母乳やミルク以外から栄養を摂る準備である離乳食。赤ちゃんが少しずつ大人と同じ食事ができるようになるのは楽しみですよね。
しかし、離乳食を進めるにあたり「赤ちゃんの肌荒れによってアレルギーを引き起こすことがある」という話を聞いたことがあるママ・パパもいるのではないでしょうか。実際はどうなのか気になりますよね。
そこで今回は、書籍『子どもの食物アレルギー あんしんBOOK』より、子どもの肌荒れと食物アレルギーの関係性についてご紹介します。
肌が荒れることで皮膚のバリア機能が低下
正常な皮膚にはバリア機能があり、外部からの有害物質の侵入をブロックしたり、体内の水分が過剰に蒸発するのを防いだりしています。
バリアの働きをしているのは、肌表面の角層という部分です。ここには角質細胞がレンガのように積み重なっていて、その間にある細胞間脂質という脂質が細胞と細胞をつなぎ、表面は皮脂膜で覆われています。
ところが、乾燥や湿疹で荒れた皮膚は、水分や脂質などが減って角質細胞がガタガタになった状態。当然、バリア機能は低下してしまいます。
そのため、 外部からアレルギーの原因物質が侵入し、食物アレルギーを発症するリスクが高くなるのです。
口から食物が入るより、皮膚から侵入したほうがアレルギーになりやすい
皮膚から異物が侵入すると、皮膚内部にある免疫細胞がこれをとらえ、アレルギー症状を引き起こすIgE抗体が作られます。これを「感作」といいます。
以前は、食物アレルギーはおもに口から入った食物が原因で発症すると考えられていましたが、皮膚を介した感作(経皮感作)のしくみがわかり、最近では、皮膚からの侵入のほうが、アレルギー発症のリスクが高いと考えられるようになっています。
子どもの皮膚に湿疹などができたら、適切な治療と保湿スキンケアを行ないましょう。それが食物アレルギーのリスクを下げることにつながる可能性があります。
ちなみに、口から入った無害な食物に対しては、アレルギーを抑える免疫細胞が活発になることがわかっています(経口免疫寛容)。
食物アレルギーの治療には、原因食物を症状が出ない範囲で食べて、耐性を獲得していく方法がありますが、これは経口免疫寛容を利用した治療法です。
原因食物が皮膚から侵入して
発症するリスクがあります
いかがでしたか?この記事では、「子どもの肌が荒れていると食物アレルギーになりやすい?」という疑問に対して、「原因食物が皮膚から侵入して発症するリスクがあるため、適切な治療やスキンケアをすることが大切」ということが分かりました。
書籍では、上記のように離乳食をはじめる前に気になることをはじめ、食物アレルギーであることがわかった後の離乳食の進め方や注意点のほか、成長とともに増えるさまざまな悩みにこたえています。
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ぜひチェックしてみてくださいね。
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子どもの食物アレルギー あんしんBOOK
食物アレルギーをもつ子供は年々増えており、共働き家庭も増え、家族をとりまく食の環境も子どもの成長とともに複雑に。そんな親のリアルな悩みに寄り添いながら、最新の確かな情報をわかりやすく丁寧に掲載しています。
【書籍監修】
今井孝成 昭和大学医学部小児科学講座教授
近藤康人 藤田医科大学ばんたね病院小児科教授
高松伸枝 別府大学食物栄養科学部教授