「同じ月齢の赤ちゃんは歯が生え始めているのに、うちの子は気配もない…」あるいは、「生まれたときから歯が生え始めているけど大丈夫なの?」など、赤ちゃんの歯を気にするママやパパも多くいます。初めての子どもなら、なおさら歯の生え始める時期がわからず心配になるのではないでしょうか。
そこで今回は、赤ちゃんの歯が生え始める時期、乳歯の生え方や生える順番についてご説明します。
赤ちゃんの歯は大人と違う?乳歯の役割とは?
赤ちゃんの歯は「乳歯」と呼ばれています。食べものを摂取するために歯は必要ですが、赤ちゃんの顎や顔の骨格は小さく、大人と同じ歯では対応できません。そのため、「永久歯」に生え替わるまでの一時的なものとして、乳歯が生えてきます。
たとえ短期間であっても、虫歯になっても良いというわけではありません。乳歯の材質である象牙質やエナメル質は永久歯に比べて弱いため、虫歯になりやすいのが特徴です。
乳歯の段階で虫歯になると、口の中に虫歯菌が増え、永久歯も虫歯になりやすくなります。また、虫歯が気になってあまり噛まずにいたり、偏った噛み方をしたりすると、顎の発達に影響を与えることもあります。
乳歯は食べものを噛む以外にも、赤ちゃんの健康や顔周りの成長を促す大切な役割を果たします。乳歯が生え始めたときから、日々のケアをしっかり行っていきましょう。
赤ちゃんの歯が生える時期は?
一般的に赤ちゃんの乳歯は、生後6~8ヶ月頃から生え始め、2~3歳で乳歯が20本生え揃います(※1)。しかし、個人差があり、1歳頃まで生えない子もいれば、まれに生まれてすぐに生えていることもあります。
赤ちゃんの乳歯自体は、ママのお腹にいるときから作られ始めています。妊娠7~10週頃には乳歯の芽である歯胚(シハイ)が形成され始め、妊娠3ヶ月になると、永久歯の歯胚の形成も始まるといわれています(※1)。
赤ちゃんの歯槽骨のなかで準備が整うと、徐々に乳歯として生えてきます。
赤ちゃんの歯が生える順番や生え方は?
赤ちゃんの乳歯は、基本的には前歯から生え始めますが、なかには横から生えるケースも。ここでは、一般的な生え方の順番を平均的な時期とともにご紹介します(※2)。
赤ちゃんの歯が生え始める順番
● 生後6~8ヶ月頃:下の前歯2本
● 生後9〜10ヶ月頃:上の前歯2本/計4本
● 生後10〜11ヶ月頃:上の前歯2本/計6本
● 1歳頃:下の前歯2本/計8本
● 1歳〜1歳3ヶ月頃:前歯+奥歯(第1乳臼歯)4本/計14本
● 1歳6ヶ月〜2歳頃:犬歯2本/計16本
● 2歳〜3歳:奥歯(第2乳臼歯)4本/計20本
乳歯が生える前は、赤ちゃんのよだれの量が増えたり、歯茎がむずがゆくなるのであらゆるものを噛もうとしたりします。歯が生える違和感を不快に感じて、機嫌が悪くなることもあります。
生後6~8ヶ月頃に、急にぐずり出したり、ママの指やおもちゃをしきりに噛もうとしたりするのは、乳歯が生え始めるサインと捉えましょう。歯固めなどを活用して、サポートしてあげるのもおすすめです。
赤ちゃんの歯が生え始めたときの注意点は?
前述の通り、赤ちゃんは歯が生え始めるときに、様々なサインを出します。もうすぐ乳歯が生えてきそうだなと思ったら、こまめに口の中をチェックしてくださいね。
乳歯が生えてきたら、歯磨きを始めましょう。下の前歯2本が生える最初の頃は、ガーゼや綿棒を使って歯を拭きます。ガーゼや綿棒での歯磨きに慣れて上の歯が生えてきたら、赤ちゃん用の歯ブラシを使って磨きましょう。
赤ちゃんが自分で歯ブラシを持って口の中に入れてしまうと危険なので、歯ブラシは赤ちゃんの手が届かない場所に保管しておいてくださいね。
上下4本の歯が生え揃ってきたら、離乳食はそれまでより少し固めにしてあげると食べた実感がわき、噛む練習にもなりますよ。
生後すぐの赤ちゃんに歯が生えることもあるの?
歯が生え始める時期には個人差があり、なかには生まれたときからすでに歯が生えていることもあります。放っておいても成長していくなかで解決することもありますが、場合によっては対処が必要な状態もあります。
以下のような傾向がみられる場合は、早めに歯科医に相談しましょう。
先天性歯
出生時や生後1ヶ月以内の新生児期に歯が生える状態を先天歯(先天性歯)といいます(※3)。先天歯は通常よりも早く歯が生え始めるため、歯の形成が未熟で歯根もほとんどできておらず、グラグラしているのが特徴です。
新生児期に歯が生えていると、授乳時にママの乳首を痛めることがあるので注意が必要です。また、舌の裏側が歯でこすれて潰瘍ができる「リガ・フェーデ病」になるリスクもあります。抜歯や歯の尖った部分を丸く削るといった処置が必要なケースもあるため、小児歯科で相談するようにしましょう。
上皮真珠
生まれて間もない赤ちゃんの歯茎に直径1~数mmの白い小さな塊が見られることがあります。その数は様々で、見た目が真珠に似ていることから上皮真珠と呼ばれます(※4)。
これは歯が作られたときの組織が残っていて歯茎の表面に出てきたものです。中身はクリーム状で自然に消えていきます。上皮真珠があっても乳歯に影響はありませんが、先天歯との見分けがつきにくいので、迷ったときは相談してみましょう。
1歳を過ぎても赤ちゃんの歯が生えないこともあるの?
赤ちゃんが1歳を過ぎても、乳歯が生えてこない場合もあります。しかし、歯茎がほかの部分に比べて膨らんでいる状態であれば、下に歯がある証拠なので心配いりません(※3)。
しかし、1歳を過ぎても歯が生える気配が全くなければ、生まれつき歯の芽ができない「先天性欠如歯」や、2本分の歯がくっついたまま生えてくる「癒合歯」といったトラブルがある可能性もあります(※4)。
乳歯が足りないからといって、永久歯まで影響するとは限りません。しかし、癒合歯の場合は歯ブラシで汚れが取り切れず、虫歯になりやすいといったリスクもあるので、疑いがある場合は早めに歯科医に相談しましょう。
1歳児健診の歯磨き指導のときに相談するのもおすすめです。
赤ちゃんの歯の生え方は個人差があるもの
赤ちゃんの歯が生え始める時期になると、歯の生え方や生えている本数について、つい周りの子と比べてしまうこともありますよね。しかし、体の成長に個人差があるのと同じように、歯が生える時期にも、生え方にも個人差があるもの。我が子の成長スピードに寄り添ってあげてくださいね。
もし、早めに乳歯が生えてきている場合は、母乳やミルクしか飲んでいない状態であっても、ガーゼで拭き取るなどしてケアしてあげましょう。本数が増えると、歯間に汚れが溜まってしまうので、少しずつ乳児用の歯ブラシを使って磨いてあげてくださいね。