更年期はおりものが多い?臭いときの対処法は?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

おりものは人と比べることができないので、量が増えると「何かの病気かしら?」と気になってしまいますよね。そこで今回は、更年期になるとおりものの量はどう変わるのかや、臭いが気になるときの対処法についてご説明します。

そもそもおりものって何?

女性 トイレ
おりものは、性器の分泌物が合わさったものです。

具体的には、子宮内膜や子宮頸管、腟壁からの分泌物、腟の古い細胞などが混じり合ったもので、成熟した女性なら誰にでも見られます。

下着を汚してしまうこともあり、おりものを不快に思っている人も多いようですが、下記のような、女性の体を守る大切な働きをしています。

● 子宮や卵巣を病原体や雑菌から守る
● 性交時に、腟を潤滑にする
● 腟の粘膜を潤し、雑菌が入ったときに流しだす(自浄作用)
● 子宮頸管の分泌液を増やし、排卵前に精子が通りやすくして受精を助ける

更年期になるとおりものは増えるの?

女性 親子 3世代

おりものの量には、女性ホルモンの「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が大きく影響しています(※1)。

一般的におりものの量は、女性ホルモンの分泌量が増えて初潮を迎える、思春期頃から増えだします。そして、排卵周期が安定し、妊娠・出産が可能となる性成熟期(19〜45歳)に、エストロゲンの分泌量がピークを迎え、おりものは量ももっとも多くなります。

しかし、更年期に差し掛かると卵巣の機能が低下するため、エストロゲンの分泌量が減り、それにともなっておりものの量も減るのが一般的です(※1)。

そして、閉経から2〜3年後にはエストロゲンはほとんど分泌されなくなるため、おりものの量はさらに減ります。

更年期におりものが多いと病気?

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前述のとおり、更年期になると、おりものは減少するのが一般的です。

しかし、おりものの量には個人差が大きく、ストレスや生活習慣、体調不良などで、更年期なのに増えることもあります。

以下が、おりものが多いときの主な原因と考えられています。

ストレスや体調不良

ストレスや不規則な生活によって卵巣の機能がさらに低下すると、腟の自浄作用が弱まり、腟内に炎症を起こしてしまうことがあります。

そうすると、おりものが一時的に増えることがあります。この場合のおりものは、さらりとして少し黄色がかっていることが多いようです。

また、風邪などを引いて免疫力が低下すると、おりものの量が増えることもあるようです。

腟の中に雑菌が増えた

月経時にタンポンを長時間入れっぱなしにしたり、おりものシートを常に使用していたりすると、腟内で雑菌が増えてしまう恐れがあります。

おりものシートはおりものの量が多いときにだけ使うほか、タンポンやおりものシートを使うときはこまめに交換し、清潔な状態を保つようにしましょう。

トイレのビデを頻繁に使う

腟を清潔に保とうとしてビデを過剰に使うと、逆効果になることもあります。

腟内にいる善玉菌には、雑菌の繁殖を抑える働きがあります。ビデを使いすぎて善玉菌を洗い流してしまうと、腟内の抵抗力が弱まり、おりものの量が増えることがあります。

子宮腟部びらん

子宮の下部にある子宮頸部の表皮が欠け、下の血管が赤く見える状態を子宮腟部びらんといいます。

成人女性の多くに見られ、おりものの量が増える以外には無症状のことがほとんです。刺激に弱いため、性行為をした際に出血しやすくなることもあります。

特別な治療は必要ありませんが、びらんの程度が強く細菌感染や性感染症にかかりやすい場合はレーザーを使って治療することもあります。

更年期のおりものは臭い?対処法は?

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おりものは、年齢の変化によって臭いが変わることはないようです。

おりものは酸性なので酸っぱいような臭いがすることもありますが、周りの人に気づかれるほど臭うことは、一般的にありません。

おりものの量に加え、臭いも気になるときは下記の病気の可能性もあります(※2)。おりものは、女性の健康のバロメーターです。量や臭いがいつもと違うと思ったら、すみやかに婦人科を受診してください。

細菌性腟炎

過労やストレスなどで免疫力が低下し、腟の自浄作用が弱まって腟が細菌に感染することで発症します。

黄色、もしくは白っぽい色の、臭いが強いおりものが増えます。外陰部がかゆくなったり、かぶれたりすることもあります。

老人性腟炎症(萎縮性腟炎)

閉経後の女性に起こる腟炎です。女性ホルモンの減少によって腟が萎縮し、自浄作用が低下しているところに、性行為などの刺激で外陰部や腟に傷がつき、そこから細菌が感染して起こります。

膿を含んだ淡い黄色や赤っぽい色の、粘りっこいおりものが出ます。強い臭いがすることもあります。

淋病

多くは、性行為によって淋菌に感染することで発症します。

痛みが少なく、膿が出てもおりものと紛らわしいため、気づかないこともよくあります。おりものに悪臭がしたり、膿のような色になったりして気づくこともあります。

トリコモナス腟炎

トリコモナスという原虫が腟内に入り込み、炎症を起こします。性行為で感染することがほとんどですが、便座やお風呂などを介して感染することもあります。

更年期のおりものが臭いときの対策は?

洗濯物
おりものの臭いは人と比較することができないので、神経質になる人も多いようです。

しかし、正常なおりものは、周りの人に気づかれるほど臭うことはありません。

日常生活の対策では、神経質にならない程度に外陰部を清潔に保てば十分です。清潔に保てば、雑菌が繁殖しておりものの臭いが強くなるのを防げます。

ムレた状態が続くと雑菌が繁殖しやすくなるので、下着はゆったりとして通気性のよいものを選びましょう。また、おりものシートを使うときは、こまめに取り替えるようにしましょう。

おりものが多い・臭いなど、気になったら婦人科へ

女性 医者 説明 診察
おりものの量は個人差があるといっても、いつもより量が増えると驚いてしまいますよね。

しかし、1日下着を替えずにいても平気なら、おりものの量は正常な範囲のようです。

あまりにも量が増え、色がいつもと違ったり、悪臭がする場合は病気が隠れているかもしれません。その場合は、婦人科をすみやかに受診するようにしてくださいね。

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