秋に流行する子供の感染症とは?高熱が出たら感染のサイン?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

秋から冬にかけての季節は、学校や幼稚園、保育園で感染症が流行し始める時期です。夏が過ぎて乾燥し、気温が下がり始める秋は、感染症の元となるウイルスが活発に活動します。冬はさらに感染症が猛威を振るうので、その前段階で予防することが肝心ですよ。今回は秋に流行する感染症の種類や症状、予防策などについてご紹介します。

子供は秋に感染症にかかりやすいの?

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秋に感染症が増えるのにはいくつか理由があります。夏が過ぎて秋になると、気温がグッと下がり始め、湿度が低下します。すると、低温・低湿度を好むウイルスの活動が活発になり、感染症にかかる人が増えるのです。

また、スポーツの秋といわれるように野外で遊ぶ機会も多くなり、人と接することで感染が広がりやすくなります。気温が寒くなって体の免疫力が低下していることも、感染症にかかりやすくなる原因のひとつといえます。

秋に流行する子供の感染症は?

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秋に流行する感染症は多く、子供の体調に変化が現れたら、症状をしっかり観察してください。感染症にかかっている疑いがある場合は、できるだけ早く病院を受診しましょう。

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが体内に侵入することで感染します。

原因となるインフルエンザウイルスの種類は、「A型」「B型」などさまざまで、さらにそのなかにもいくつかの種類があります。一度インフルエンザにかかったとしても、ウイルスが異なれば再び感染することがあります。

感染すると、38度以上の高熱に襲われ、頭痛や関節痛、筋肉痛などの症状が現れます。高熱が続く場合は、無理にご飯を食べさせる必要はないのですが、水分補給だけはこまめにしてあげてください。

インフルエンザは、発症してから48時間以内に抗ウイルス薬を服用すれば、症状が和らぎ、発熱期間が短縮される可能性があります。

発症してから48時間が経つと、抗ウイルス薬の効果が低くなるため、上記のような症状が見られたら、発熱から12時間前後を目処に、医師に診てもらうようにしましょう。

ノロウイルス

ノロウイルスは感染力が強く、子供たちが集団感染することも。感染者の便や嘔吐物、牡蠣などの魚介類を通して感染が広がっていきます。

ノロウイルスに感染すると胃腸炎を起こし、嘔吐や下痢、腹痛などの症状が現れます。嘔吐や下痢により水分が体から奪われてしまうので、脱水症状に気をつけなければいけません。

ノロウイルスには有効な抗ウイルス薬がないため、こまめに水分補給をとるなどして治療にあたります。子供が嘔吐や下痢で苦しんでいる姿を見て、症状を緩和させてあげたいと思うかもしれませんが、自己判断で吐き気止めや下痢止めの薬を与えるのは控えた方がいいでしょう。

なぜなら、下痢や嘔吐でノロウイルスを体外に出そうとしており、薬で止めてしまうと治りが遅れる可能性があるからです。症状がひどい場合は、病院で薬を処方してもらえるので、医師の指示のもと薬を与えるようにしてください。

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は、RSウイルスが原因で起こる呼吸器の感染症です。ほぼ100%の子供が2歳までに一度はRSウイルスに感染するといわれており、乳児期早期の赤ちゃんが初感染すると、細気管支炎や肺炎に発展する可能性があります(※2)。

感染すると、発熱のほか、鼻水や咳などの風邪の症状が現れます。赤ちゃんの月齢が低いと、多呼吸・喘鳴・呼吸困難など、呼吸器系の症状が見られることもあります。

RSウイルス感染症には特効薬はなく、睡眠や栄養をしっかりとりながら安静にして、対症療法(症状を軽くする治療)を行います。

大人はRSウイルス感染症にかかっても症状が軽いので、風邪と勘違いして二次感染予防をせず、子供に感染させてしまうことがあります。特に、生まれた直後の赤ちゃんがいる家庭は少しの風邪でもRSウイルスの可能性を考えて、手洗いうがいを徹底したり、家の中でもマスクを着用したりして、二次感染予防に努めましょう。

気管支炎

気管支炎とは、ウイルスや細菌の感染による、気管支(気管から枝分かれした部分)の炎症のことです。

主な症状は咳と痰です。この他にも、発熱や倦怠感といった症状が出てくることもあります。

気管支炎には特別な治療法がなく、水分補給や安静などの対症療法で症状が和らぐのを見守るしかありません。

子供が気管支炎にかかり、咳がひどいときは、上体を起こしてあげると楽になります。赤ちゃんが咳き込むときは、縦抱きをしてあげましょう。

秋に高熱が出たら、感染症にかかっているサイン?

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秋にはさまざまな感染症が流行りますが、現れる症状もさまざまです。秋の時期に高熱が出ると、「感染症にかかったのかな?」と思うかもしれませんが、高熱が出たら必ずしも感染症にかかっているというわけではありません。

確かにインフルエンザにかかると、高熱が出るのですが、溶連菌やアデノウイルスによる感染症、頻度は低いですが、川崎病などが原因で高熱が出ている可能性も考えられます。

子供に高熱が出たときに、体に現れた他の症状もしっかり観察しておくと、受診時の原因究明がよりスムーズに進みますよ。

秋に流行する感染症の予防法は?

手洗い

秋に流行する感染症のほとんどは、感染者の咳やくしゃみを吸ってしまったり、ウイルスがついたドアノブや手すりを触ったりして感染が広がります。そのため、外出時にマスクを着用し、帰宅時に手洗いとうがいを徹底させることで、ある程度の感染症予防ができます。

また、ママやパパが知らない間に感染して、子供にうつしてしまうことがあります。体調の変化を感じたら家の中でもマスクをつけたり、食事の際に同じ食器を使わないようにしたりすることが大切です。

秋の感染症を防ぐためには生活習慣が大切

秋になると、夏から一気に気温も下がり、体の免疫力が下がりやすくなります。普段からたんぱく質やビタミンといった免疫力を高める栄養を摂取して、休息と睡眠をしっかりとっておくことが免疫力維持につながります。

冬になると、さらに感染症が猛威を振るい始めます。秋の段階で、感染症に負けない体をしっかり作っておきましょう。

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