生理前にめまい…原因と対処法は?吐き気があるときはどうしたらいい?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

生理前になると、女性の体には様々な変化が起こります。症状は人それぞれですが、めまいが起こると、「そろそろ生理かも」と思う女性もいるのではないでしょうか?程度の差はそれぞれですが、ひどいと吐き気や頭痛を伴うこともあり、できるだけ改善したいですよね。今回は生理前に起こるめまいの原因や対処法、妊娠の可能性についてご説明します。

生理前にめまいが起きる原因は?

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生理前のめまいには、下記のような原因が考えられます。

月経前症候群(PMS)

月経前症候群とは、生理の3~10日前から始まる、様々な不快症状のことです(※1)。身体症状であれば、頭痛、むくみ、腹痛、精神症状であれば、イライラ、不安感といった症状が代表的で、めまいを感じる人もいます。

月経前症候群の原因はまだはっきりと分かっておらず、ホルモンバランスの乱れや、カルシウム量の低下などが関わっているのではないかと考えられています。

貧血

生理前は、体が妊娠の準備をするために、子宮の周りに血液がたくさん集まります。その結果、脳に送られる血液量が減り、貧血になりやすくなります。

貧血になると、立ちくらみやめまいで体がふらふらし、吐き気を感じることもあります。

水分代謝

生理前になると、妊娠に備えて、体は栄養や水分を蓄えようとします。

全身の細胞が水分を溜め込もうとすると、平衡感覚を司る「内耳」にも水分が溜まり、めまいが誘発されやすくなります。生理前にむくみやすいのも、多くはこれが原因です。

低血糖

生理前の低血糖が、めまいを引き起こす原因になることもあります。

生理前に分泌が増える「プロゲステロン(黄体ホルモン)」は、体内の血糖値を下げるインスリンの効きを弱くする作用があります。

その影響で、生理前は血糖値が上がりやすくなるのですが、体は血糖値を一定に維持しようと、インスリンの分泌量を増やします。その結果、血糖値が急低下し、結果的に低血糖状態になることがあります。

また、前述の理由で生理前に低血糖になると、むしょうに甘いものが食べたくなることがあります。しかし、過剰に甘いものを摂取るすと、インスリン分泌量が急増して、低血糖の原因になることもあるため注意が必要です。

甘いものを食べると急激に血糖値が上がるので、体は大量にインスリンを分泌します。すると、血糖値が次は急低下し、低血糖になってしまうのです。

生理前のめまいは治療が必要?

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生理前のめまいは、体の生理現象によって引き起こされていることが多いので、一般的に、生理が終わる頃には自然と治まります。日常生活に支障がなければ、治療を行う必要はないでしょう。

しかし、生理の度にひどいめまいに悩まされたり、生理が終わってもめまいが続いたりするときは、念のため一度病院を受診してください。脳や中枢神経などに病気が隠れている可能性もあります。

病院で検査をし、特に病気などがなかったとしても、低用量ピルでホルモンバランスを安定させたり、漢方薬で水分の代謝を促したりすることで、症状が緩和されることもありますよ。

生理前のめまいは予防できる?

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生理前のめまいを予防するためには、下記のようなことが大切です。

ホルモンバランスの乱れを整える

月経前症候群は、ホルモンバランスの乱れによって症状が重くなることもあります。またホルモンバランスを整えておけば、プロゲステロンの過度な分泌を防げる可能性があります。

そのため、生理前のめまいを予防するにはまず、ホルモンバランスを整える生活を意識しましょう。

栄養バランスの取れた食事を摂り、毎日ゆっくり眠るようにしましょう。過度なストレスもホルモンバランスの乱れにつながるので、溜め込んでしまわないよう、趣味などで適度に発散していきたいですね。

甘いものを過剰摂取しない

生理前は甘いものを食べたくなるかもしれませんが、食べ過ぎると低血糖を引き起こし、めまいにつながる可能性があります。過剰摂取は控え、できるだけ少量を、ゆっくりと楽しみたいですね。

また、甘いものが食べたくなったら、お菓子ではなくドライフルーツを食べて、気持ちを落ち着かせるのもおすすめです。

貧血を予防する

貧血によるめまいを予防するためには、日頃から鉄分をしっかりと摂取することが大切です。

月経がある20~50代の女性は、1日あたり10.5mgの鉄分を摂取するよう推奨されています(※2)。牛モモ肉や豚レバー、カツオなど、鉄分が豊富に含まれる食材を、積極的に食事に取り入れてみましょう。

生理前のめまいは妊娠の初期症状かも?

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生理前のめまいは、妊娠初期症状の可能性もあります。妊娠した場合も、プロゲステロンの分泌量が増えるので、生理前と同じ仕組みでめまいを起こすことがあるからです。

ただし、妊娠したら必ずめまいが起こるわけではありませんし、めまいが起きたからといって必ず妊娠しているというわけでもありません。「生理予定日が来ても高温期が続いている」「吐き気がする」など、他の妊娠兆候がないかも確認しましょう。

生理予定日を1週間過ぎても生理が来ないときは、妊娠検査薬を使用してみてください。陽性がでたら、婦人科を受診しましょう。

生理前のめまいは転倒に注意して

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生理前にめまいが起きたら、無理せず横になったり、座ったりして、体を休めるようにしましょう。安静にしてしばらく目をつぶっておくだけで、症状が改善されることもあります。

また、めまいが起きたときは、転倒に注意が必要です。外にいるときでも、その場にしゃがみこむなどして、怪我をしないように気を付けてくださいね。

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