性交痛の原因は?病気の可能性もある?治療や対処方法は?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

「性交痛」があると、パートナーとのスキンシップをなかなか楽しむことができませんよね。痛みを感じつつもパートナーになかなか言い出せず、我慢している女性も多いかもしれません。しかし、性交痛は病気のサインである可能性もあるので、そのまま放置せず、何らかの対処をすることが肝心です。そこで今回は、性交痛の原因と考えられる病気の可能性、治療法や対処方法についてご紹介します。

性交痛とは?

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性交痛とは、性交を始めようとするときや、性交中に感じる痛みのことです。外陰部や陰唇など、膣開口部周辺の入口付近に痛みを感じることもあれば、陰茎が挿入されたときに骨盤内の奥の部分で痛みを感じることもあります。

また、痛みの種類にもいくつかあり、焼けつくような痛み、刺すような鋭い痛み、締めつけられるような痛みと、様々なケースがあります。

性交痛の原因は?病気の可能性もある?

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性交痛を感じる場所が入口付近なのか、それとも深部の痛みなのかによって、考えられる原因は異なると考えられています。具体的に見ていきましょう。

入口付近に性交痛を感じる原因

▼ 腟が乾燥している

腟が乾燥していて、性交時の潤滑が不十分である場合、入口の辺りに痛みを感じることがあります。

前戯が足りなかったり、加齢によって腟の内膜が薄くなったりすると乾燥しやすくなるほか、授乳期間などで、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが減少していると、腟の潤滑が充分にならないことがあります(※1)。

▼ 誘発性腟前庭炎(外陰部前庭炎)による痛み

入口付近に感じる痛みの原因として最もよく見られるのは「誘発性腟前庭炎(外陰部前庭炎)」です。これは、腟開口部周囲(前庭)の痛みに対する感受性が高くなる状態で、陰茎が腟に挿入されるとき、または動きのある状態のときに生じます。

性交痛のなかで最もよく見られるケースですが、まだ原因ははっきりとわかっていません。外陰部からの痛みのシグナルを伝達する神経経路と、このシグナルを処理する脳の一部が生理的に変化し、感受性が高くなることで生じると考えられています。

▼ 炎症やアレルギー反応

外陰部や腟、尿路などの炎症や感染、避妊用発泡剤やゼリー、ラテックス製コンドームに対するアレルギー反応などが原因として考えられます。

深部に性交痛を感じる原因

骨盤の奥の方に痛みを感じる場合、子宮頸部、子宮、卵管の感染症により骨盤内に膿瘍ができているケースもあります。また、「子宮内膜症」や「卵巣嚢胞」など、放置しておくと不妊の原因となりうる病気によって性交痛が生じている可能性もあるので、注意が必要です。

なお、部位に関係なく、精神的な理由で性交痛が生じることもあります。例えば、性的虐待などトラウマとなるような性的経験をすると、軽度の不快感であっても激しい痛みのように感じる人もいます。

性交痛の治療・対処方法は?

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先述のとおり、性交痛が生じる要因はいくつか考えられ、自分では痛みの部位や原因を判断するのが難しいといえます。性交痛で病院にかかることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、早めに婦人科へ行き、炎症や異常がないかどうかを調べてもらうと良いでしょう。

性交痛の原因が判明したあとは、以下のような治療や対処方法を勧められます。

病気の場合は治療が必要

何らかの感染症にかかっている場合、抗生物質、抗真菌薬などの適切な薬で治療します。嚢胞や腫瘍ができていれば、症状を抑えて痛みを軽減する「薬物療法」や、場合によっては切除するための「手術療法」が必要となることもあります。

腟の潤滑を高める

腟の乾燥が性交痛の原因である場合、性交前に十分に潤滑剤を使うのも一つの方法です。前戯にかける時間を長くすることにより、腟の潤滑が増すこともあります。また、挿入せずにお互いの快感を得る方法が見つけられると良いでしょう。

刺激を和らげ、骨盤筋を弛緩させる

誘発性腟前庭炎により、痛みに対する感受性が高まっているのであれば、石けん、泡風呂、パンティライナー、きついボトムスなどの刺激となる可能性のあるものは避けると、痛みの緩和に役に立つこともあります。

ヨガや全身のリラクセーションによって骨盤周辺の筋肉をリラックスさせると、性交痛が軽減されるケースもあります。

性交時の体位を工夫する

深部に痛みがある場合は、性交時の体位を変えると軽減することがあります。例えば、女性が挿入をコントロールできる女性上位の体位や、陰茎の深い挿入を制限する体位が有効とされます。

性交痛は我慢せず、早めに婦人科を受診しましょう

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性交痛を我慢しすぎると、性交すること自体が億劫になってしまい、パートナーとの心の距離感を生むことにもつながりかねません。また、今回ご紹介したとおり、場合によっては炎症や感染症、腫瘍などの病気が隠れている可能性もあります。

放っておくと不妊症の原因になってしまうこともあるので、性交痛が長く続くときや症状がひどい場合には、早めに婦人科を受診してくださいね。

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