おりものが多い原因は?増えたのは病気のせいなの?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

おりものに関する悩みは、においや状態など様々ありますが、なかでも、急におりものが多い状態になって不安を感じたという女性は多いようです。そこで今回は、おりものが多い原因は何か、病気を見分ける時期や色のポイントをご紹介します。

そもそも「おりもの」とは?

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そもそも「おりもの」とは、子宮内や子宮頸管、腟からの様々な分泌液と、腟壁の古い細胞が混ざり合った分泌物のことです。基本的に、健康的な女性の体からはおりものが出ていますが、女性の大切な体の機能として、主に次の2つの役割を担っています。

細菌から体を守る

粘り気のある酸性のおりものを分泌することで、外部から細菌が侵入するのを防ぎます(※1)。細菌の繁殖を防いで、腟内を清潔に保ってくれます。

受精のサポート

排卵日が近づくと、子宮頸管で分泌される頸管粘液の量が増え、おりものは弱アルカリ性に傾きます(※1,2)。精子は酸性に弱いため、アルカリ性のおりものが精子を守ってくれるのです。

また、量が増えることで精子が子宮内にスムーズに進めるように。おりもののおかげで、精子は卵子と出会えるというわけです。

おりものが多い原因は?多くても正常なの?

基礎体温表 グラフ 女性ホルモン 卵胞期

急におりものが多い状態になると、不安を感じる女性も多くいます。しかし、おりものは生理周期に合わせて量が増減するもの。時期によっては正常な範囲で、おりものが増えていることがほとんどです。

具体的には、おりものは、生理周期に合わせて増減する「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2つの女性ホルモンに左右されます。それらの分泌量次第でおりものに含まれる頸管粘液の量が変化し、おりものの状態も変化します(※1)。

卵胞期

生理直後はエストロゲンもプロゲステロンも分泌量は少なく、おりものの量が最も少ない時期。その後はエストロゲンの分泌量が増えるとともに、おりものの量も徐々に増えてきますが、サラサラして粘り気はありません。

排卵期(排卵前後)

エストロゲンの分泌量がピークになり、おりものの量が最も多い状態に。この時期のおりものは透明で水分が多く、卵白のように見えたり、指でつまむと伸びたりします。

この時期におりものが多いのであれば、基本的には正常な体の変化だと考えられます。ただし、いつもと違う色や臭いなど、その他の症状があるときには、後述の病気の可能性もあります。

黄体期

排卵日が過ぎるとプロゲステロンが増加します。おりものは色が白濁して、指で触るとベタベタとした粘着質に。量は少なくなります。

おりものが多い!病気を見分ける方法は?

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おりものが多いだけでは病気とは言い切れませんが、色や臭いから病気を見分けることができます。「恥ずかしくてなかなか婦人科に行けない」、という人も多いとは思いますが、次の症状があるときには、なるべく早く婦人科に相談に行きましょう。

量が多く、黄色いおりもの

おりものが多いだけでなく、黄色い場合は、「細菌性腟炎」の可能性があります(※3)。おりものに悪臭があることがありますが、臭いはあまり強くありません。

細菌性腟炎は、細菌が腟内で繁殖して炎症を起こしている状態で、疲れやストレスが溜まって免疫力が低下しているときに引き起こしやすくなります。

おりものの量が多く、黄色いという場合は、細菌性腟炎だけでなく「クラミジア」の感染の可能性もあるので、婦人科で原因を調べてもらうことが必要です。

悪臭のある黄色や黄緑色のおりもの

おりものが黄色から黄緑色で、泡っぽい状態のときは、「トリコモナス腟炎」が疑われます(※4)。通常のおりものにはほとんど臭いがありませんが、トリコモナス腟炎の場合、悪臭が強いのが特徴です(※3)。

トリコモナス腟炎は、トリコモナス原虫への感染が原因となる病気で、性交だけでなく、タオルや下着、浴槽から感染することもあります。

水っぽい、茶色や茶褐色のおりもの

出血が混ざり、茶色や茶褐色の水っぽいおりものが多く出るときは、子宮体癌の可能性もあります(※5)。おりものの変化の他に、排尿痛や性交痛、骨盤周辺の痛みがあるときは特に注意が必要です。

子宮体癌は初期段階であれば90%以上の生存率のある病気です。出血があるからといって必ずしも子宮体癌であるというわけではありませんが、おりものから異常を察知したら、婦人科を受診するようにしましょう。

おりものが多いのを予防するには?

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先ほど紹介した病気以外にも、腟内に常にいる細菌が繁殖して腟が炎症を起こすことで、おりものが多くなったり、悪臭がしたりすることがあります。細菌の繁殖を防ぐには、生活習慣を変えることでおりものの自浄作用を高めることが大切です。

下記のような方法で腟内に細菌が繁殖しづらい環境をつくることで、おりものの異常を予防しましょう。

● 免疫力を高めるために、疲労やストレスをためないようにする
● 睡眠時間を十分にとる
● 通気性のよい下着をつけて、細菌が繁殖しにくい環境をつくる
● おりものが多い時期は、蒸れやすいパンティストッキングを避ける
● パンティライナーやナプキンをこまめに替える
● 自浄作用のあるおりものを取り除きすぎないように、トイレのビデは生理のときだけ使う
● 必要なおりものが残るように、お風呂で腟を洗い過ぎない

生理前におりものが多いと妊娠超初期の可能性がある?

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前述の通り、ホルモンバランスによっておりものの状態は変化します。このホルモンバランスは妊娠することによっても変わるため、妊娠すると、おりものに違いが現れることがあります。

特に、本来であれば排卵後に減少するはずの女性ホルモンが、妊娠によって分泌され続けることで、排卵後もおりものの量が多い状態が保たれる、という症状が見られる人もいます。

ただし、おりものの量や状態は個人差が大きいものなので、妊娠していても変化が出ないこともあります。妊娠の可能性があるのであれば、生理予定日の1週間以降に妊娠検査薬を使うなどして、確かめるようにしてくださいね。

おりものが多いときは、臭いや色も確認を

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正常なおりものは、基本的に透明かやや白っぽい色で、無臭か少し酸っぱいにおいがします。たとえ量が多くても、色や臭いに異常がなければ、それほど心配する必要はありません。

ただし、排卵時期とずれたタイミングで、おりものの量が異常に増えたときは、少し注意して、色やにおいを確認するようにしましょう。黄色や黄緑色だったり、臭いが強かったりするときは、念のため婦人科を受診してください。

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