アレルギーマーチとは?予防できる?原因や治療法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

子どもがアレルギーになると、痒みや痛みなど、苦しい症状が続いて心配になりますよね。アレルギーを持つ人は増加傾向にあり、いつどこでアレルギーを発症するかわかりません。

そこで今回は、アレルギー症状を患う子どもに多く見られる「アレルギーマーチ」について、原因や症状、治療方法などをご説明します。

アレルギーマーチとは?

乳児湿疹 日本人 赤ちゃん(アイキャッチ)

子どもがアレルギー疾患を発症したあと、年齢とともにアレルギー疾患が形を変えて現れてくることを「アレルギーマーチ」といいます。

アレルギーとは、異物から体を守るための免疫反応の一部で、体に害のないものに対しても過剰に反応している状態です。

アレルギーになりやすい体質の子どもは、成長に伴ってさまざまなアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)と接触することにより、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎・花粉症などを発症していきます(※1)。

このように、アレルギーの症状がまるで行進しているかのように変化することから「アレルギーマーチ」と名付けられました。

アレルギーマーチの原因は?

赤ちゃん 日本人 新生児 抱っこ

アレルギーマーチは、「子どもの体質」と「環境」が複雑に絡み合って起こると考えられています(※1)。

子どもの体質

親にアレルギーがあると、子どももアレルギーになる可能性があります。また、子ども自身の免疫の発達具合や、もともとアレルギーの影響を受けやすい体質などが原因になることも。

環境

アレルゲンへの接触や、大気汚染、受動喫煙、ウイルスなどへの感染、気温、湿度などの環境がアレルギーを引き起こす原因になります。

典型的なアレルギーマーチでは、アレルギーになりやすい体質である子どもの体に、ダニやハウスダスト、食べ物、カビなどのアレルゲンが入ることで、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症することからはじまります。

アレルギーマーチの症状と治療法は?

症状

アレルギーの種類は様々ですが、アレルギーマーチになると、一般的に下記のような順番で症状が現れるケースが多いです(※2)

1. アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは乳児湿疹のひとつで、以下のようなかゆみのある症状が、顔や首、肘の内側、膝の裏側などにできて、慢性的に悪くなったり良くなったりを繰り返す疾患です。

● 関節部分の皮膚が赤くなる
● 小さいブツブツができる
● 皮膚がカサカサむける
● 皮膚が熱くなる
● かさぶたができる

乳幼児〜小学生までの約10%程度がアトピー性皮膚炎であると報告されています(※3)。

アトピー性皮膚炎は、短期間で治ることはありません。根気強く塗り薬や飲み薬を続けて、スキンケアをしっかりと行うことになります。

2. 食物アレルギー

食物アレルギーは、特定の食べ物に対して以下のようなアレルギー反応が起こることを指します。

● じんましんなどの皮膚症状
● まぶたが腫れるなどの粘膜症状
● 腹痛・嘔吐などの消化器症状
● 咳・息がしにくいなどの呼吸器症状
● 複数の臓器に症状が出現して、急速に進行するアナフィラキシー
● 血圧低下・意識障害がみられるアナフィラキシーショック

0歳時は、いわゆる3大アレルゲンと呼ばれる「小麦」「卵」「牛乳」のアレルギーが多いですが、1〜2歳では「ナッツ類」「魚卵類」、3〜6歳では「ナッツ類」「魚卵類」「ピーナッツ」が多くなります(※4)。

食物アレルギーの大部分が乳児期に発症し、小児期に年齢とともに良くなっていくケースがほとんどですが、魚類・エビ・カニ・果物・ピーナッツ・そば・ゴマ・ナッツ類などによるものは、耐性を得られにくいとされています。

食物アレルギーには根治させる治療法はありません。アレルゲンとなった食べ物を完全に除去するか、医師の判断のもとで症状が出ない量を少量ずつ食べていくことになります(※5)。

3. 喘息

空気の通り道である「気道」に炎症が起こり、呼吸困難を引き起こすのが「喘息」です。

ハウスダストやダニなどのアレルゲンが原因となることが多く、喘息の60~70%は2~3歳までに、80%以上が6歳までに発症します(※6)。

発症すると、気道に炎症を起こさないようにする吸入薬や、気道を広げる薬などを使って喘息の発作が起こらないようにコントロールしていきます。

4. アレルギー性鼻炎

花粉やハウスダストなどのアレルゲンに鼻の粘膜が刺激され、炎症が起こっている状態が「アレルギー性鼻炎」です。主な症状として、鼻水やくしゃみ、鼻づまりが起こります。

アレルギー性鼻炎のうち、ダニやハウスダスト、ペットの毛などで起こるものを「通年性アレルギー性鼻炎」、原因となる花粉が飛ぶ季節だけに症状が現れるものを「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」と呼びます。

アレルギー性鼻炎では、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状を和らげる薬を使う対症療法や、アレルギーそのものを治療することで体質改善が期待できる舌下免疫療法などがあります。

アレルギーマーチは予防できる?

食べもの 食材 アレルギー

アレルギーは子どもの体質や環境によって発症します。そのため、完全に予防することは難しいですが、以下のようなことに気をつけることで、ある程度予防することができるかもしれません。

スキンケアをしっかりと行う

新生児のうちから保湿剤によるスキンケアを行うことで、アレルギーマーチのはじまりになりやすいアトピー性皮膚炎を予防できる可能性があることがわかってきました(※5)。

食物アレルギーなどのアレルギー疾患まで予防できるかどうかはわかっていませんが、乾燥や湿疹などの皮膚の症状がある場合は、スキンケアをしっかりと行うとともに、早めに受診して治療してもらいましょう。

こまめに掃除を行う

喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎では、ダニやハウスダストが原因となることも多いのです。こまめに掃除をして、アレルゲンを減らせるといいですね。

アレルギーのような症状が見られたらすぐに受診する

アレルギーマーチを予防するためには、アレルギー症状が起こったときに速やかに治療を行うことが大切です。症状をコントロールして次のアレルギーを引き起こさないためにも、早めに受診しましょう。

アレルギーマーチは専門医に相談しよう

アレルギーマーチの治療は長期に渡ることがほとんどです。最近ではアレルギー専門の医師がいる病院もあるので、長期的な治療を見据えられる病院をみつけてくださいね。

子どもがアレルギーになってしまったら、普段の生活でも気をつけないといけないことがあるかもしれません。家族で協力し合いながら、症状の改善を目指せるといいですね。

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