子宮内避妊システムの「ミレーナ」は、まだ耳慣れない人も多いかもしれません。日本では、2007年から避妊目的に販売が開始され、2014年からは月経困難症の治療薬として承認された医療品です。そこで今回は、ミレーナとはどんなものなのか、使い方や効果、費用についてご説明します。
ミレーナとは?
「ミレーナ」とは子宮内避妊システムのことで、英語表記の頭文字を取って「IUS」と呼ばれることもあります(※1)。
ミレーナには、低用量経口避妊薬(OC/ピル)が持つ高い避妊効果と、子宮内避妊具(IUD)が持つ長期に渡る避妊効果を合わせ持つという特徴があります。
日本国内では、過多月経を引き起こす子宮腺筋症、子宮筋腫などの治療に使われることが一般的です。
ミレーナの使い方は?
ミレーナは、ピルのような錠剤ではありません。T字型をした器具で、上のイラストのように子宮内に装着して使います。
ミレーナの縦の筒から放出される「黄体ホルモン」が子宮に作用し、子宮内膜が厚くなるのを抑える作用があります。
月経の開始から7日以内に装着し、1度装着したら、効果は数年間期待できます。交換の目安は5年以内です(※1)。
装着や取り外しは、医師によって行われます。きちんと装着されているか、異常がないかどうか確認するため、3ヶ月に1回程度検診を受けるように求められることが一般的です。
取り外し用の紐がついていますが、自分で外せることはありません。
ミレーナの効果とは?
ミレーナを装着することによって、下記のような効果が期待できます。
過多月経の改善
ミレーナは、国内外の診療指針では過多月経の治療薬としてすすめられています(※2)。
前述のとおり、装着すると子宮内膜が薄い状態で維持されるので、次第に生理の経血量や回数が減り、生理痛も軽くなります。
避妊
ミレーナは、子宮内膜に作用して妊娠の成立を妨げたり、子宮の入り口の粘液を変化させて、精子が子宮内に進入するのを防いだりする働きがあります。
コンドームや経口避妊薬より高い避妊効果を持つため、避妊目的で使用している人もいます(※3)。
ミレーナを取り外せば妊娠が可能になります。
ミレーナの費用は?保険は適用される?
ミレーナには、保険が適用される場合とされない場合があり、それぞれ自己負担の金額が変わります。
保険が適用される場合
ミレーナの費用に保険が適用されるのは、医師の診察によって過多月経もしくは、月経困難症と診断された場合のみです。
保険が適応される場合の費用は、子宮の状態を確認する超音波検査、初診料などを含めて11,000〜20,000円程度になります。
保険が適用されない場合
ミレーナを避妊目的で使用する場合、保険は適用されません。
保険適応外の場合の費用は、超音波検査や初診料などを含めて40.000〜55,000円程度になることが多いようです。
病院によって価格は異なるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
ミレーナの装着は痛いの?
出産経験がないと、ミレーナの装着に時間がかかったり、痛みを伴ったりする場合もあります。また、子宮口を広げる処置をしてから、装着することもあります。
ミレーナを装着して数日間は、出血や下腹部痛、腰痛、おりものといった症状が見られることがあります(※1)。
症状がひどい場合やいつまでも続く場合は、速やかに婦人科を受診してください。
また、前回の生理から6週間以内に生理がこない場合や、吐き気、嘔吐、食欲不振などの妊娠の兆候が見られた際も、すみやかに婦人科を受診してください。
ミレーナを使えない人もいるの?
ミレーナは、一度装着すると複数年に渡る効果が見込めるため、装着を希望する人もいることでしょう。
しかし、下記に当てはまる人は、ミレーナは使えません。
● ミレーナの成分に過敏症を起こしたことがある
● 性器がんがある(もしくはその疑いがある)
● 異常性器出血がある
● 黄体ホルモン依存性腫瘍がある(もしくはその疑いがある)
ミレーナは、まず診察や検査をし、その結果が出てから装着することが一般的です。診察時に病歴や気になる症状がないか確認されるので、忘れずに伝えるようにしましょう。
ミレーナで子宮筋腫の症状が軽くなることも
ミレーナは、装着すると約20%の人は生理の回数が減るだけでなく、生理自体がなくなります(※1)。そのため、子宮筋腫や子宮内膜症でひどい生理痛に悩まされている人は、ミレーナの装着を検討してみてもいいかもしれませんね。
費用や副作用、治療を行えない人もいるので、一度婦人科を受診し、医師に相談してみましょう。自分にあったコントロール方法がみつけられるといいですね。