アジソン病は爪に色素沈着が出るの?ほかの症状は?

「アジソン病」という病名、耳慣れない人も多いのではないでしょうか?1年間で約600人程度しか発症しない珍しい病気ですが、爪に色素沈着が出るという特徴的な症状があります。アジソン病について、ほかにどんな症状が出るのか、原因や治療についてご説明します。

アジソン病とは?

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「アジソン病」とは、副腎と呼ばれる組織が破壊され、副腎皮質ホルモンの分泌が慢性的に減ってしまう病気です(※1)。

正式には「慢性副腎皮質機能低下症(まんせいふくじんひしつきのうていかしょう)」といい、イギリス人内科医トーマス・アジソンによって初めて報告されたことから、アジソン病とも呼ばれています。

厚生労働省の調査では1年間の発症患者数は660人と推定されているとても珍しい病気で、国によって難病に指定されている病気です(※2)。

副腎とは?どんな働きをするの?

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「副腎が破壊される」「副腎皮質ホルモンが減る」と言われても、なかなかピンときませんよね。

まずは、副腎とはどんな臓器なのか、副腎皮質ホルモンはどんな働きをしているのかについてご説明します(※3)。

副腎がある場所

副腎は体の左右に1つずつ、計2つあります。大きさは、ぎょうざ程度です。

副腎は体の奥深くに位置していて、同様に左右に1つずつある腎臓の上の、後腹膜腔(こうふくふくまく)と呼ばれるところにあり、肋骨、肝臓や腎臓、ひ臓、すい臓といった重要な臓器に囲まれています。

副腎と副腎皮質ホルモンの働きは?

副腎は外側にある「皮質」と内側の「髄質」からできていて、体の機能を一定に保つホルモンを作っています。

そのなかでも副腎皮質では、「コルチゾール(グルココルチコイド)」と「アルドステロン(ミネラルコルチコイド)」と呼ばれるホルモンが作られています。

コルチゾールは、ストレスから体を守ったり、糖の利用を調整したり、血圧を正常に保ったりします。

アルドステロンは、体内の塩分・カリウム・水分のバランスを保つ働きをしています。

とりわけコルチゾールは生きていくためには欠かせないホルモンで、病気などによって十分な量が分泌されなくなったら、薬剤で補わなくてはなりません。

アジソン病の原因とは?

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アジソン病の原因は、感染症によるもの、原因不明の特発性の2つに分けられます。

感染症によるアジソン病

アジソン病を引き起こす代表は、結核性の感染症です。最近では、真菌性や後天性免疫不全症候群(ADIS)に合併して引き起こされるケースも増えています。

真菌とはカビや酵母、キノコの仲間です。真菌と人間の細胞はよく似ているため、真菌を殺す薬は、人間の細胞にも害を与えてしまいます。そのため、効き目のある抗真菌薬はあまり存在しません(※5)。

原因が不明のアジソン病

多くは、免疫の不調によって副腎皮質に炎症が起きることで、アジソン病が引き起こされます。まれに、免疫の不調によってホルモンの分泌異常を引き起こされ、発症することもあります(※3)。

ホルモンの分泌異常や病気によって引き起こされたアジソン病には、遺伝子が関係している可能性もあります。

アジソン病にかかりやすい人はいる?

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アジソン病は主に成人に見られますが、先天性のケースもあり、子供のうちから症状が見られることもあります(※3)。

アジソン病は、原因不明のケースが42.2%、結核性が36.7%、そのほかが19.3%という報告があります。年々、原因不明の比率が増えています。

結核性のものは40〜60代に多く、男性に多いことがわかっています。

特発性のものは、発症する年齢も広く、性別の差はありません。

アジソン病はどんな症状が出る?色素沈着?

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アジソン病は、副腎皮質自体の変異による「原発性」と、副腎皮質刺激ホルモンが上手に作られないために副腎皮質ホルモンが減る「続発性」に分けられます(※2)。

特徴的な症状は、以下のとおりです。

● 色素沈着が起こる
● 体をあまり使っていないのに疲れる
● 全身の倦怠感
● 力が入りにくくなる
● 筋力の低下
● 体重が減る
● 低血圧
● 消化器症状(食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢)
● 精神症状(無気力になる、不安になる)

更年期の女性に発症しやすい更年期障害と似ている症状もあり、間違えられやすいという面があります。アジソン病の特徴的な症状である色素沈着があるかどうかが、見分けるポイントのひとつになります。

アジソン病に見られる色素沈着とは?

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先述のとおり、アジソン病の特徴的な症状のひとつに、色素沈着があります(※2)。

色素沈着は皮膚、ひじや膝といった関節部分、口の中、爪の下の皮膚によく起こります。皮膚の色が黒ずんだり、爪の下は全体的に黒ずんだり、黒い線が入ったりします。

アジソン病になると副腎皮質ホルモンが欠乏するため、脳は、副腎皮質ホルモンの分泌を増やそうとして「副腎皮質刺激ホルモン」を過剰に分泌するようになります(※4)。

副腎皮質刺激ホルモンは、肌や髪の色を作る「メラニン」の産出も担っているので、過剰分泌されることによって色素沈着が起こってしまうのです。

アジソン病の治療とは?色素沈着は治る?

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アジソン病の治療は、不足しているホルモンを薬剤で補充することが一般的です(※2)。

一度壊れてしまった副腎機能が回復することありませんが、ホルモンを適切に補充すれば症状はやがて落ちつき、普段どおりの生活を送ることができます。

色素沈着は薬剤を補充することで薄くりますが、完全には消えないこともあります。

アジソン病の急性症状には要注意

アジソン病の急性症状(高熱や脱水症状、呼吸困難、意識障害など)が見られたら命に関わることもあるため、一刻も早く内分泌内科を受診してください。

すみやかにコルチゾールとアルドステロンを補充し、同時に水分、糖分、塩分も補給します。

発熱などで体にストレスがかかった場合は、ホルモンの内服量を増やすなど、症状にあった治療を続けていく必要があります。

色素沈着などの症状が見られたら受診を

難病に指定されているアジソン病は発症人数も少ないため、なかなか耳慣れないかもしれません。

しかし、全身の倦怠感や不調などに加え、色素沈着という特徴的な症状も見られるため、早期に気づける可能性もあります。

アジソン病は、適切にホルモンを服用し続ければ症状は治り、普段通りの生活が送れる病気です。体調が優れず、色素沈着が見られたら、すみやかに病院を受診して適切な治療を受けてくださいね。

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