妊娠初期にレントゲンを受けても大丈夫?胎児への影響や注意点は?

健康診断などでレントゲン撮影を受けてから「実は妊娠していた」ということがわかったり、妊娠初期に入ってから病院でレントゲン撮影を受けなければいけない状況になったりすると、お腹の赤ちゃんへの影響が気になる人もいるかもしれません。そこで今回は、妊娠初期にレントゲンを受けてもいいのか、胎児に悪影響を与えることはないのかについて、ご説明します。

レントゲンとは?自分の体への影響は?

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レントゲン撮影は、医療用のエックス線を使って体に異常がないかどうかを調べるために行われるものです。エックス線は放射線の一つなので、レントゲン撮影を受けると少量の放射線を浴びることになります。

放射線と聞くと、少量でも浴びるとがんなどの病気になるのではないかと心配になる人もいるかもしれませんが、100mSv(ミリシーベルト)以下の低い放射線量と病気との関係については、明確な根拠がありません(※1)。

医療機関で受ける通常のレントゲン撮影は、1回あたりの最大放射線量が10mSV以下と小さいので、人体への悪影響はほとんどないと考えられています(※1,2)。

妊娠初期のレントゲンは胎児に影響する?

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レントゲン撮影で浴びる放射線量が、自分の体に与える影響はほとんどないとは言え、これからお腹のなかで育っていく赤ちゃんにとって問題ないのかどうかは気になりますよね。

妊娠超初期や妊娠初期に、妊娠したことに気づかずにレントゲン撮影を受けてしまい、流産や死産、胎児の奇形リスクが気になる妊婦さんもいるかもしれません。

日本産科婦人科学会の産科ガイドラインによると、「50mGy(≒50mSV)未満の被曝であれば、胎児は安全」と明記されています(※2)。

下表は、レントゲン撮影をする体の部位ごとに胎児が浴びる放射線量を示したものです(※2)。

検査部位 平均被ばく線量(mGy) 最大被ばく線量(mGy)
0.01以下 0.01以下
0.01以下 0.01以下
お腹 1.4 4.2
1.7 10
骨盤 1.1 4
尿路 1.7 10

このように、レントゲン撮影による胎児の最大被ばく線量を見ると、どの部位であっても10mGy以下であるため、妊娠初期にレントゲンを撮影したとしても赤ちゃんへの悪影響はほとんどないと考えられます。

妊娠初期に歯医者などでレントゲン撮影をする機会があるかもしれませんが、お腹の赤ちゃんへの影響は極めて小さいので、安心して治療を受けてくださいね。

妊娠初期以降のレントゲンも問題はないの?

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妊娠初期を過ぎた時期でも、通常のレントゲン撮影による胎児への影響はほとんどないと考えられています。

妊娠9~26週では、胎児の中枢神経系が放射線被ばくの影響を受けることがあるものの、精神発育の遅れが見られるのは500mGy以上、IQ(知能指数)の低下が見られるのは100mGy程度の放射線を浴びたときとされています(※2)。この量の放射線をレントゲンだけで浴びることはありません。

妊娠中、どの時期であっても、健康診断や検査などでレントゲン撮影が必要になったときはきちんと受け、健康管理に役立ててくださいね。

妊娠中のレントゲンで注意することは?

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先述のとおり、妊娠中のどの時期であっても、レントゲン撮影を数回行っただけでは、胎児に悪影響を与えることはほとんどありません。

ただし、病院側ができるだけ安全に検査を行うためにも、妊娠中または妊娠の可能性がある人は、レントゲン撮影を受ける前に必ず医師に伝えましょう。

たとえば歯医者でのレントゲンであれば、できるだけ被ばくのリスクを抑えるために、鉛のエプロンを首からかけて撮影してもらえることもありますよ。

また、どうしても不安なときは、医師から放射線による影響などを詳しく説明してもらったり、場合によってはエコーなど、レントゲン検査以外の方法を相談してみるのも良いかもしれません。

妊娠中のレントゲンを不安がらないで

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自分ひとりの体であればそれほど気にならないことでも、お腹に新しい命が宿っているとなると不安の種になりますよね。レントゲン撮影に関しては、妊娠中のどの時期であってもお腹の赤ちゃんに悪影響がおよぶリスクはほとんどないので、あまり神経質になりすぎないでくださいね。

安定期に入るまでは特に、食べ物や生活習慣、日々の行動など様々な場面で気を使うと思いますが、できるだけ肩の力を抜いて、妊婦さん自身も楽しく健康に過ごせるといいですね。

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