牛眼(先天性緑内障)とは?原因や症状、検査・治療方法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

「牛眼」という病気の名前を聞いたことはありますか?眼圧が高いことによって黒目が大きくなり、その名のとおり牛の眼のように見える病気で、正式には「先天性緑内障(早発型発達緑内障)」といいます。生まれつきの病気なので、赤ちゃんのいるママ・パパや妊婦さんは特に気になるかもしれません。今回は、牛眼の原因や症状、検査方法や治療方法についてご紹介します。

牛眼(先天性緑内障)とは?赤ちゃんがなるの?

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緑内障は、少しずつ視野が欠けていく病気です。日本における失明の原因で最も多く、40歳以上の日本人のうち、20人に1人は緑内障患者だといわれています(※1)。

牛眼(先天性緑内障)とは、目の組織である角膜と虹彩とのあいだにある「隅角」という部分に、生まれつき異常があるタイプの緑内障です。

隅角が詰まることで、目のなかを循環する「房水」がうまく流れず、それによって眼圧が高くなることで、眼球そのものが大きくなることもあります。

特に乳幼児の緑内障は急速に悪化し、眼球拡大が進行すると、視機能が著しく障害を起こす結果になりやすいので、早期に治療する必要があります(※2)。

なお、隅角の発育異常により、眼圧が上昇し、視神経に障害が起こる病気全般を「発達緑内障」といい、ここでいう「牛眼(先天性緑内障)」は「早発型発達緑内障」のなかに含まれます。

ほかにも、隅角異常の程度が軽く、主に10~20代で発症する「遅発型発達緑内障」や、ほかの先天異常も伴う発達緑内障もあります。発達緑内障の日本での発症頻度は約3万人に1人といわれています(※2)。

牛眼(先天性緑内障)の原因や症状は?

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発達緑内障の多くは遺伝性がなく、原因は明らかではありません。しかし発達緑内障の中には、「CYP1B1」という遺伝子変異があるケースが報告されています(※2)。

牛眼(先天性緑内障)にかかると、通常は両目に下記の症状が見られます(※2)。

● 涙が多い
● 光を極端にまぶしがる
● まぶたがピクピク動く
● 黒目が白くにごる
● 黒目がかなり大きく見える

これらの症状が見られる場合には、すぐに眼科を受診するようにしましょう。また生まれてすぐに発症していなくても、生後1歳までに起こる可能性があります(※2)。

牛眼(先天性緑内障)の検査・診断方法は?

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一般的に緑内障の診断には、次のとおり眼圧検査、隅角検査、眼底検査などを行う必要があります(※1)。じっとして検査を受けることができない赤ちゃんの場合には、全身麻酔や催眠剤を使って眠らせたうえで、検査を行うこともあります(※2)。

眼圧検査

眼圧を測定する機械にはいくつかの種類があります。患者の目に機械を直接接触させたり、圧縮した空気を吹き込んだりして眼圧を測ります。

隅角検査

特殊なコンタクトレンズを患者の目に押し当てて、隅角を観察・診断します。通常、点眼麻酔をして行うため、強い痛みはありません。

眼底検査

眼底検査は、視神経の障害の程度を判定するために実施するもので、少しまぶしく感じることがあります。視神経の出口には小さなくぼみがあり、緑内障の場合はこのくぼみが拡大します。

牛眼(先天性緑内障)の治療法は?手術が必要?

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牛眼(先天性緑内障)と診断された場合、早期に治療しないと失明してしまう可能性もあります(※3)。通常、大人がかかる緑内障の治療は薬物療法が基本となりますが、先天性緑内障の場合は薬物治療の効果が低いため、早急に手術を行う必要があります。

一般的に、「線維柱帯切開術」もしくは「隅角切開術」という手術を行い、房水の排出と眼圧の低下を促します(※2)。一度の手術で眼圧が下がらない場合は、複数回の手術をするだけでなく、そのあとも長期間通院し、経過観察していく必要があります。

手術により眼圧が下がったあとも、角膜混濁など機能的な障害が残ることが多く、それにより視機能の発達が妨げられます。そのため、メガネの着用やアイパッチの使用をすることで、弱視に対する治療を続けていくことになります。

牛眼(先天性緑内障)の疑いがあればすぐに眼科へ

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赤ちゃんの黒目が極端に大きく見えたり、光を嫌がったり、涙が異常に多かったりといった症状があるときには、牛眼(先天性緑内障)の可能性を疑い、すぐに眼科を受診しましょう。

先天性なので原因がはっきりせず、治療後に視覚障害が残ることも多い病気ですが、早期に手術することで失明のリスクを下げることはできます。パパやママが赤ちゃんの様子に気を配り、目の様子を観察するようにしてみてくださいね。

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