保育園を探すときに、給食の内容をチェックする人も多いのではないでしょうか。「家では野菜や魚を嫌がるのに、保育園の給食なら完食した」なんて声を聞くこともありますよね。そこで、今回は保育園の給食やおやつはどんなものが出るのか、レシピや献立の決め方についてご説明します。
そもそも保育園とは?
保育園は正式には保育所といい、児童福祉法では「保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設」と定義されています。
保育園は、「認可保育園」と「無認可保育園(認証外保育園)」の2つに分けられます。
認可保育園は、施設の広さや保育士さんの人数、給食の設備といった国の基準をクリアし、都道府県知事などに認可された施設をいいます。
一方の無認可保育園は、児童福祉法に基づいて市区町村が設置を届け出た施設をいいます。保育方針が特徴的だったり、習い事をオプションで選択できたりする園などもあります。
保育園の給食の献立はどう決まるの?
乳幼児期は、子供の心と体が大きく成長する時期です。そのため、丈夫な体を作ったり、活発に活動したりするために必要な栄養素やエネルギーの補給は欠かせません。
そんな大事な時期を過ごす保育園で出される給食の献立やおやつは、認可か無認可かによって決められ方が違います。
認可保育園の給食やおやつは、厚生労働省が作成する『保育所における食事の提供ガイドライン』を参考にして検討されています(※1)。
かつては、保育園に調理室を設置し、保育園で調理を行うことが原則とされていました。
しかし、時代の流れとともに、保育園での調理、外部への委託、外部で作られた給食の取り寄せが可能になり、園ごとの保育理念や目標、方針に委ねられる部分も大きくなっています。
一方の無認可保育園は、園によって給食の内容がさまざまです。市区町村が作成した、摂取エネルギーや栄養バランスを計算した献立を活用している園もあります(※2)。
以下では、ある認可保育園の献立の決め方を紹介します(※3)。
1. 子供の年齢ごとにグループ分けをする
子供の年齢が3歳未満か、3歳以上かで分けます。3歳未満は、さらに1〜2歳児食、離乳食、調乳(ミルク・母乳)に分けられます。
アレルギーや離乳の進み具合に応じて、個別対応をする園が一般的です。
2. 食事摂取基準を参考に食材を検討する
「日本人の食事摂取基準」で定められている「推定エネルギー必要量」、栄養素については「推定平均必要量」「推奨量」「目安量」「耐用上限量(これ以上摂取しないほうがよい上限)」「目標量」をそれぞれ参考にして計画を立てます。
1日の推定エネルギー必要量を計算する
園児の体重を使って算出する方法と、年齢と性別区分を使って算出する方法があります。
園児の体重を使って算出する場合は、1〜2歳児、3〜5歳児のグループごとに分布状況をチェックします。そして、最も多くの子供に対応できるエネルギー量、もしくは最も多くの子供が不足しないエネルギー量を基準とします。
保育園で提供するエネルギー量を決める
保育園では、昼食とおやつを提供することが一般的です。
子供の年齢と保育園ごとに多少の差がありますが、子供が1日で摂取するエネルギーの45〜50%を給食とおやつで摂れるように計算します。
栄養素のバランスを決める
摂取エネルギーが決まったら、成長に欠かすことのできない三大栄養素のバランスを決めます。以下が目安です。
● たんぱく質:総エネルギーの13〜20%
● 脂質:総エネルギーの20〜30%
● 炭水化物:総エネルギーの50〜65%
そのほか、ビタミンやミネラルも「保育所における食事の提供ガイドライン」の推奨量を目標として設定されます。
3. 献立を決める
1〜2で算出したエネルギー、栄養バランスを満たすように、料理や食品の組み合わせを調整しながら献立を作成します。
保育園の給食の献立の工夫とは?
エネルギーや栄養を満たすのはもちろん、保育園の給食には子供が楽しんで食べられる工夫が満載です。
園によっても異なりますが、具体的にどのような工夫をしているか、一部をご紹介します。
● 旬の食材を使うなどして、季節感を大切にする
● 食の好みや体験が広がるように、いろいろな種類の食材を取り入れる
● 噛んだり飲み込んだりする力が育つように、食材や調理方法を工夫する
● 素材の味を感じられるように薄味にする
● 行事食を取り入れ、食べる楽しさを経験できるようにする
● 郷土料理や地元の食材を取り入れ、地域の食文化を楽しめるようにする
保育園の給食やおやつはどんなものが人気?
保育園で出される給食やおやつは、どんなものが人気なのでしょうか?
家で出されると残しがちな野菜や魚を使った料理も、お友達と一緒に食べる給食ではペロリと完食する子が多いようです。
下記のような給食とおやつが人気なようですよ。
ご飯もの
・ツナカレーおにぎり
・おくらとじゃこのご飯
・そぼろ納豆ご飯
魚のおかず
・魚の味噌マヨネーズ焼き
・魚のステーキソースがけ
お肉のおかず
・鶏肉のトマト煮
・豚肉の甘酢ソテー
野菜のおかず
・にんじんしりしり
・ブロッコリーのあえもの
・青菜とコーンのおひたし
おやつ
・コーンの蒸しまんじゅう
・スイートポテト
・キャロットゼリー
公立保育園の給食やおやつの献立、人気メニューのレシピをホームページで掲載している市区町村も多数あります。一度、チェックして参考にしてもいいですね。
保育園の給食は栄養バランスも楽しさも満載
保育園の給食やおやつは、子供の丈夫な体を作る配慮に加え、食への興味を引き出す工夫も満載です。
これらにお友達と食べる楽しさも手伝って、家では残しがちな食材も完食できるのかもしれません。
保育園の給食を通じていろいろな食材や味に親しんで、子供の食への興味がさらに深まるといいですね。