いのが現状です。そこで今回は、婦人科検診を躊躇している人のために、内容や費用、内診が痛いのかなどについてご説明します。
婦人科検診とは?
婦人科検診とは、子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮頸がん、子宮体がん、乳がんなど、女性特有の器官に現れる病気の早期発見を目的とした検査を指します。婦人科や産婦人科で行われており、主に20~40代の女性を対象に行われます。
婦人科検診の内容は?
婦人科検診という言葉にはきちんとした定義がないため、病院によっては子宮頸がん検診だけを指して呼ぶこともあれば、乳がん検診を含めたがん検診を指すこともあります。また、年齢によっても、受けたほうがいい検査内容が変わります。
一般的な「婦人科検診」のなかには、下記のような内容の検査があります。
問診
事前に、自覚症状や生理の状態、既往歴、妊娠や出産歴などを問診票に記載し、その内容をもとに医師から詳しい質問を受けます。一般的には以下のような質問項目があり、詳しく記入しておくとその後の診察もスムーズに進みます。
□ 下腹部痛やおりものなどの症状の有無
□ 妊娠の有無
□ 性体験の有無
□ 生理周期の間隔
□ 生理の状態(直近の生理の時期、出血量、生理痛の有無など)
□ 初潮の時期
□ 既往歴
□ タバコ、酒など嗜好品について
内診
内診とは、腟のなかに器具や指を入れて行う検査です。下着を脱いで内診台に上がり、カーテン越しに医師に検査をしてもらいます。
内診では、腟や子宮、卵巣の様子をみることができ、子宮がんや筋腫、卵巣腫瘍、子宮内膜症、排卵の状態などを確認することができます。
触診・視診(乳がん)
見た目や触った感触で、乳房のしこりや腫れ、乳首からの分泌物などを確認する検査です。乳がんの兆候を読み取ることができます。
マンモグラフィ検査(乳がん)
乳房全体をX線で撮影し、乳がんの初期の兆候である小さな影や石灰化がないかを確認する検査です。特殊な器具で乳房を平らに押さえて行います。
人によっては、少し痛みを感じることもあります。
乳腺超音波検査(乳がん)
乳房に超音波を当てて、内部の乳腺の状態などをチェックします。マンモグラフィでは判別ができなかったしこりの状態を、詳しく調べることができます。
子宮体部・子宮頸部細胞診(子宮がん)
内診台に上がった状態のままで、子宮頸部や子宮体部の細胞を綿棒のようなものでこすって採取します。子宮頸部の細胞を採取する際はそれほど痛みませんが、奥にある子宮体部の細胞を採取する際には、多少痛みを感じることもあります。
これら以外にも、血液検査や尿検査、性感染症検査、ストレスチェックなど、様々な検査項目があります。受診する病院の婦人科検診にはどんな検査が含まれていて、どんなオプションが付けられるのかを事前に確認するようにしましょう。
年齢を伝え、どのような検査が必要かを事前に相談してもいいですね。
婦人科検診の内診は痛いの?
婦人科検診を躊躇する大きな理由として、内診に対する不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
たしかに腟内や子宮頸部を直接触られるので、多少の痛みを感じることはありますが、ほとんどは気にならない程度です。
しかし、恥ずかしさや痛みへの緊張から体がこわばると、余計な力が加わって痛みを感じやすくなることもあります。痛みを減らすためにも、リラックスして受けることが大切です。
また、性体験がない人は、問診などでその旨を伝えると、内診が省かれることもあります。その代わりに、お腹に超音波をあてることで子宮や卵巣の様子を確認します。
婦人科検診の費用はどれくらい?
婦人科検診は病院によって内容が異なるので、料金についても一概にはいえませんが、子宮がん検診と乳がん検診をそれぞれ受けたとすると、約1~3万円程度かかると思っておいたほうがいいでしょう。
自分が受けたい検査をすべて受けるといくらになるか、事前に病院に確認しておくと安心です。
また、子宮がん検診や乳がん検診は自治体の補助が受けられるケースもあります。その場合は数千円まで費用が抑えられることもあるので、地域の保健センターなどに問い合わせて上手に活用しましょう。
厚生労働省は、子宮頸がん検診は20歳以上の女性を対象に2年に1回、乳がん検診は40歳以上の女性を対象に2年に1回の受診を指針としています(※1)。
職場や加入している健康保険組合でも、補助金が出るがん検診を実施している場合があります。勤務先の会社などに確認をしてみてくださいね。
婦人科検診は生理中でも受けられる?
婦人科検診を予定していた日に生理がきてしまっても、ほとんどの場合、そのまま検診を受けてかまいません。ただし、生理中に子宮頸がん検診を受けると、正しい結果が得られないこともあります(※2)。
生理がきたら、念のため、婦人科検診を受診する予定の婦人科や自治体に連絡して、受けられるかどうかを確認してみてください。
婦人科検診の服装はどうしたらいい?
婦人科検診はどのような服装で受診しても問題ありませんが、内診を受ける予定であれば、スカートやワンピースを選ぶのがおすすめです。着脱が簡単で、検診がスムーズに行きますよ。
もちろん、着替えるスペースはしっかりと確保され、プライベートも保たれているので、パンツスタイルでもかまいません。
定期的に婦人科検診を受けるようにしましょう
婦人科検診は受けてみないとわからないことが多く、初めての人は不安を感じて当然です。しかし、婦人科検診を受けることが、がんなどの病気の早期発見につながります。1〜2年に1回など、定期的に婦人科健診を受けるようにしましょう。
検査を受けることにしたら、事前に生理の状態や生理周期をチェックしておくことをおすすめします。問診票の情報が充実していればいるほど、病気の早期発見がしやすくなります。さらに、数ヶ月分の基礎体温表があるとより明確になるので、基礎体温をつけている人は持参するといいでしょう。
自分の身体は自分で守るという意識で、婦人科健診を上手に活用してくださいね。
※1 厚生労働省「がん検診」