生まれたばかりの赤ちゃんのおへそはとてもデリケートで、トラブルが起こりやすい場所です。そのトラブルの一つが「臍炎」。誰でもかかりうる病気ですが、ホームケアで予防もできるので、ママやパパがしっかりと知っておきたいですね。今回は赤ちゃんの臍炎について、原因や症状、治療法、予防法をご紹介します。
臍炎とは?
臍炎とは、赤ちゃんのおへそ周りに起こる病気です。
生まれてすぐの赤ちゃんには、へその緒がついています。へその緒はお産のときに切り取られますが、生まれて2~3週間ほどは、赤ちゃんのおへそにへその緒の欠片が残っている状態です。
その欠片は時間とともに自然に取れ、生後1ヶ月頃には乾燥しますが、それまでの間はおへその周りがじゅくじゅくとして、傷口のようになっています。
この乾燥するまでの間に、おへそを清潔に保てていないと、細菌に感染し、おへそ周りに炎症を起こしてしまうことがあります。これが臍炎です。
赤ちゃんの臍炎の原因は?
臍炎の原因は、先に述べたように細菌の感染による炎症であることがほとんどです。しかし、時間が経ってもなかなか治らないときは、単純な炎症ではなく、下記のような病気が原因となっていることもあります(※1)。
尿膜管遺残
赤ちゃんがお腹のなかにいるときは、おへそと膀胱が「尿膜管」という管で繋がっています。尿膜管は生まれるまでに自然と退化しますが、まれに退化しないまま残ってしまうことがあります。これが、尿膜管遺残です。
尿膜管遺残になると、おへそからおしっこが漏れたり、腹痛や腹膜炎などを併発することもあります。
発症時期は人それぞれで、大人になってから発症することもあります。
卵黄のう管遺残
お腹のなかの赤ちゃんの「卵黄のう」と腸を繋いでいる管を「卵黄のう管」といいます。通常はお腹のなかにいる間に消失しますが、生まれてきても残ったままのことがあり、これが卵黄のう管遺残です。
管が残る位置によって、「メッケル憩室(けいしつ)」と呼ぶこともあります。
赤ちゃんの臍炎の症状は?
臍炎になると、おへその周辺が赤く腫れ上がり、じゅくじゅくと湿ったような状態になります。なかには、膿や出血が見られることもあります。痛みを伴うため、赤ちゃんは不機嫌になり、ぐずりやすくなります。
臍炎自体は深刻な病気ではありませんが、放っておくと炎症がお腹のなかまで広がったり、細菌が全身に回ったりして、敗血症といった全身感染症を引き起こすなど、危険な状態になってしてしまう可能性があります。早めに病院を受診し、治療することが大切です。
また、腫れや膿以外に、おへその周りに赤いしこりのようなものができていたら、臍炎ではなく「臍肉芽腫」の可能性があります。臍肉芽腫のしこりは、米粒の半分ほどのこともあれば、おへそ全体を覆うほど大きくなることもあります。
臍炎の治療方法は?薬を使う?
臍炎の治療ではまず、おへその周りをアルコールなどで消毒し、乾燥させます。その後、抗生物質の軟膏を塗ったり、必要に応じて薬を飲むこともあります。
医師からの処方や指示に従って、治るまでしっかりとケアをし続けることが大切です。
また、臍炎の原因が、尿膜管遺残や卵黄のう管遺残などの病気にある場合、手術をして取り除く必要があります(※1)。赤ちゃんに手術をするのはかわいそうだと思うかもしれませんが、大人になるまで放っておくと、他の病気を併発することもあるため、早めに対処しておきたいですね。
臍炎は予防できる?
臍炎を予防するには、おへそを清潔に保っておくことが大切です。
へその緒の欠片が取れるまでは、綿棒に消毒液をつけ、へその緒の付け根をなでるように消毒を行いましょう。皮膚がふやけて汚れが取れやすい、沐浴後に行うのがおすすめです。
へその緒の欠片が取れたら、おへその奥の方に汚れが溜まってしまうことがあります。水をつけた綿棒などで先に汚れを取ってから、消毒すると良いですよ。このとき、綿棒をあまり奥まで入れすぎないように注意しましょう。
また、消毒した後はおへそを乾燥させます。おむつで覆ってしまうと乾燥が遅れるので、おむつを折り曲げたり、新生児用のおへそ部分がくぼんでいるおむつを履かせたりと、工夫してみてくださいね。
赤ちゃんの臍炎は毎日の消毒で予防しよう
へその緒が取れたばかりの赤ちゃんのおへそは、傷口と同じです。感染しやすく、臍炎以外にも様々な病気を引き起こす可能性があるため、毎日消毒しながらしっかりと様子を見てあげてくださいね。
不安なときは、1ヶ月健診で相談したり、病院を受診したりすると安心ですよ。