生理周期のなかでも、生理中の「月経期」や排卵前後の「黄体期」は体調が変わりやすく、普段から意識している人もいるかもしれません。しかし、生理後、排卵が起こる前までの「卵胞期」については、あまり気にしていない人も多いのではないでしょうか?妊娠を望む人にとって、卵胞期は卵胞を順調に育てるための大切な時期だといえます。今回は、卵胞期の過ごし方について、妊娠するための生活習慣や食生活、腹痛や出血が起こる原因と対処法などをご紹介します。
卵胞期とは?いつのこと?
上図のとおり、生理周期はおおまかに4つに分けられます。生理周期は人によって様々ですが、正常な範囲は25~38日の間です(※1)。
一般に、生理が起こってから排卵までの時期を「卵胞期」と呼んでいます。基礎体温でいうと、「低温期」に当たります。
卵胞期は、女性ホルモンの一つ「エストロゲン(卵胞ホルモン)」によって、卵子の元となる「卵胞」が卵巣内で成熟し、受精卵の着床に向けて子宮内膜が厚くなる時期です(※1)。
エストロゲンが「ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)」を調節し、その刺激で「卵胞刺激ホルモン(FSH)」が分泌されると、卵胞の発育が促進されます。
このとき、複数の卵胞が同時に育っていきますが、毎回の生理周期で排卵されるのは1個だけです。
妊娠に向けた卵胞期の過ごし方は?
卵胞期に多く分泌されるエストロゲンは、妊娠に向けた準備をするだけでなく、コラーゲンの合成を促すなどの働きもあります。そのため、卵胞期は肌や体の調子が良いと感じる人が多い時期です。
生理が終わった解放感から、つい予定を詰めて忙しくしがち…という人もいるかもしれませんが、妊娠しやすい体の状態をつくるため、卵胞期の過ごし方を見直してみましょう。
質の良い睡眠をとる
ストレスや睡眠不足による疲労が蓄積すると、ホルモンバランスが乱れてしまいます。
「朝、目覚めたらカーテンを開けて日光を浴びる」「夜寝る直前にテレビやスマホを見ない」ということに気をつけて、質の良い睡眠を充分にとりましょう。
ぐっすり熟睡できるように寝室の温度や湿度を調節したり、体に合った寝具を用意したりすることも大切ですよ。
栄養バランスの取れた食事をとる
ホルモンバランスを整えるには、栄養バランスの良い食事を規則正しくとることも大切です。
そのうえで、エストロゲンの働きを補ったり、分泌を助けたりする「大豆イソフラボン」「ビタミンE」「ビタミンB6」を含む食材も少し意識してみると良いですね。
冷え対策をする
冷えは体内の血流を悪くしてしまうため、妊活中の女性にとっては良くありません。血行を促進するために、まずはウォーキングやヨガ、ストレッチなど軽めの運動を週1~2日始めてみましょう。ストレス発散にもなるのでおすすめです。
また、体を冷やさないようにするため、寒さの厳しい冬場だけでなく、冷房が効いている夏場も羽織るものを1枚持ち歩くなど気をつけてみましょう。
卵胞期に腹痛や出血があったら病気?
卵胞期は生理が終わったあとの時期なので、本来であれば腹痛や出血はありません。もしそのような症状が見られる場合、以下の原因が考えられます。
卵胞期の腹痛や出血は、必ずしも病気が原因とは言い切れませんが、続くようなら念のため婦人科を受診して、医師に相談してみましょう。
機能性出血
通常、卵胞期はエストロゲンの作用で子宮内膜が厚くなりはじめています。しかし、ストレスなどでホルモンバランスが乱れると、子宮内膜が状態を維持できずに剥がれ落ち、出血してしまうこともあります。
機能性出血には、主に2つの種類があります。女性ホルモンの急減により子宮内膜を維持できなくなる「消退出血」と、エストロゲンの過剰分泌で子宮内膜が異常に分厚くなり、維持できなくなる「破綻出血」です。
排卵出血
卵胞期の終わりのほうで、排卵日が近いタイミングで出血がある場合、「排卵出血」の可能性もあります。厳密にいうと、排卵出血も機能性出血の一種ですが、これは女性ホルモンの乱れによるものではありません。
排卵出血は、卵子が卵胞を破って放出されるときに見られる、少量の出血です。色は黒っぽかったり茶褐色だったりと個人差があり、下腹部痛(排卵痛)を伴うこともあります。
器質性出血
子宮や卵巣、卵管、腟などに、炎症や腫瘍など何らかの病気があるのが原因で出血を起こしている可能性もあります。これを、不正性器出血の中でも「器質性出血」といいます。
子宮内膜症や子宮筋腫、子宮がんなどが潜んでいると、出血だけでなく腹痛や下腹部痛を伴うこともあります。放置してしまうと不妊にもつながりかねないので、早めの受診が必要です。
妊娠に向けて卵胞期の生活習慣を見直そう
卵胞期は、卵子の元となる卵胞が発育する重要な時期です。生理中や排卵前後と比べると体の調子が良いので、つい無理をしがちですが、妊娠しやすい体作りは、卵胞期から始まっています。待望の赤ちゃんと早く出会うためにも、卵胞期の過ごし方も意識してみましょう。
また、妊活中は特に基礎体温をしっかり記録し、自分の卵胞期がいつからいつなのかを把握しておくことをおすすめします。
卵胞期に腹痛や出血などの症状が現れた場合は、妊娠への不安を残さないように、念のため病院を受診すると安心ですよ。