O157の原因や感染経路は?食材によって対策は変わる?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

人に感染すると重い下痢や腹痛を引き起こすO157。過去、数十年にわたり、たびたびO157を原因とした集団感染事件が起きています。最近の事件ではポテトサラダ、過去の事件ではカイワレ、牛レバー、きゅうりなど、いろいろな食品・食材がO157感染の原因として注目を集めました。今回はO157感染の原因や感染経路、そして食材ごとの感染対策をご紹介します。

O157とは?

ウイルス 細菌 感染

O157は、出血性大腸菌と呼ばれる菌の一種で、人間の体内に入ると腸管出血性大腸菌感染症を引き起こします。

O157に感染し、腸管出血性大腸菌感染症を発症すると、下痢の後、急激な腹痛、血便といったような症状が現れ、まれに嘔吐や38度台の高熱が出ることがあります(※1)。特に子供や老人では、その症状が重症化しやすい傾向があります(※2)。

O157に感染し腸管出血性大腸菌感染症を発症した患者の5%が、合併症として溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症になります(※2)。その場合、死に至ったり、後遺症が残ってしまう可能性もあります。

O157の原因・感染経路は?

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O157に感染する原因は、生きた状態の菌が人間の口から体内に入ることです。そのため、感染経路は基本的に経口感染となり、O157の菌が付着した食品が口に入ったり、患者の排泄物が手に触れ、菌が口に入ったりすることで感染します。

O157に感染することで下痢や血便などの症状が出る原因は、O157の菌が出す「ベロ毒素」という毒素です。ベロ毒素は細胞のタンパク質の合成を止め、細胞を死に至らしめます。

O157は症状がなくなったあとも、1~2週間感染者の腸の中に残り、便と一緒に排出されます(※3)。そのため、下痢や血便などの症状は消えたとしても、消毒などの予防は続けて行う必要があります。

O157の原因・感染経路を断つには?

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O157は、食中毒予防の3原則を守ることで、感染経路を断つことができます(※4)。

食中毒予防の3原則

● 菌をやっつける
● 菌をつけない
● 菌を増やさない

この3原則のそれぞれの方法について、次から詳しくご説明していきます。

O157の原因・感染経路を断つ3原則:1.菌をやっつける

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O157の菌を死滅させるもっとも有効な方法は、加熱することです。

O157の特徴として、酸性や低温には強いものの、熱に弱いということがあります。そのため、O157の菌がついてしまった食品でも、食品の中心部を75度で1分以上加熱すれば、菌は死滅すると言われています(※5)。

ただし、加熱の際は温度のムラを作らないことが重要です。食品を加熱するときに、殺菌に十分な温度まで上がらない部分があると、かえってO157の菌が増えやすい環境を作ってしまう可能性があるからです。

また電子レンジで加熱する際は、加熱ムラができやすいため、専用の容器と蓋を用いてときどき混ぜ、食品全体が75度以上になった状態を1分以上保つよう加熱してください(※5)。

O157の原因・感染経路を断つ3原則:2.菌をつけない

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O157の菌を死滅させることも重要ですが、それ以前に菌を食材につけない工夫も必要です。

食材の調理を始める前や、子供のオムツを交換した後、調理の後に残った食品を扱う前など、手をこまめに洗い、アルコール消毒液などで常に清潔に保ちましょう。

また鮮魚や精肉などの生鮮食品は、食材から出るドリップが他の食べ物に付かないように、購入したら個別にビニール袋に入れてから持ち帰るようにしましょう。

O157の菌は、調理器具を介して感染することもあります。

・ふきんは煮沸消毒する
・まな板は肉用・魚用・野菜用で分け、使用後は洗剤でよく洗ってから熱湯をかける
・包丁は台所用殺菌剤で消毒する
などの対策を心がけてください。

O157の原因・感染経路を断つ3原則:3.菌を増やさない

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O157も含め、食中毒の原因となる細菌の多くは、10度以下では増殖するスピードが遅くなり、-15度以下では増殖が停止します(※6)。

菌を増やさないためには、肉や魚などの生鮮食品やお惣菜を、購入後すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れるのが効果的です。温度調節ができる機種であれば、冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は-15度以下に保つようにしましょう。

しかし、O157の菌は寒さに強いため、冷凍庫の中でも死滅せず、冷蔵庫の環境下ではゆっくりと増殖するので、この方法で殺菌まではできません。購入した食品はできるだけ早めに消費するか、上記のような加熱を行うことをおすすめします。

また、水分があるところで菌が増えるので、食器や調理器具を洗った際は濡れたまま使わず、完全に乾燥させてから使用しましょう。高温で加熱、乾燥させるような食器乾燥機を使うことも、O157の菌を増やさないために有効な手段です(※6)。

O157の原因・感染経路を断つ方法は食材・食品によって異なる?

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O157の原因・感染経路を断つ方法として加熱殺菌をご紹介しましたが、食材・食品によってその方法は少しずつ変わります。

肉・魚

肉や魚は、中心部が1分間以上75度を超える温度になるように加熱しましょう。レバーや食肉を生で食べることは控え、乳幼児やお年寄りには、牛・鶏のタタキなど加熱が不十分な食肉を食べさせないようにしましょう(※5)。

野菜

ブロッコリーやカリフラワーなどの複雑な形状のものは、100度の熱湯で5秒程度湯がきましょう(※5)。

煮物

煮物は、煮汁にすべての具材が浸かっている状態で、煮汁が沸騰してから最低5分ほど煮て全体に火を通しましょう(※5)。

炒め物

炒め物は、肉や魚を先に入れて色が変わるまで炒めてから、他の食材を入れましょう。

揚げ物

揚げ物は、食材から出てくる泡が小さくなり、食材が油から浮かんでくれば大丈夫と言われています。

カレー・シチューなど、粘り気の強い汁物

カレーやシチューなどの汁物は、粘り気があるため、ただ加熱するだけでは均等に温まりにくい傾向があります。加熱しながらときどき混ぜて、火をまんべんなく通すことを心がけましょう。

O157の原因・感染経路を断つ正しい対策を

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O157は食中毒の菌の中でも感染力が強く、毒性も強いため、一度感染が拡大すると大きな事件に発展しやすい面があります。しかし、O157の感染経路や感染する原因は限られており、しっかりと対策を行えば、予防することは難しくありません。

大切なのは、敵を知ること。食材や食品の正しい扱い方を知り、O157に感染しないように対策を行いましょう。

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