子供の奇声がうるさい!発達障害が原因なの?どう対処すべき?

監修専門家 臨床心理士 佐藤 文昭
佐藤 文昭 おやこ心理相談室 室長。カリフォルニア臨床心理大学院臨床心理学研究科 臨床心理学専攻修士課程修了。米国臨床心理学修士(M.A in Clinical Psychology)。精神科病院・心療内科クリニ... 監修記事一覧へ

子供が突然奇声をあげて困ってしまうことはありませんか?自宅ならまだしも、外出先で奇声をあげられるとまわりに迷惑がかかるし、その声を聞いているママやパパも不安になってしまったり、発達障害ではないかと心配したり…。そこで今回は、子供が奇声をあげるのは発達障害が原因の可能性もあるのか、うるさいときはどう対処すべきかなどについてご紹介します。

子供が奇声をあげる原因は?

子供 男の子 叫ぶ

子供が「キー!「ワー!」」と、突然奇声をあげるとびっくりしてしまいますよね。赤ちゃんの時期や、言葉で自分の意思をうまく伝えられない1~2歳のときに奇声を上げるのは珍しいことではありません。

また3歳以降でも、遊んで興奮しているときに奇声を出すことも多いものです。しかし子供が奇声を上げるのは、他にも以下のような様々な原因が考えられます。

生活リズムの乱れ

生活リズムの乱れによって、子供が奇声をあげることがあります。例えば、災害時の慣れない避難生活などで生活リズムが乱れてしまうと、夜寝ずに奇声をあげるようになる子供がいます(※1)。

不安の現れ

子供は大きな不安に晒されると、普段とは違う行動や身体の反応を示すことがあり、その一つとして奇声をあげることがあります(※1)。

パニックになっている

普段と違う状況やアクシデント、苦手なことやもの、過去に経験した怖いことなどに遭遇してパニックに陥ると、大声や奇声をあげたりしてしまう子供もいます(※2)。

子供の奇声は発達障害の可能性もある?

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子供の奇声は、発達障害の一つであるトゥレット症候群などでよくみられる「チック障害」の可能性もあります(※2)。

チック障害とは?

チック障害とは、脳機能の異常によって突発的に起きたり、繰り返し起きたりする発声や運動の病気です。症状は、奇声をあげたり汚い言葉を発したりする「音声チック」と、まばたきや首振り、跳ねたりする「運動チック」の2つがあります。

チック障害による奇声の場合、10〜15歳くらいでもっとも症状が酷くなりますが、80〜90%の子供は成人するまでに治ったり、軽くなったりします。ただし、中には成人するまでに治らなかったり、成人後に再発したりする場合もあります(※3)。

発達障害の場合は奇声以外の症状もあるの?

発達障害は複数の障害を併発することが多いため、子供の奇声がチック障害によるものだった場合、他にも発達障害を持っているかもしれません。具体的には、次のような症状を持っている可能性があります(※2)。

● こだわりが強く、突発的な出来事や予定の変更への対応が苦手
● 時間の感覚がわかりにくかったり、不快と感じる音を聞き流せない
● 相手の話が理解できなかったり、思っていることをうまく伝えられない
● 読み書きや計算が苦手
● 興味のあるものをすぐに触ったり、手に取ったりせずにはいられない
● 目的もなく歩き回ったり、そわそわして休みなく動く
● 自分の意思とは関係なく体が動く

ただし、発達障害の現れ方は人によって異なるため、必ずしも上記のような症状がみられるわけではありません。

子供の奇声がうるさいときの対処法は?

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子供が奇声をあげると困ってしまいますよね。そんなときにどうしたらいいのか、その一例を紹介します。

生活リズムを正す

生活リズムの乱れによって奇声を発している場合は、以下のような方法を使って、子供の生活リズムが規則的になるように導いてあげる必要があります(※1)。

● 日中に子供が活動的になるような日課を作って一緒に取り組む
● 薄暗い場所や静かで狭い場所など、その子が落ち着けそうな場所に移動させる
● 肌触りのいい毛布やぬいぐるみなど、その子にとっての安心材料を持たせてあげる
● 一緒に散歩をする
● 好きな活動をさせてあげる

安心感を促す

子供が奇声をあげたら、ついやめさせようとしてしまいますよね。しかし、子供は奇声をあげることで、いろいろな気持ちを発散しています。そのため、やめさせようとすると逆効果になることもあります。

むしろ、子供の気持ちをなだめるような言葉がけをしながら、安全な別の場所に移動させ、落ち着くまで見守ってあげましょう。あるいは、気持ちを出し切るまで見守ってあげてもよいでしょう。自然と落ち着きを取り戻していくかもしれません。

そして、落ち着いたら、「よく落ち着けたね」とほめてあげてください。

また、日中、よく体を動かして過ごさせ、子供の安心感を促すような言葉がけやスキンシップを行うのもよいでしょう(※1)。

専門機関で治療を受ける

子供の奇声がチック障害によるものだった場合、医療機関で専門的な治療を受けることが望まれます。

チック障害の治療を行うために最も大切なことは、家族や本人、学校などで関わる人たちが、チック障害をしっかりと理解することです。理解した上で、認知行動療法やチック障害を持ちつつ前向きに生活できるような支援を行う必要があります。

また、子供が重症のチック症だった場合は、抗精神病薬などの薬物療法を行うこともあります(※3)。

子供が奇声をあげる理由を考えてみましょう

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子供が奇声をあげる理由はさまざまで、生活リズムの乱れなどの日常生活がきっかけとなっていることもあれば、チック障害のように発達障害の症状の一つの可能性もあります。

子供が奇声をあげるようになったら、まずは生活リズムを正したり、安心感を与えてあげるなど、ママやパパができる対処法を試してみてください。それでも改善しないのであれば、医療機関に相談してみましょう。

子供が奇声をあげていると不安になってしまうと思いますが、なぜ奇声をあげるのか理解してあげることが重要です。対処法を一つずつ試してみながら、子供の心に寄り添ってあげたいですね。

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