40代は、女性の体が大きく変わるターニングポイントです。月経や妊娠の役割を終えようとしている卵巣は次第に機能を低下させていき、それによって女性の体にも様々な不調が現れるようになります。今回は、女性の更年期に現れる更年期障害などの不調と、症状を改善させる食べ物についてご説明します。
更年期障害や不調の原因とは?
40代半ばにさしかかると、女性は卵巣の機能が低下し始めます。そうすると、女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌量が減るなど、ホルモンバランスが大きく変化することで、更年期障害が引き起こされます(※1)。
また更年期には、更年期障害以外にも様々な不調が見られますが、その不調の引き金となるのも、エストロゲンの減少です(※2)。
たとえば、エストロゲンには自律神経を安定させたり、悪玉コレステロールの増加を抑えたり、カルシウムの吸収を向上させたりする働きがあるため、不足することで、骨粗しょう症や、脂質異常症をはじめとする生活習慣病のリスクが高まります(※3)。
更年期障害は食事で改善できる?
更年期の様々な不調は、食事を見直すことで症状を緩和することが期待できます。特に心がけたいのは、「エストロゲンの働きを代行できる食材を摂ること」と「エストロゲンと似た働きをする食材を摂ること」の2つです(※3)。
ここからは、この2つについてそれぞれ詳しく説明していきます。
更年期の不調に効く!エストロゲンの働きを代行できる食材
前述のとおり、エストロゲンが減少すると骨粗しょう症になりやすくなります。
また、悪玉コレステロールが増加しやすくなることで、脂質異常症や動脈硬化、高血圧にもなりやすくなります(※3)。
エストロゲンの働きを代行できる下記のような食材を摂取することで、このような不調を予防していきましょう。
カルシウムやビタミンDを含む食材(※2)
骨を強くするのに必要なカルシウムは、ビタミンDと一緒に摂ることで吸収率が高くなります。
● カルシウム:牛乳、チーズ、いわし、モロヘイヤ、小松菜、ひじきなど
● ビタミンD:鮭、さんま、ちりめんじゃこ、きくらげなど
不飽和脂肪酸(n-3系列)を含む食材(※2)
不飽和脂肪酸は、脂肪の合成や分解、血圧の調整などをします。
●不飽和脂肪酸:植物油(えごま油、アマ二油など)、くるみ、さばなど
更年期の不調に効く!エストロゲンに似た働きをする大豆イソフラボン
大豆イソフラボンとは大豆の胚芽部分に含まれるポリフェノールの一種で、エストロゲンと似た働きをすることから「植物エストロゲン」とも呼ばれています(※3)。
エストロゲンの不足によって引き起こされる更年期障害のほてりやのぼせ、肩こりなどの不調に効果的です(※3)。
大豆イソフラボンを含む食材
大豆イソフラボンは、豆腐や納豆、黒豆、きな粉、味噌、油揚げなどに多く含まれています。豆腐は、絹ごし豆腐より木綿豆腐のほうが、大豆イソフラボンを多く含んでいます。
和食の献立は、大豆イソフラボンを含む食材を摂取するのにうってつけです。牛乳を豆乳に置き換えるなど、気軽にできることから初めてみてもいいですね。
大豆イソフラボンは適量を摂ろう
高容量の大豆イソフラボンを長期間に渡って摂取し続けると、子宮内膜増殖症にかかる割合が増えることがわかっています。
そのため、「食品からの摂取に上乗せして、特定保健用食品などで摂取する安全なイソフラボンの摂取量を、1日あたり30mgまで(アグリコン型換算)」とする発表が、内閣府から出されています(※4)。
更年期はバランスのいい食事で快適に過ごそう
ホルモンバランスの変化によって不調が引き起こされると聞くと、なんだか憂うつな気分になってしまいますよね。
しかし、欠乏したホルモンの働きを補う食材や、ホルモンと同じような働きをする食材を摂取することで、症状が改善できることもわかっています。
今回紹介した摂りたい食材にくわえて、更年期に発症しやすくなる生活習慣病の予防のために、肉の脂身やバターなどのコレステロールの多い食品や塩分の摂取を控え、野菜やきのこ、海藻などの食物繊維を豊富に含む食品を摂るように心がけることも大切ですよ。
バランスのいい食事を意識して、更年期に現れる不調を改善しましょう。
また、更年期に見られる不調が食事で改善できないときは、我慢をせず、婦人科や更年期外来を受診して適切な治療を受けてくださいね。