排卵が起こると、一時的に不快症状が現れる女性もいます。その症状は人それぞれで、食欲が増す人もいれば、イライラして不安定な気持ちになる人もいます。強い眠気も代表的な症状の一つで、仕事などに支障が出て困っている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、排卵日近くに眠い理由や対処法、病気の可能性があるのかについてご説明します。
排卵日の眠気はどんな症状?
生理日が近づくと、イライラや情緒不安定に加えて、「眠くてたまらない」ということがあります。
通常、このような不快症状は、生理開始の1週間ほど前(排卵の約1週間後)から現れ、だんだんと強くなることが多いようです。なかには、排卵直後から一時的に不調が出る人もいたりします。
しっかり睡眠をとっているはずなのに、仕事中など日中に強い眠気に襲われたり、ぼーっとしてしまったりするのが特徴です。
しかし、そうした症状は一時的で、多くは生理が始まると眠気が解消されていきます。
排卵日近くに眠い理由は?
排卵日近くに眠いと感じるメカニズムは、完全に解明されているわけではありませんが、主に「プロゲステロン」という女性ホルモンの作用が関係しているのではないか、と考えられています。
女性の体内では、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンの分泌量が増減することにより、生理周期が作り出されています。
排卵期のあたりからは、プロゲステロンの分泌量が増え始めます。プロゲステロンには体温を上昇させる作用があるため、この時期は夜の眠りが浅くなり、日中に眠気が強くなるのではないかと考えられているのです。
なお、生理周期によって、睡眠ホルモンとも呼ばれる「メラトニン」の分泌が変化するのではないか、という説もありますが、逆に、変化がないという研究報告もあり、現在のところ、生理周期とメラトニン分泌の関係については、はっきりしていません(※1)。
排卵日近くに眠いと病気の可能性がある?
先述のとおり、排卵日近くに眠いのは、女性ホルモンが影響しているのではないかと考えられています。
眠いと仕事や家事が手につかなくて困るかもしれませんが、眠気が現れるのは女性ホルモンが正常に分泌されている証拠ともいえるので、眠いだけで「病気かも…」と心配しすぎる必要はありませんよ。
ただし、睡眠不足や過労、心身のストレスなど負荷がかかる生活をしていると、ホルモンバランスが崩れやすく、そのせいで日中に眠くなることがあるとされているので注意しましょう。
排卵日に眠いときの対処法は?
排卵日近くに眠いのは生理現象の一つなので、完全に解消するのは難しいといえます。
普段からできる対処法としては、日中は体をよく動かし、夜はしっかり睡眠をとるように心がけ、日頃から規則正しい生活を送ることです。以下でポイントを紹介するので、参考にしてくださいね。
朝日を浴びて1日をスタートさせる
朝、目が覚めたらすぐにカーテンを開け、日光を浴びましょう。目から光を取りこむことで、体内時計がきちんと調節されます。その結果、昼間はメラトニンの生成が抑制され、夜に十分に分泌されることでよく眠れる…という正常な睡眠リズムが作り出されます。
また、朝日を浴びることで、「セロトニン」という脳内物質の働きも活発になり、睡眠の質の向上や精神の安定につながるともいわれています(※2)。
夕方から夜に軽い運動をする
眠りにつく3時間くらい前にウォーキングやストレッチなどの軽い運動をするのもおすすめです。
就寝の数時間前に体を動かすことで、脳の温度を一時的に上げてあげると、ちょうど寝る頃に脳の温度がぐんと下がり、眠くなりやすくなります(※3)。
ただし、寝る直前に運動すると体が興奮してしまい、かえって寝つきが悪くなってしまうので、気をつけてくださいね。
夜寝る前にテレビやスマホを見ない
夜にメラトニンを分泌させるため、睡眠前に光を浴びないようにすることも重要です。眠りにつく前には蛍光灯の電気を消して間接照明に切り替え、できるだけテレビやスマホの画面を見ないように心がけましょう。
アロマなどで心身をリラックスさせる
眠るときにアロマを焚いたり、ハーブティーを飲んだりと、心身をリラックスさせる習慣を取り入れてみるのもおすすめです。夜の眠りの質を高めることで、日中に眠いのを改善することができますよ。
夜更かししない
夜眠れないからといって夜更かししていると、昼間の眠気は増すばかりで、悪循環に陥ってしまいます。毎日できるだけ決まった時間に布団に入り、目を閉じてゆっくり休むようにしましょう。
排卵日の眠気とうまく付き合っていこう
毎月、排卵日近くに眠いと、思うように体や頭が働かなくて困ってしまいますよね。しかし、女性の体に起きる生理現象ともいえるので、ある程度は「仕方がない」と割り切ることが大切です。いつも以上に規則正しい生活習慣を心がけ、なるべくストレスを軽減したいですね。
基礎体温表をつけて排卵のタイミングを把握しておき、「排卵日のあたりは夜の予定を入れず、なるべく早く寝る」と決めるなど、セルフケアをしながら眠気とうまく付き合っていきましょう。
なお、頭痛や腹痛、吐き気などの症状が現れる場合、「月経前症候群(PMS)」と診断されることもあります。症状の程度は個人差がありますが、日常生活に支障が出るほどつらいときは、婦人科を受診し、専門医に相談してみてください。