閉経を「生理が来なくなり、妊娠する可能性がなくなること」と思っている人も多いのではないでしょうか?そこで今回は、閉経とはどういう状態のことなのか、閉経すると妊娠する可能性はなくなるのか、避妊は必要ないのかどうかについてご説明します。
閉経とはどういう状態をいうの?
閉経は、日本産科婦人科学会によって「12ヶ月以上月経がない状態を確認できるか、黄体ホルモンを投与しても消退出血(排卵のある月経周期で見られる出血パターン)が見られない場合」と定義されています(※1)。
日本人の平均閉経年齢は50.5歳で、40歳未満で閉経が起きることを早発閉経、55歳以上に閉経が起きることを遅発閉経といいます(※2)。
生理がないからといって閉経とは限らない
ここで注意が必要なのが、生理が1年以上ないからといって、閉経ではないケースもあるということです。
ホルモンバランスの変化によって生理不順になり、生理が長期に渡って遅れているだけという可能性もあります。
また、更年期ではなく別の原因で長期に渡って生理が止まっていた患者さんが、治療を受けて生理が再開することもあります。
閉経後に妊娠する可能性はあるの?
それでは、閉経後に妊娠する可能性はあるのでしょうか?
医師によって正式に閉経と認定された場合、性行為によって妊娠することはほとんどないようです。しかし、なんらかの異常が見られないかぎり、検査を行ってまで閉経したかどうかを調べることはありません(※1)。
そのため、長期の生理不順を自分で「閉経だろう」と判断し、避妊をせずに性行為をして妊娠する、というケースがじつは珍しくありません。
また、生理がないために閉経したと思って病院を受診した人が、実は妊娠していたというケースもあります。
腹痛で受診した患者さんにお腹のCT検査をしたところ胎児が写っていた、胃腸と吐き気の症状で受診した患者さんに妊娠検査をしたところ陽性だったというケースもあるそうです。
閉経後の性行為は避妊が必要?
高齢での予想外の妊娠や出産には、大きなリスクが伴います。
そのためか、2009年度の調査では、45〜49歳の人口中絶件数は1,274件、50歳以上は27件あったという報告があります。(※1)。
妊娠を望まないのであれば、閉経までは確実に避妊をすることが必要です。最終月経から、短くても12ヶ月は避妊をしたほうがよいことになります。(※1)。
また、閉経したからといって、避妊具なしの性行為がおすすめできるわけではありません。避妊具には性感染症の感染を防ぐ効果もあるので、性行為の際には避妊具を使用したほうがよいでしょう。
実際、厚生労働省によると、55〜59歳の性感染症の報告数は下記のとおり増加傾向にあります(※3)。
性感染症 | 平成12年 | 平成29年 |
性器クラミジア感染症 | 280人 | 309人 |
性器ヘルペスウイルス感染症 | 359人 | 479人 |
尖圭コンジローマ | 44人 | 164人 |
梅毒 | 45人 | 242人 |
閉経後も性行為には避妊具を使おう
いくつになっても、夫婦にスキンシップがあるのはとても素敵なことですね。
しかし、高齢で望まない妊娠をすると、母体に負担がかかるのはもちろん、家族の生活にも影響を及ぼす可能性があります。
更年期で生理がないからといって閉経したと決めつけず、性行為の際には避妊具をつけるようにしましょう。