「妊活クライシス」という言葉、聞いたことはあるけれど意味までは知らないという人も多いのではないでしょうか。2017年ごろにメディアに取り上げられ、妊活中や妊娠を考えている夫婦を中心に一気に広まった言葉です。今回は、「妊活クライシス」とはどういう事態なのか、起こる原因、乗り越えるために大切なことをご説明します。
妊活クライシスとは?
妊活クライシスは辞書に乗っている言葉ではなく、「妊活」と「クライシス(危機)」を組み合わせた造語です。
妊活に対する夫婦の意識に食い違いが生まれ、それをきっかけに夫婦関係がギクシャクしてしまうことをいいます。
妊娠を希望するのになかなか授かれない不安や焦りからパートナーにきつく当たってしまったり、配慮に欠ける言葉をかけたりしてしまうことで、夫婦間の溝が深まってしまうことが多いようです。
妊活期間が長くなるほど、妊活クライシスに陥るリスクが高くなるといわれています。
妊活クライシスが起きる原因とは?
妊娠を希望する女性は、生理がくると「今回も赤ちゃんができなかった」ということを知り、深く落胆してしまいます。
街中で大きなお腹の妊婦さんを見かけると、「なぜ私には赤ちゃんが来てくれないの?」と自分を責めてしまう人もいるかもしれません。
しかし、悩んでいるのは女性だけではありません。男性も、どうしたらいいのか戸惑っているのです。
妊活クライシスが起こる原因を、女性側だけでなく、男性側の視点からも見てみましょう。
焦りと不安の温度差
女性が妊娠できる年齢には限りがあります。
さらに、生理がくることで妊娠が成立しなかった事実に直面するため、男性よりも焦りや不安が強くなります。
男性は、励ましのつもりで「次があるよ」「そのうちできるから」と声をかけていても、焦りや不安が強い女性には「無責任で他人事のような発言」と聞こえてしまうことがあります。
性行為が義務になってしまう
女性は、少しでも妊娠の可能性を高めるために、排卵日を正確に調べようとします。
一方の男性は女性の排卵周期を把握していないことが多く、お酒を飲んできたり、残業で遅く帰宅したりして、性行為の機会を逃してしまうこともあります。
そうすると女性は「せっかくのチャンスを無駄にされてしまった」と思い、一方の男性は「性行為を義務化されている」と思って、消極的になってしまうことがあります。
妊活の負担の差
妊娠しやすい体になるための努力をしている女性も多いのではないでしょうか。
アルコールを控えたり、体が冷えないように対策したり、食事の栄養バランスに気を使ったり。妊娠しやすい食材を食卓に取り入れている人も少なくないでしょう。
また不妊治療をしている場合は、どうしても女性の体に対して治療や処置を行うことが多く、女性の負担が重くなりがちです。
この負担の差に不安や焦りが重なることで、女性は「私ばかり頑張っている」と孤独に感じてしまうことがあるのです。
男性は、口に出して説明されないと気づかないことが多々あります。そのため、女性にアルコールを勧めたり、エアコンを強めたりしてしまうことがありますが、悪気があるわけではないのです。
妊活クライシスの乗り越え方とは?
夫婦といっても、考え方が違う他人同士だからこそ、本音で話し合ってボタンのかけ違いを正すことが大切です。
妊活クライシスに陥る前に、以下の点に注意してみましょう。
男性は女性の不安や焦りを理解する
妊娠・出産は女性にしかできないため、女性は男性以上に不安や焦りが強いということを理解するようにしましょう。
女性の悩みをすべて理解することは難しいと思いますが、「理解したい」と思うだけでも、かける言葉や態度が変わることでしょう。
女性は男性も悩んでいることを理解する
女性が妊活に熱心になればなるほど、性行為にプレッシャーを感じてしまう男性もいるようです。また、妊活中の悩みを人に相談しにくいと感じている男性も多く、自分自身の悩みや不安を溜め込んでしまうケースもあります。
パートナーにイライラする気持ちが大きくなってきたときは、一度深呼吸をして、男性にも様々な悩みがあるということを思い出してくださいね。
夫婦でしっかり話し合う
妊活の期間が長くなると、考え方が変わる場合もあります。お互いの考え方に違いは生まれていないのか、定期的に話し合うことも大切です。
また、妊活は夫婦で協力し合わないと前に進むことができません。お互いを思いやる気持ちを持ったうえで、本音で、しっかり話し合う機会を設けるようにしましょう。
妊活クライシスは夫婦2人で乗り越えよう
妊娠は、いくつもの偶然が重なって成立する、とても尊いものです。
妊娠において男性と女性の役割が違うからこそ、相手を思いやり、協力しあうことが欠かせません。
偶然が重なって出会い、相手を思い、そして夫婦になった2人。手を取り合って、新しい家族を迎える日を楽しみにできるといいですね。