便秘に悩む女性は多いもの。特に生理前になると、普段は問題ない人も便秘になったり、いつもの便秘がひどくなったりという人もいますよね。そこで今回は、生理前に起こる便秘について、原因や解消法、妊娠の可能性はあるのかなどをご説明します。
生理前に便秘になりやすい原因は?
生理前の便秘の原因は、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンの働きにあります。
プロゲステロンは、排卵後から生理が始まるまでの「黄体期」という時期に多く分泌され、妊娠・出産に向けた準備をするためのホルモンです。
プロゲステロンが分泌されると、妊娠を維持するために、女性の体はできるだけ栄養や水分を蓄えようとします。水分が排出されなくなると、腸内の便に水分が行き渡らなくなり、便が硬くなり、排出されにくくなります。
そのうえプロゲステロンは、消化器官の働きを抑制する作用があるため、生理前は大腸の働きが鈍って、便がスムーズに運ばれなくなってしまいます。
このような影響から、生理前は便秘になりやすいのです。
生理前の便秘解消法は?薬は効く?
生理前の便秘は、生理現象としてある程度仕方がないものではあるものの、つらい症状はできるだけ緩和したいですよね。生理前は下記のような解消法を試してみてください。
マッサージ
手の平らでへその周囲を「の」の字を描くように時計回りにマッサージします。
可能なら仰向けに寝て、腸を伸ばした状態で行いましょう。横になることが難しい外出先では、背筋をできるだけ伸ばして、リラックスした状態で行います。
痛気持ちいいくらいの強さを心がけ、硬さや違和感があるところは重点的にほぐしましょう。
腸にたまった便を押し出すイメージでマッサージしてくださいね。
水分補給
生理前は便が硬くなってしまうので、やわらかくするために、水分をしっかりと補給しましょう。腸に負担をかけないように、できるだけ常温の飲み物を飲むようにしてくださいね。
また、寝ている間は腸の動きが鈍くなっているので、目覚めたら、腸を刺激するためにコップ1杯の水を飲みましょう。これは生理前だけでなく、毎日の習慣にすることをおすすめします。
食物繊維を摂取する
食物繊維は、便をやわらかくしてくれる栄養素です。20~40代の女性の食物繊維摂取基準量は、1日あたり18g以上とされています(※1)。特に生理前は、積極的に摂取しましょう。
食物繊維は、野菜やきのこ類、いも類、海藻類、豆類に豊富に含まれます。様々な食材を組み合わせて、バランスの良いメニューを考えてみてくださいね。
薬を使う
生理前の便秘は、市販の便秘薬でも改善することができます。他の方法に比べて即効性が期待できるので、便秘が続いて、お腹の張りや腹痛に悩まされている人は、使用してもいいかもしれません。
ただし、妊娠中は気をつけたい便秘薬もあるので、妊活中の人は薬剤師などに相談すると安心です。
生理前の便秘を予防するには?
いつも便秘気味の人ほど、生理前はさらにひどい便秘に悩まされます。日頃から便秘にならないように、下記のようなことを心がけましょう。生理前だけでなく、日常的な便秘の予防にもなりますよ。
食生活は規則正しく、バランスよく
食物繊維や乳酸菌を豊富に含む食べ物を、積極的に摂取しましょう。そして、胃腸の働きを活性化させて排便リズムを整えるためにも、毎日三食、規則正しく食べてください。
水分は、毎日1~1.5リットルほど摂取したいですね。
適度な運動を習慣づける
運動不足は、腸を動かす筋肉の動きも鈍らせます。毎日激しい運動をする必要はないので、軽い運動を少しずつ生活に取り入れてみましょう。
運動する時間をなかなか取れないという人は、エレベーターのかわりに階段を使う、ひと駅分歩くなど、移動時間を活用してみてはいかがでしょうか。ストレスなく、適度な運動を習慣づけられるといいですね。
トイレに行く習慣をつける
便秘の予防には、トイレに行く習慣づけも大切です。毎日時間を決めてトイレに入るようにするだけでも、次第に体がリズムを覚えて便意をもよおしやすくなります。
トイレに入る時間は朝が理想ですが、朝はゆっくり時間がとれないという人は、ランチのあとや夕方など、タイミングを決めて、定期的に行くように心がけてください。
生理前の便秘は妊娠の可能性もある?
生理前の便秘が長引き、生理がなかなか来ないというときは、妊娠の可能性もゼロではありません。
生理が始まると、プロゲステロンの分泌量が減少するので、便秘は少しずつ解消されます。しかし妊娠しているとプロゲステロンの分泌が継続するため、便秘が続くこともあります。
もちろん、生理前に便秘が続いているということだけで妊娠を確定することはできません。生理が1週間以上遅れている、生理予定日を過ぎても高温期が続いているなど、他の妊娠兆候があれば、便秘薬を飲む前に、妊娠検査薬を使って確認してみてください。
生理前の便秘が続くときは病院へ
生理前の便秘は、ホルモンバランスが正常に働いている証拠でもあるので、そこまで心配しすぎる必要はありません。ただし、生理が始まっても便秘がなかなか治らないときや、便秘があまりにもひどいときは、病気が隠れている可能性もあります。
例えば、子宮内膜症や子宮筋腫の症状として、便秘がみられることがあります(※2,3)。また、過敏性腸症候群など、胃や腸に病気がある場合にも、便秘が起こることがあります。
「生理前の症状だから」と決めつけず、つらければ病院を受診してみてくださいね。