女性の体調は、生理周期に左右されやすいものです。特に生理前はホルモンバランスの変化が激しく、体のいたるところに不調が現れます。貧血もその一つで、生理前から何となくフラフラしてしまうという人も多いですよね。そこで今回は、生理前の貧血について、原因や立ちくらみの対策、妊娠の可能性などをご説明します。
生理前の貧血の原因は?
生理前の貧血は、体内の血液が子宮に集まることが原因です。
排卵後から生理前にかけて、女性の体内では、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンがたくさん分泌されます。このホルモンが分泌されると、体は妊娠や出産に向けた準備を始めます。
その結果、受精卵が着床するはずの子宮に、たくさんの栄養や血液が必要になり、全身の血液が優先的に子宮周辺に集まります。
そのため、脳への血液の供給量が少なくなり、貧血の症状が現れるのです。
生理前の貧血で立ちくらみ。治療は必要?
生理前から生理中にかけて起こる貧血のほとんどは、生理が終わり、全身に血液が回るようになれば、自然と治まります。過度に心配する必要はありませんよ。
しかし、貧血の症状があまりにひどく、日常生活に支障をきたすときや、生理後にも貧血の症状が続くようなときは、生理前の貧血ではなく、腎臓や肝臓などの臓器のトラブルや、血液の病気などの可能性も考えられます。
ひどい症状が続くときは、一度、婦人科や内科などで診てもらうと安心です。
生理前の貧血の対処法は?
生理前に貧血が起こったときは、安静にすることが一番の対処法です。体を休めて、血の巡りをよくしましょう。
立ちくらみがしたら、ベッドやソファに横になるか、外出先なら椅子に座って休むようにしてください。体を締め付けているベルトやボタンもできるだけゆるめて、血の巡りをサポートしたいですね。
また、立ちくらみ自体はそこまで問題ないですが、突然倒れて怪我をしてしまっては大変です。我慢せずにその場にしゃがみこむなどして、怪我をしないように気をつけましょう。
生理前の貧血は食事で予防しよう
生理前の貧血は、生理現象としてある程度仕方がない部分もありますが、できるだけ予防するためには、普段の食生活で「鉄分」を摂取することが大切です。
鉄分は、血液中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」を作るために不可欠な栄養素です。ヘモグロビンがたくさん作られれば、血流が少なくなっても、脳まで十分な酸素を運んでくれるので、貧血症状が現れにくくなりますよ。
鉄分は、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」と、野菜や果物に含まれる「非ヘム鉄」の2種類に分類されます。ヘム鉄のほうが体に吸収されやすいので、ヘム鉄を豊富に含む、牛モモ肉や豚レバー、カツオなどを積極的に食べましょう。
非ヘム鉄は、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が高くなるという特徴があります。小松菜やほうれん草、プルーン、大豆といった、非ヘム鉄と吸収を高める栄養素が、両方含まれている食材がおすすめです。
月経がある20~50代の女性は、1日あたり10.5mgの鉄を摂取するよう推奨されています(※1)。
1日で吸収できる鉄分の量は決まっているので、とりだめをすることは基本的にできません。生理前の貧血がひどいという人は、毎日鉄分をとれるよう、食事を工夫しましょう。
生理前の貧血は妊娠のサイン?
生理前の貧血は、妊娠のサインである可能性もゼロではありません。妊娠すると子宮に血液が集まるので、貧血を起こしやすくなるのです。実際に、妊娠初期症状として貧血を感じる女性も多くいます。
ただし、妊娠初期症状は個人差があるものです。貧血があるからといって必ずしも妊娠しているわけではありませんし、貧血がないから妊娠していないというわけでもありません。
生理が遅れていないか、高温期が続いていないかなど、他の妊娠兆候がないかどうかも確認しましょう。
生理予定日から1週間を過ぎても生理が来なかったら、妊娠の可能性も考えて、妊娠検査薬で調べてみましょう。陽性反応が出たら、婦人科を受診してくださいね。
生理前の貧血は自分にあった対処を
生理前の貧血は、女性の体の仕組みとして起きても仕方がないものですが、生理は毎月来るものなので、その度にきつい思いをするのは大変ですよね。生理前の貧血がつらいときは、我慢しすぎずゆっくり休み、鉄分を補給しましょう。
また貧血は、過度なダイエットや偏食によっても起こりやすくなります。思い当たる人は、栄養バランスの良い食事を、できるだけ三食しっかり摂るようにしてくださいね。