赤ちゃんのあんよとたっちはいつから?練習は必要?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

「這えば立て 立てば歩めの 親心」という言葉があるように、我が子の成長に期待と不安でいっぱいになることもありますよね。同月齢の赤ちゃんたちが続々とたっちやあんよを始めたら、「うちの子はまだかしら」と、つい焦ってしまうこともあるのではないでしょうか。そこで今回は、赤ちゃんのあんよとたっちはいつからできるようになるのか、練習は必要なのか、この時期の注意点を含めご紹介します。

赤ちゃんのあんよとたっちはいつから?

赤ちゃん あんよ たっち 22344885

赤ちゃんが1人でたっちするのは生後10ヶ月~1歳2ヶ月頃、あんよを始めるのは生後11ヶ月~1歳6ヶ月頃が目安で、それぞれの体の発達に合わせて成長していきます。

赤ちゃんがあんよやたっちをするまでには段階があります。腰がすわって足腰がしっかりしてくると、生後8~9ヶ月頃につかまり立ち、生後9ヶ月~1歳頃に伝い歩きを始めます(※1)。

その後、筋力や神経がさら発達すると1人でたっちを始め、1歩2歩と進んでいくうちに左右の足に体重を移動させるコツをつかみ、あんよへと移行していきます。

しかし、赤ちゃんの成長には個人差があるもの。平均よりゆっくりでも、乳児健診で問題が指摘されなければ心配する必要はありません。コツを掴んだ途端に、一気に歩き出す子もいますよ。

赤ちゃんがあんよとたっちをするのに練習は必要?

子供 坂 外 歩く

赤ちゃんは自然にあんよやたっちを始めるので、基本的には無理に練習させる必要はありません。しかし、平均的な時期を過ぎても一向にあんよやたっちをする様子が見られなければ、遊びの中で意欲を高めてあげても良いですね。

1人でたっちをすることや、1歩を踏み出すことは、赤ちゃんにとっては難しいものです。以下に、遊びやスキンシップの中で取り入れられる練習方法をご紹介しますので、ママやパパがサポートしてあげてください。

1人でたっちをする練習方法

1. 赤ちゃんと向き合って両手を持ち、つかまり立ちをさせる
2. 赤ちゃんの姿勢が安定し、体が斜めになっていないタイミングで、ゆっくりと手を離す

はじめはすぐにお尻をついたり、不安で手を伸ばしてきたりすることもあるので、すぐに手を差し伸べられる位置にママがいるようにしましょう。

毎日、少しずつ回数を増やしたり、手を離す秒数を長くしたりしてみてください。また、怖がるときは無理強いしないようにしてくださいね。コツを掴めば自分からバランスをとるようになってきますよ。

あんよの練習方法

1. 赤ちゃんと向き合って、両手をしっかり持つ
2. 「あんよはじょうず」など、優しくかけ声をかけながら、右手を軽く引いて右足を出させる
3. 上記同様に、左手を軽く引いて左足を出させる
4. 何度か繰り返して自分から足を出してきたら、支えたまま歩調を合わせて歩いてみる
5. テンポよく足が出るようになったら、少しずつママが手を離す

前のめりの姿勢になりやすいので、ママの手に重心がかからないようにするのがポイントです。体を立てたまま1歩が踏み出せるようにサポートしましょう。

ママが支えていたとしても、1日で何歩も歩けるようになるとは限りません。赤ちゃんと遊ぶつもりで、楽しみながら取り組んでくださいね。

赤ちゃんがあんよとたっちを始めたときの注意点は?

赤ちゃん 歩く 靴

この頃の赤ちゃんは、ハイハイをしていたときよりもさらに行動範囲が広がり、興味のあるものに猪突猛進するようになります。世界が広がり、ぐんと成長する重要な時期ですが、広がる世界には危険がいっぱい。

まだ「危険なもの、危険ではないもの」の区別もついていないので、ケガや事故が多い時期でもあります。あんよに慣れるまでは特に、大人が注意して見守ってあげてください。

転倒

たっち・あんよを始めた頃の赤ちゃんは、とにかくよく転びます。つまずきやすいものや滑りやすいものは床に置かないようにしましょう。

畳やカーペットはさほど固くないので比較的安心ですが、フローリングの場合はジョイントマットなど柔らかい素材を敷くのがおすすめです。ジョイントマットはケガだけでなく足音による騒音予防にも役立ちますよ。

転倒防止の対処法

・ ジョイントマットなどクッション性のあるものを敷く
・ 新聞や紙、細かいおもちゃは床に置かない
・ 玄関マットや薄手のラグは滑らないように注意する
・ 家具や柱の角にコーナークッションをつける
・ 段差を作らない

転落

集合住宅や2階建て以上の家の場合、バルコニーや階段から転落してしまう危険性があります。「手すりに届かないから大丈夫」と思っていても、思いがけず柵のすき間からすり抜けたり、置いてあるものに登って柵を乗り越えたりして事故につながる恐れも。

転落防止の対処法

・赤ちゃんと一緒にバルコニーや階段を使うときは、絶対に目を離さないようにする
・ベランダに出る窓には鍵をかけるか、ベビーゲートをつける
・階段の登り口や降り口にはベビーゲートをつける
・踏み台になるようなものを大きな家具の側や窓際に置かない

火傷や落下物

視線の高さが上がり、それまで届かなかったところにも手が届くようになります。ママの真似をしてキッチンのコンロを触って火傷することもあれば、棚につかまったときに積み重なっていた本や雑誌が落下してケガをしてしまうことも。

火傷や落下物防止の対処法

・ コンロにチャイルドロックをする
・ 台所の入り口にベビーゲートをつける
・ サイドテーブルや机の上に本や物を積み重ねない
・ ローラーつきの家具は固定する
・ドアや引き出しにストッパーをつける

誤飲

床はもちろん、テーブルの上にも危険なものや誤飲しやすいものを置かないようにしましょう。あんよやたっちができるようになると、つたい歩きよりも行動範囲が広がります。

小さなおもちゃやボタン、消しゴム、ビーズ、硬貨、たばこなど、一見なんでもないものでも赤ちゃんにとっては危険なものです。思っているよりも色々なところに行けたり、手が届いたりするので、気をつけてくださいね。

誤飲防止の対処法

・ ボタン電池は手の届かないところに収納・保管する
・ タバコや灰皿をテーブルの端に置かない
・ 細かいおもちゃや文房具などはまとめて保管する

赤ちゃんのあんよやたっちはママがサポートしよう

たっち・あんよを始める時期や進行具合も赤ちゃんの個性のひとつ。ママが他の子と比べてやきもきすると、その不安が赤ちゃんにも伝わってしまいます。焦らず、慌てず、おおらかな気持ちで見守ってあげましょう。

また、室内であんよができるようになってきたら、靴を履いて外で歩く準備をしましょう。赤ちゃんはそれまでずっと裸足か靴下だけで過ごしていたので、靴を履かせたとたんに違和感があって嫌がるのはごく自然なことです。

初めての靴を買ったら、まずは家の中で履かせて靴に慣れさせてあげてくださいね。

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