子供が喉を痛がっていると、原因が分からず心配になってしまいますよね。数日間で治ることもありますが、放っておくと呼吸に支障が出るなど、重篤化してしまうこともあります。喉が痛くなる原因や症状を把握して、早めに痛みをとってあげたいですよね。今回は子供の喉の痛みの原因や治し方、予防法などをご説明します。
子供の喉に痛みがある原因は?
子供の喉の痛みには様々な原因がありますが、主に下記のような病気が考えられます(※1)。
風邪
鼻や喉などにウイルスが感染して、炎症が起こった状態を「風邪」といいます。ウイルスは人から人にうつる可能性があります。
風邪の症状があっても熱がなく、機嫌が良いときは、家で安静にして様子を見ても良いのですが、子供は抵抗力が弱いので、ウイルス感染が長く続いてしまうことがあります。
ウイルス感染が長引くと、発熱が続き、中耳炎や、咳がひどい場合には肺炎や気管支炎といった合併症にかかる危険性があります。症状が治まらない場合は、病院を受診するようにしましょう。
風邪の場合、喉の痛み以外に、下記のような症状が表れます(※2)。
● 咳
● 鼻水・鼻づまり
● 目やに
咽頭炎
喉の最も浅い部分、いわゆる「のどちんこ」の周辺に炎症を起こしている状態を「咽頭炎」といいます。ほとんどの原因は風邪のウイルスなので、風邪と同じようにホームケアをしていれば、数日で痛みもおさまります。
しかしなかには、溶連菌などの細菌によって炎症が引き起こされていることもあります。この場合、抗菌薬での治療を行わない限り、炎症はなかなか治りません。
咽頭炎の場合、喉の痛み以外に、下記のような症状が表れます(※2)。
● 発熱
● 軽い咳
● 鼻水
● 発疹(溶連菌の場合)
扁桃炎
「扁桃炎」は、喉の両サイドにあるリンパ腺に炎症が生じたものをいいます。
扁桃炎は咽頭炎よりも、喉の痛みが強く表れるのが特徴です。扁桃炎になると、つばを飲み込むだけでも喉が痛み、食事がとれなくなってしまうこともあります。
39度以上の高熱を伴うことが多く、1週間ほどでゆっくり回復に向かいます。
扁桃炎も、咽頭炎と同じように、溶連菌や肺炎球菌などの細菌が原因となって起こることがあります。細菌が原因の場合、ひどくなると、リウマチ熱や気管支炎などの合併症を引き起こす可能性があります。
扁桃周囲膿瘍
「扁桃周囲膿瘍」は3~4歳の男の子によく起こる病気です(※3)。
喉の片側に膿がたまり、口を開けにくく、唾液を飲み込むのも難しいほど喉が痛みます。呼吸困難や喉に圧迫感があるなど、症状がひどい場合は、入院での治療になることもあります。早めに病院を受診することが大切です。
喉の痛み以外に、下記のような症状が表れた場合、扁桃周囲膿瘍が疑われます。
● 発熱
● 顎を動かさない
● 食べ物や飲み物が摂取できない
● よだれが垂れる
喉頭炎
気管の入口にある喉頭部分に炎症が起きることを「喉頭炎」といいます。喉頭炎には急性のものと慢性のものがありますが、特に2歳以下の乳幼児には、急性喉頭炎が多く見られます。
ウイルスが原因であることが多い病気ですが、なかには命の危険を伴う、細菌性の喉頭炎もあります。下記のような症状がでたら、すみやかに病院を受診しましょう。
● 発熱
● ケーンケーンという甲高い咳が出る
● 息を吐くときに呼吸がゼコゼコする
● 息を吸うときにヒーヒーという音がする
● 呼吸が苦しくなる
急性喉頭蓋炎
「急性喉頭蓋炎」とは、空気の通り道にある喉頭蓋が大きく腫れ、炎症を起こしている状態のことです。
気がつくのが遅れると、呼吸困難を起こし、命にかかわることもありますが、気管を切開するなどして呼吸の道を確保し、抗菌薬やステロイドの投与を行えば、通常1~2週間ほどで改善します。
喉の痛み以外に下記のような症状が確認できたら、すみやかに病院を受診しましょう。
● 発熱
● 息がしづらい
● ものを飲み込みにくい
子供の喉の痛みの治し方は?薬が効く?
子供に喉の痛みがある場合、その原因によって治療方法は様々です。基本的には、痛みの原因となっている病気の治療を行うことで、喉の痛みも改善します。
対症療法として鎮痛剤を服用することもありますが、喉の痛みには先に述べたような病気が潜んでいることもあります。鎮痛剤を服用する前に、医師に相談することをおすすめします。
子供の喉の痛みにはどう対処すればいい?
病院を受診し、大きな病気が見つからなかった場合は、とにかく安静にしておくことが大切です。室温や湿度に注意し、換気をこまめに行いながら、しっかりと休ませてあげましょう。
喉が痛いと、つばを飲むのも苦しくなり、食欲が落ちてしまうこともあるかもしれませんが、水分だけはこまめに補給させてあげるようにしましょう。水分がとれなくなると脱水症状になってしまう恐れがあるので、水分も飲めないというときは病院を受診してください。
子供の喉の痛みを予防する方法は?
子供の喉の痛みは、多くがウイルスによるものです。そのため、まず喉の痛みを予防するには、ウイルスへの感染を予防することが大切です。
手洗い・うがい
外出から帰ってきたときや食事の前などは、手洗い・うがいをこまめに行いましょう。外出時などで手を洗えないときは、アルコールが入った消毒液で手を清潔にすることも効果的です。
マスクの着用
風邪などの感染性のある病気が流行っているときは特に、外出時にマスクを着用しておくと安心です。マスク着用が苦手な子も多いですが、キャラクターなどの模様があるものや、無地のものに絵を描いてあげると喜んで着けてくれることもありますよ。
人混みを避ける
人が多いところへの外出を控えるのも、予防策のひとつです。特に冬場や、体調がすぐれない日は、家でゆっくりしておきたいですね。
子供の喉の痛みには慎重な対処を
喉の痛みは大人にもよくあることなので、つい様子を見てしまいそうになりますが、重大な病気が原因の可能性もあります。
あまりにも痛がる場合は、医師に相談すると安心です。子供の様子を見て、慎重に対処してあげてくださいね。